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Fランク大学と教育改革

◉けっこう前のポストですが、経済関係のネタでは、勉強になる意見が多いakoustam氏が、Fランク大学が教育という ピラミッドの裾野を支えているという意見に対して、反論するポストをされていました。自分も、いくつかの大学で教えた経験がありますし、一族には2桁 ほどは教師がいますので、教育について個人的に色々思うことを、だらだらと書いてみます。

教育のピラミッドの裾野はFラン大学じゃなくて「義務教育」や…文系Fラン私大なんぞに出してる補助金があったら、それを義務教育の充実に回した方がピラミッドの頂きは高くなるわ。

https://x.com/akoustam/status/1834852975942287439

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、東京大学安田講堂の写真です。

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■教育機関と研究機関■

akoustam氏の意見に、同意です。大学は教育機関というよりも研究機関であり、Simon_Sin氏のそもそもの認識が、ずれています。教育のことを考えるならば 小中学校の義務教育の充実こそが、教育の裾野を広げることでしょう。それに言えば、教育とは何も5教科やその他の教科に限定されるものではないでしょう。日本においては社会常識の教育や、成人後の社会のシステムに対する教育(保険や税金や社会保障、各種の公助システムなど)が、全然足りていませんね。akoustam氏の批判のきっかけとなった、Simon_Sin氏のポストも、以下に転載しておきます。

「底辺大学は潰せ」って人よくいるけど底辺の短いピラミッドの頂が高くなるわけがないのである
幅広い底辺が頂を支えているのよ

https://x.com/Simon_Sin/status/1834715175452393506

ハッキリ言えば、Fランク大学は大都市圏の、大卒の肩書きを与えるだけの存在になっています。地方のFランク大学は、社長のバカ息子が行く場所の認識の地元民も多いでしょう。教育の底辺を支えているのではなく、難関大学を卒業したポスドクの、受け皿になってる面が。で、そこへの採用の口利きなどで、教授が自分の派閥を強化するための具材になっている面も。後述しますが、自分は地方のコミュニティ・カレッジは充実させるべきだと思いますが、Fランク大学はもっと統廃合 した方が良いと考えています。

■個人的な教育改革案■

自分の考えをざっくりまとめれば、こんな感じですかね? 高校の義務教育化よりも、中学校を5年制にして、コース選択の方がいいような気がします。ドイツほど早い段階で将来を決める必要はありませんが、高校進学率が高い現在、いろんな選択肢を増やす必要が、あると思うので。そして重要なのは、横並びの進級進学ではなく、ある程度バラバラな年齢の人間が、共に学ぶシステムの構築でしょう。これはレベルに達していない生徒を無理に進級させたり、卒業させるのをやめることとセットですが。

・中学の五年制化
 →3年次で高校進学か職業訓練コース選択
 →5年生から高校や高専への編入も可能
・理系の高専の倍増
 →現在の58校・約6万人を都道府県で最低2校へ
 →工業高校の統廃合も含む
・文系の語学高専の新設
 →語学専門の高専の新設
 →士業育成の高専の設立
 →商業高校の統廃合も含む
・高専の大学院併設
 →修士号・博士号の取得可能
 →産官共同の研究機関としての充実
・ものつくり大学の増設
 →職業訓練コース修了生の入学
 →転職者の学び直しの場としての充実
・Fラン文系の統廃合
 都市部のFランク大学の統廃合と地方移転
・コミュニティカレッジの増設
 →人口3万以上の市に設置義務化
・科学技術大学院大学を5〜7校に増加
 →世界レベルの研究機関の充実
 →北海道・鳥取・高知・山形など人口減少地域へ

義務教育に関して言えば、職業訓練学校を中学校の中に組み込む必要はあるなと。ドイツのマイスター制度ではないですが、こちらの方に進学したらなんらかの国家認定資格を得られる、実務的な教育コースとして 中学校の中にあっていいかと。もちろんこれは少子化に合わせての、中学校の統廃合も必要になるのですが。ここら辺は専門家の意見を色々聞いてみたいところではありますし、あくまでも素人考えですので、ご批判はあるでしょうけれど。

■高専の増加と充実と■

そういえば 以前、高専を専門学校だと勘違いして赤恥をかいた御仁が、いましたが。全国の高等専門学校の平均偏差値は62.2で、しかも就職率がめちゃくちゃ良いので、地方では有力な進学先です。鹿児島工業高等専門学校の偏差値に至っては65です。これは旧帝大一工に二桁の合格者を出す、偏差値58-62の地方の公立進学校(九州だと八代高校や延岡高校など)より、普通にレベル高いですからね。理系大学では8割方が大学院に進む現在、工業高校は高度教育のための高専への統廃合が必要なのかもしれません。

文系高専は、小学生から英語を教えるような、広く薄くの無駄な教育をやるよりも、適性のある専門家を濃く深く教育し、増やす方が大事だと個人的には思うので。特に語学は、翻訳家と通訳では求められる適性が、大きく違いますから。現在の英語 一辺との語学教育ではなく、各国の言語を広く濃く深く学べる場が必要。はっきり言えば、私立文系の大学とか、教育リソースを書く必要があるのかと、たびたび 話題になりますが。資格取得の目標があるかどうかで、そこは大きく違ってくると思うんですよね。

その意味では士業高専は、無駄に高校大学と7年過ごすより、士業を5年で取る文系の高専の方に人気が集まれば、駅弁大学は自然に淘汰されるでしょう。自分が学生だった30年前だって、会計士の資格を取るために経済学部の学生がダブルスクールなんて当たり前でしたから。そんな授業料の無駄をするぐらいなら、弁護士・司法書士・弁理士・税理士・社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士・海事代理士の8士業は、高専の方が合格率が高いという形に持って行った方が、日本社会にもプラスのような……。

■コミュニティカレッジ充実■

本来は、早稲田や中央や法政って、そういう専門学校が建学の原点ですから。大学の方が名前が立派で高級そう、ということで専門学校が大学になったのが、日本の私立大学の歴史 なのですが。そのため、研究機関というよりも、就職のためのステップに成り下がっている面は、否めません。であるならば、有名私立大学に私立の高専設立を促すのは、ありでしょうね。また、Fラン大学でも、実業系や福祉系や美術系は潰す必要はないですけどね。それより重要なのは、生涯教育の場としてのコミュニティカレッジの充実かと。

トム・ハンクス主演のアメリカの映画『Larry Crowne』などを観ると、各地のコミュニティカレッジが、中年からの学び直しや、現在の職業の資格取得など、密接なんですよね。生涯学習の場、人口減少している地方にこそ、必要なんですよね。アメリカには、そういうコミュニティカレッジが1200以上、職業訓練や軍事訓練など、もろもろ含めると大学が4000校以上在るとか。今なら、Zoomで一人の講師が複数大学で、講義をすることも可能ですから。箱と事務員さえいれば、各地の公立高校に併設する形で、充実できると思うんですけどね。

あと、うちの従兄弟は高卒で就職後、夜間大学に通って学士と教員免許を取得し、社会人採用枠で40歳を過ぎて 高校の教師になりましたが。Zoomなどのシステムで、それこそ放送大学を夜間に高校で受講し、単位や学士号や修士号、博士号まで取得できるような改革こそが、教育の裾野を広げることではないのでしょうかね? 自宅で受けるより、そういう場に行くことの方が、集中力も違います しね。地方にもうそういう、学びのシンボルとなる場が必要。

日本では本来は 研究機関である大学が、就職のためのステップになってしまっているのが、教育全体を歪めている面もあると思うのです。そこを改革せず、Fランク大学を残しても、教育の裾野は広がらないと思うので。


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