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悪ふざけと笑いと死の境界

悪ふざけで椅子を引かれて下半身まひ」という記事を見た。座ろうとした瞬間に椅子を引かれてコケる、というのはよくある悪ふざけだ。子供の頃何度も見たことがあるし、自分がやられたこともある。多分やったこともある。ただ、やられた時に「これはマジで怖い」と感じてからその後はやらなくなったような気がする。

下半身まひになった青年の手記。

高校バスケで国体を目指していたのが、この悪ふざけが元でその夢は断たれた。しかし今は車いすバスケで自分の名前を広める、という夢があるという。
何とタフなことだろう。とはいえ、これもかなり時間が経ってのことなのでようやくそういう心境になれたのかもしれない。ただどうしても思ってしまったのは「悪ふざけで椅子を引いた女子」はどうしたのだろう、ということだ。
もちろんそんな事態を引き起こすとは思ってはいなかっただろう。軽いいたずらのつもりだったとか何とか言ったのかもしれない。しかし言ってしまえば紛れもなく「主犯」である。賠償的なものがあったのか、謝罪で許されたのか、今も許されてないのか、それはわからない。

「悪ふざけ」や「いたずら」で死ぬ(あるいは大きな障害を負う)ほど、やるせないものはない。

イジってたつもりがいじめを苦にして自殺、とかであれば完全に犯罪だしまったく同情の余地もないのだが、仲間内でみんなでやっていて、となるとそれってどれくらいのトラウマになるんだろうと思う。

コンプレッサー(空気を圧縮して送り出す機械)を、工事現場で悪ふざけで使い、肛門から噴射した結果肺を損傷して死亡、という事故もある。

ニュース記事。同様の事例で3件

工事現場で作業の際の悪ふざけ、というのはよくありそうだ。例えばブロアー(風を噴射する強力ドライヤーのようなもの)をバラエティで顔に目掛けてやって面白い顔になる、というのと同じノリだと思う。このブロアーも本来は工事の時に使うものだ。街路樹の整備をしている人たちが落ち葉をまとめるのに使っていたりする。コンプレッサーで噴き出す空気はこの比ではないので死亡に繋がる事故が起きるわけだ。というか普通にやった側は傷害致死である。

「おりゃ!ケツに空気食らえ!」「うわ!めっちゃ来た!ヤバいってこれw」とかやってたら「…マジで…ヤバい…(死)」となるわけで泣くに泣けない。もしかしたら一緒にふざけてたのかもしれないし、一方的にやったのかもしれないが、どうであろうと傷害致死事件なのだ。葬式でも「悪ふざけでお尻から空気入れられて亡くなったんだって…」みたいな話になるわけで悲しいやら恥ずかしいやら怒りやらでとんでもない空気になりそうだ。

そういえば、「新婚夫の誕生日を祝うサプライズで落とし穴掘ったら砂に埋まって窒息死」という事件も10年ほど前にあった。

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いやはや、ホントに「そんなことになるとは思わなかった」の代償としては重過ぎる。

テレビでは主に芸人がターゲットでドッキリを食らうことは多いが、本気でビックリさせるタイプなど、最近は見てて不安になることがある。アメトーークでの「ビビリ-1グランプリ」などもそうだが、あれだけビビらせ続けて、仮に心筋梗塞でも引き起こしたらどうなるのか?とも思う。ある程度予告ドッキリみたいにしているからまだそこまでショックが大きくないのかもしれないが…。みんなまだ若いしね。

ただ、どうしても毎回見ててハラハラするのがイッテQなどの「デヴィ夫人の過酷ロケ」である。いやいやいや80代だぜ!?と思ってしまうのだ。まああの年齢にしてはほんとにお元気ではあるのだが…。
ちなみに、だから過激なことするな、みたいなコンプラ強化の提案とかでは全くない。ハラハラしすぎるなら見なければいい話でもあるし、イジられキャラの認識がついたおかげで売れた芸人もいるし。
ただまあイジりのインフレには気を付けてな〜、と遠くから手を振るのみである。人間、「これが人のため」と思えば結構ムリを通しても気づきにくくなるから。



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