カブ旅1-2

スーパーカブで旅に出る。

急がず、焦らず、どこまでものんびりと。
旅にスピードはいらない、いろんなことを見過ごしてしまうから。

いろんなものを見て、いろんなことを感じて、どこまでものんびりと前へ進む。
ゆっくりと、ゆっくりと、大切に、取りこぼさないように。

人生の全ては貴重で、愛おしい。

   ○

 しばらく走っていると卵農場の大きな看板が見えた。キャンプでは卵は大変重宝する。朝の目玉焼き、昼のラーメンに落としてみたり、親子丼にしてみたり、カルボナーラにしてみたり、余ったら余ったでゆで卵にしておやつに食べてればいい。あぁ、だめだ。ここ寄っていこう。
 看板を過ぎてすぐのところに卵農場はあった。そまのかわファーム。看板の通り、敷地に入っていく。あれ?入っていいのかな?と少し不安に思うほど農場だ。鶏の声も聞こえる。そろそろとカブを進ませて、んん道を間違えたかな?と思ったところに、販売所の入り口はあった。
 もちろん、小売がメインではないのだろう。売上目的というより、親切心で小売してくれている感じだ。小さなドアを開けると先客がいた。おぉ30個ほど購入しているようだ。紙製の卵トレーに大量に並べられている。10個入のパックを見慣れているので、これだけフラットに四角く並んでいるのは結構圧巻だ。よく購入されているのだろう。農場の方とも仲が良さそうだ。
 僕の番が来る。
「すいません、3個ください」
 微妙に驚かれながら3個の卵を渡される。
 すいません、小口で…
 卵を分けてもらって、さあ、改めて前へ。

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