男子向けの漫画

先日、某漫画の評で「男子向けだけど面白いんですよ!」という評があり(評者は女性)、私はその漫画がとても好きで、男子向けとして読んだことはなく、どちらかといえば人類向けだよな、と思っていた。
 
掲載誌が青年誌だったことをずいぶん後から知ったのは、私が電子版で読んでいるからだ。
 
電子で読む、ということは、掲載誌を越境するということになるので、例えば「ヤングジャンプは男の雑誌だから読まない」等のくびきから逃れることができるのではないかと思っていた。
またひとつ、自由が増えたような気がしていた。
 
先程「透明人間の骨」という作品をこれまた電子で購入して面白かった。
 
「あなたも感想を投票しませんか?」という画面があらわれたので、投稿じゃなくて、投票?と思ってクリックしてみたら、
「笑える」「胸キュン」「アツい」「深い」「ためになる」などの選択肢が提示されていた。
 
そのなかで「女性もOK」という選択肢があってげんなりした。
 
ネタばれるのだが、本作は、父の母に対するDVに耐え兼ねた娘が人知れず父を殺し、自首するまでの物語だ。
 
父を殺した時点では、何一つ大事なものを持っていなかった子が、高校生活を送るうちに友人を得て、失いたくないものを手にして初めて、自首をする。
 
少女の成長譚であり、葛藤を描き切った。
絵も明快で美しい。
 
「女性もOK」を見てしまったことで、私が短い時間をともにした葛藤は、実は男性のものだったのだろうか、私は場違いだったのだろうか、と一瞬思ってしまった。
 
多分掲載が男性誌だったので、このタグは自動的に出るのだろう。それでも、モヤモヤする。
 
マーケティング的にターゲットを絞り込むのは正しいやり方なのだろうけれど、そのマーケットは、そのターゲットが真に臨んでいるものなのだろうか、とまたも疑問に思ってしまった。
 
「少女漫画に私たちは救われて、また呪われた」といったのは誰だっただろうか。

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