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テレビ局の未来とTVer

◉テレビは、黄昏の業界になりつつあるとはいえ、まだまだ影響力は強く、娯楽の王者ではあります。放送収入は下がっているようですが、TVerによる配信収入は上がっているようで。TVerとは、在京民放キー局5社と在阪民放5社と広告代理店4社が共同出資した、株式会社TVerが運営するOTTサービスのこと。2015年10月に始まっていますから、もうすぐ10年ですか。昔の夢よ、もう一度と思わず、売上が10分の1に減っても生き残りを賭けるなら、新興のインターネットとの融合が、大事でしょうね。

【キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている】東洋経済オンライン

減少し続ける放送収入

 2023年度の在京キー局の決算が出揃った。決算資料のテレビ局単体のページから放送収入のみを取り出して集計すると、「下り続ける放送収入」と「TVerで伸びる配信収入」が見えてきた。

 各局の放送収入を合計し、2019年度から並べたグラフを作成したところ、これまでの延長線上の結果になった。

https://toyokeizai.net/articles/-/755184

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、バラエティ番組を映すテレビのイラストです。

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■スポーツとドラマ■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。テレビ広告費は2000年の2兆793億円をピークに、この四半世紀近く、落ち続けています。インターネットの登場は、それまで独占されていた発信者側のフィールドを、一般にも開放しました。その間、YouTubeなどの動画配信がじょじょに発達し、YouTuberでもけっこうな年収を得るタレントも増え、状況は変わりつつあります。そもそもテレビも、番組に合わせて家族が集まってみる時代から、ビデオの出現で時間に縛られることが亡くなり。一家に一台の時代から、一人一台の時代となり。やがて、インターネットの時代へ。

娯楽の王者から、インターネットに今まさに、主役交代する次期に。なにしろ、スマートフォンが普及し、一人一台の時代へ。その結果、自分の観たいときに・手軽に見られるタイプの配信形式が、最強ですよね。スポーツとかイベントとか、同時間性が必要なもの以外は。ドラマとかバラエティは、特に。ニュースは速報性が大事で、これもインターネットに負けていますから。ならば、ニュースを深く掘り下げる番組とかのほうが、配信には向きますから。速報性と画作りだけでやってきたテレビ番組は、配信には耐えられず。これから淘汰されるでしょう。けっきょく、求められるのはクオリティの高さ。

■テレビの強みとは■

広告代理店の力押しで、大して面白くないものを面白いと押し、安易な番組作りや事務所の力関係でドラマやバラエティのキャストを組み、殿様商売が出来たわけで。NHKの教養番組はさすがのレベルが多いので、テレビが20年ほど前に壊れてから見なくなっていたテレビですが、NHKオンデマンドは重宝していますが。民法は、すっかり観る気が無くなっているので、関心はないんですが。YouTubeの方には、自分の好きな歴史や恐竜や古生物、アニメの解説とか、ニッチな作品が多いですからね。そういうニーズをSNSが満たしたら、テレビはテレビの予算やスケールでしか出来ないもので、追求するしかないですしね。

そうなると、テレビの強みはスポーツ中継、ドラマ、アニメぐらいですかね。でもここに予算をかけ、才能にお金を払い、人材を集めつつ育て、そこにしか勝ち目はないでしょう。配信時代に、かつてはお荷物であったテレビドラマが、一躍ドル箱になったのは、故無きことではありません。金をかければいいってわけではありませんが、カネと時間と情熱が込められた作品は、ロングテイルで稼いでくれるコンテンツになる可能性が、高いですよね。

■長尺のドラマが鍵■

アニメだって、制作スタジオの経営がプロを入れて本格化したら、もうテレビをスキップしてネット配信のみとか、変わっていくでしょうし。権利関係でアメリカの会社とは揉めそうですが、そこも国際弁護士を入れて、対応できるでしょうし。バラエティに関しては、もうYouTubeの配信と差がないですしね。後は、30分とかそれ以上の、長い尺に耐え得る作品。残念ながら、まだそのレベルはないですね。

でも、『世界の終わりに柴犬と』のように、リミテッドアニメでも声優が一流だと、充分に面白いんですよね。こういう番組が増え、ちゃんと収益化できれば、「テレビである必要」はますますなくなり。それこそ、三谷幸喜さんのような才能が出てきて、『やっぱり猫が好き』のようなシチュエーションコメディをYouTubeで定期的に出せれば。まぁ、日本の小劇団は、そういう場で通用するようなクオリティの台本書きを、どこまで確保しているやら。ネットで見た平田オリザ氏の劇は、自分にはピンと来ませんでした。

■消える新聞と宅配■

ただ、テレビが滅びるかといえば、そんなこともなく。ただ、かつての歌舞伎が新劇に負け、新劇が映画に負け、映画がテレビに負けたように、テレビもまたインターネットに負ける、というだけで。インターネットの次に何が来るかはわかりませんが、たぶんネットの覇権は今後、半世紀は続くでしょうね。個人が才能に合わせて発信し、世界中で視聴される。クリエイターにはありがたい世界ですが、そうなったらそうなったで、諸々の問題は出てくるでしょうけれども。クリエイターが搾取される世界が変わるだけで、意味があると思いますので。

さて、下記リンクの、日本新聞協会による全新聞社の合計発行部数の推移を見ると、2000年に5370万部あった新聞ですが、2023年には2859万部と、46.8%ほども減っています。ほぼ半減。四半世紀で半減ですかね。10年でさらに半減するのではないでしょうか? インターネットの時代の到来は、テレビの凋落と同時に、新聞の凋落が明らかに。たぶん、これでクロスオーナーシップの解消が法的に強制されたら、もう新聞というメディアは、全国紙がなくなり。専門紙が残るだけでしょうね。それも、紙ではなくネットで配信される形で、宅配も消えるでしょうし。

ただ、新聞配達は消えても、あんがい宅配機能は残ったりして。自動運転の車に乗って、各家庭に食料品や必需品を配送する形で、あんがい生き残り。新聞も、調査チームを組んで徹底的に掘り下げる体制ができれば、ニューヨーク・タイムズ紙のように、復活はあり得るでしょう。規模は小さくなっても、記事によっては全世界で同時翻訳して読まれ、それに見合った報酬を記者がもらう時代へ。中間搾取的な組織が、時代の流れに勝てずに滅びるのでしょう。適者生存。


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