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約束されたベストセラーの地へ

高校生くらいのころ、「売れてる本ランキング」みたいなので「この本ぜんぜん作者もタイトルも聞いたことないのに毎回ランクインしてるな…」と思っていたことがあった。まあすぐわかる方もいるだろうが要は宗教の本である。
信者=ほぼ読者数のため、仮に10万人信者がいるとしたら出した瞬間に10万部売れるわけである。これはすごい。大学でも自分の書いた本をテキストとして販売する教授はたくさんいたが、数が桁違いである。余談だが必ずテキストを買わせるために名簿を作成してチェックする教授もいた。内容がほぼ同じだからと言って先輩からもらったりしてるとダメ(=単位が死ぬほど取りづらくなる)という、今なら問題になりそうな話。

それはさておき、ヒット作というのは誰にも予想できないものだ。有名な話でいえばハリーポッターシリーズは最初どこからも出版を断られたという。たまたま出版社が持ち帰ってみたら子供が読んで絶賛したため出してみたら大ヒット。そのほかにも進撃の巨人はジャンプで断られただとか、孤独のグルメのドラマ化は フジテレビが断っただとか、こういう話は枚挙にいとまがない。
すなわち、「いい作品ならみんな良さが分かって必ずヒットする、とも限らない」ということだ。「ヒットの要因を分析する」みたいなことはよく言われるが、後から言うのであればなんとでもなる。それが最初からできるのであれば漫画の新連載は毎回ヒットだろうし、大コケする映画も出ないことになる。
(もちろんある程度クオリティやら方法論で確率を上げることはできると思うが)

そう考えると「出した瞬間からヒットすることがわかっている」というのはビジネス的にはめちゃくちゃありがたいことになる。宗教だろうがなんだろうが出版社は飛びつくだろう。そして現在、新たな形で「約束されたベストセラー」の土壌となりそうなのが…そう、オンラインサロンである。
2021年9月現在、日本トップの西野亮廣で5万5千人の会員がいる模様。以前は7万人くらいいたらしいけど、いずれにしてもすごい数だ。月額1000円なので黙っていても月に5500万円の売り上げがあることになる。しかもそれらの人が映画を見に行ったり本を買ったりするわけで、広がりもある。確かプペルの映画は動員100万人を越えていたのでオンラインサロン会員だけの話ではないのはわかるが、そもそも会員が2回くらい見に行く(2プぺ)だけで動員10万人を越えるのがすごい。

まぁ現在ランキングを見る限りでは2位になると1万人を切ってしまうので1位が圧倒的すぎるというのはあるが、正直2位以下の人も数千人会員がいるとかなり安定していると思う。1000円×5000人で月額500万円はあるし、本を出せば会員数以上は売れる。そもそもファンとしての熱が最高に高まっている人がオンラインサロン会員になることを考えると、熱レベルはそこまでではないが一応ファン、とかファンが買うから話題になったので気になった人、という層も考えられる。要はオンラインサロン会員というのは「最低見込み客」とも言える。

Vtuberに投げ銭する人、アイドルにつぎ込む人、ガチャを回し続ける人…人は熱狂によって相場以上のお金を容易く払う。これからはいかにヒットを狙うかの前に、「あらかじめヒットを出せる環境づくり」が必要になってくるのかもしれない。

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