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なんでもないようなことが面白かったと思う ~フリートークの裏にあるもの~

ラジオのフリートークとかバラエティのエピソードトークを聞いていて、「よくこんな面白いことに遭遇するなぁ、さすが持ってるな」と思ったことはないだろうか。
だが、よくよく聞いてみると中には「これは言い方で面白くしてるな」とか「これは自分でも似たような体験があるが、感じ取り方が違うな」ということが出てくる。やはりそこにはテクニックがあるのだ。

「駅に着いたらすごくたくさん人がいて何事かと思ったらツバメの巣を避けて歩いてるので片側が混雑しているだけだった」

というなんてことない話を

「駅着いたらなんか知らんけどめっちゃめちゃ混んでんねん。人がブワーってこっち歩いてくるから事件でも起きたんちゃうかー思って、後輩とどうする?タクシーのほうがええかな?でも道が混んでたらそっちのほうが遅刻怖いし、とかガヤガヤしゃべってたら後輩が『つばめです!』って。つばめやなくてのぞみに乗りたいのに何言うてんねん思ったら、『ツバメが巣を作ってるんでみんなよけてます!』言うんでなんやそれってなって」

みたいなように膨らますことでエピソードに昇華したりしているのだろう。いや このエピソードは架空だし面白くないし別に誰かのしゃべり方を揶揄したりもしてませんよ?念のため。
ちょっと前にアンガールズの田中が「100点のエピソードは出してるうちに使えなくなるので、70点のものを磨いて使えるようにしていく」といったことを何かで語っていたのを覚えている。アメトーークだったかな。

磨くというのはムダなところを省いたりあと一歩のところを盛ったりではないかと思う。盛るというのは単純に言えばウソなわけだが、もともとあったことを多少大きくする程度であればなんとなくセーフな風潮がある。まあ学術論文ではないからいいのかな。

たぶん以下くらいの感じ。
「ここではふつう釣れないと言われる魚が珍しく釣れた」
         ↓
「ここでは絶対に釣れないと言われる幻の魚を釣り上げることに成功した」

とはいえ最低限元ネタになる程度の体験は必要なわけで、ラジオパーソナリティが「トークゾーンのネタのために出かけた」というのはそういうことだろう。
ある意味そのために色々新しいことにチャレンジできているのかもしれない。ネタになると思えばちょっと変わった店に入ったり珍しいものを食べたりも必要経費となる。

自分にもよく話す鉄板トークがあるが、あまりに言いすぎてもう自分でも飽きているし周りの人もよく知っている。それでもたまに初対面の人とかと話してるとそのトークを周りから振られてしゃべることもある。話す順番やオチのタイミングもさすがに慣れたもんで、いわゆる勝手に磨かれた状態でもある。

しかしこういうことを毎週やってたりするわけだからやはりフリートークはすごい。オードリー若林もだいたいフリートーク毎週面白いしなあ。ただやはり出来事そのものでいうとまぁまぁのこともワードセンスなどで面白くしているなと思う。先日のラジオでは「紅茶専門店で頼んだスコーンがめちゃくちゃ固かった」という話だったが、その表現が「ナイフで切ろうとしたら薪割りみたいにカコーンと割れた」「コンクリスコーン」という感じだった。ワードの時点で面白い。
素人が言えばほんとに「スコーンが信じられない固さだった」で終わりだろうから、そこに差があるわけだ。

ということで面白いエピソードの裏には面白くする工夫がある、という話でした。

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