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重複する言葉と思考と狭き門

第61回の宣伝会議賞だが、SKATで通過作品を見られるようになりました。

検索ができるのがデジタル版のいいところで、さっそく自分の名前や知り合いの名前、さらには気になるキーワードで検索をかけたりした。

自分の結果については前回すでに書いたので省略するとして、びっくりしたことが一つ。「何も検索しないとき」の状態である。

いわゆる「重複コピー」が殿馬殿馬、じゃなくてズラズラと出てくるのだ。特に、一番多かったコピーが最初に出てくる。一部界隈では既に有名になっているが、サントリーのCCレモン課題に関する「黄春」が筆頭である。「黄春。」と「黄春」合わせて、なんと30本。さらに「レモい。」が14本。青春世代へ向けたメッセージというところからある程度限定はされてきたかと思うが、それでもかぶりすぎなくらいかぶっている。

もちろん、これを考えた人たちを揶揄するつもりは全くない。問題は審査のやりかたである。おそらくだが、1次審査員で誰かが通したら、全く同じコピーを通さないわけにはいかない、となるのではないだろうか。

実際、協賛企業賞ですら後から「同じのあったのでそっちも受賞です」みたいなことがあったくらいだし。

これまでも2つ3つかぶることはよくあった。「通常の熟語を一文字変える」とか「定型文に企業要素の1文字を足す」みたいなのは手法として一般的だからだ。まあ過去には「シルバー7人同時受賞」という非常に珍しい事態があった。「シルバー7」と表記するとなんとなく「キラー7」みたいでカッコイイが、そもそもキラー7がマイナーかもしれぬ。昔のゲームだがめちゃくちゃスタイリッシュで死ぬほどぶっ飛んでいるゲームがあったのです。


それはそれとして、問題はかぶりまくりのほう。さすがに二桁かぶってきたら、通されたほうも微妙ではないだろうか。黄春黄春黄春黄春黄春黄春黄春黄春黄春黄春黄春……ってなんだか三国志の黄巾族じゃないんだから。とはいえ、もし自分が同じ立場で、それしか通ってないんだったら通してくれとは思うだろう。ただもともと通ってないのであれば気づかない話だし。

今回、通過率が前回の1.06%から1.00%になったわけだが、そのうちの一角をこれだけ同じコピーで占めてたら、かぶりコピーぶん、他に席を空けてくれてもよかったんじゃないか…という気にもなるというものだ。

しかしもう、出てしまっているものは仕方ない。あとは後年にここから受賞者とか出てきて「黄春の仲間たち、やったよ!」みたいになったらハッピーなネタとして昇華できるのではなかろうか。

あと、結局わからないのが「おうしゅん」でいいのか、「きぃしゅん」と読ませたいのか。まあこれもまた応募者によって違うかも…。

ちなみに、黄春通過者の一人である某Tさんにズバリ「黄春」で通過した感想を聞いてみた。不本意だったのか、気にしてないのか…。

「かぶったこと自体は気にしていないです。多すぎてちょっと笑ってしまいましたが」

「かぶりが多いから落とすのではなく1次通過のレベルなのであれば通す、という考え方はありがたいと思います」

ということで、一言で言えば「数はともかくかぶり自体は特に気にしてない」ということだった。というのもTさんの場合「段階は違えど、受賞に届いてなければ不合格という感覚」があるからだそうで。これはこれでなかなか己への厳しさが伝わってくる。通過自体に価値がないというわけではないが、そこで満足するものでもないということだろうか。さすがである。学びに貪欲。Tさんありがとうございました。

まーそんな感じである。しかし今年のグランプリはどうなるか。知ってる人か知らない人かわからんが、どちらにしてもいまコピーを深く考察する余裕がないw

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