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琉球王国と帝国主義

◉昔、ある沖縄大好きの左翼の人間が、自分が鹿児島出身と知ると「沖縄の人間に薩摩は恨まれてるね」と嫌味を言ってきたことがあります。なので「琉球王国は奄美や宮古八重山からは恨まれてるでしょうね」と切り返したら、キョトンとした顔をしていました。彼は琉球被害者史観しか知らず、加害者としての琉球王国史は、なにひとつ知らなかったのです。しかし左派の毎日新聞にも、こういう記事が載るようになりました。

【歴博の特集展「海の帝国琉球」 浮かび上がる「帝国性と侵略性」】毎日新聞

 「万国の懸け橋」を自任し、東アジアの大交易時代に輝かしい足跡を記した琉球王国を新視点で見直す「海の帝国琉球―八重山・宮古・奄美からみた中世―」展が、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で開かれている。海洋国家の爽快なイメージからは意外な「侵略性」「帝国性」にスポットが当てられ、新しい歴史像として刺激的だ。
 沖縄本島を中心に、北は奄美から南は八重山・宮古までを版図とした琉球王国。第二尚氏王朝の尚真王(在位1477~1526年)時代が最盛期といわれる。本土では室町幕府が弱体化し、応仁の乱から戦国時代へと中世も終わりにさしかかった時期に当たる。

琉球王国は、室町時代から戦国時代にかけての勢いが盛んだった頃は、奄美大島や喜界島を攻めた、侵略者でもあったわけで。それどころか、地理的には奄美諸島よりも遠い、宮古八重山地方も征服しているわけで。被害者史観はただの勉強不足なんですよね。まぁ、日本のリベラルはインテリブル割りには、基本的なことを勉強しない人間が多いんですけどね。

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■侵略者としての琉球王国■

宮古八重山地方は、オヤケアカハチの乱で攻め滅ぼされた、事実上の独立国でもあったわけで。けっきょく、征服された宮古八重山地域は、人頭税の苛政によって、苦しむことに。なにしろ、八公二民の超重税。しかも、作柄によって年貢が変わる検見法ではなく、不作でも一定に年貢を納める定免法の人頭税でしたし。マラリアのリスクの高い地域の強制移転もあったわけです。

平和に暮らしていた琉球王国の人々を薩摩藩が一方的に侵略した───みたいな史観は、間違いです。西暦1447年には尚思達王が奄美大島を服従させ、1450〜1462年の間はほぼ毎年、喜界島を侵略しています。そして応仁の乱の一年前の1466年には尚徳王が3000人の兵を率い親征し、喜界島を侵略います。その延長線上に、尚真王の宮古侵略があるわけで。弱い国は攻め滅ぼされる、戦国の習い。

■宮古八重山への苛政■

苛政とは過酷な政治のこと。宮古八重山地域にかけられた人頭税(正頭)は1637年から制度化され、明治維新と廃藩置県を経ても旧慣温存策で温存され、住民の直訴で廃止されたのが第8回帝国議会の1903年(明治36年)、江戸幕府の期間より長く温存されます。こういう、勉強不足の上に自信満々で無礼な言葉を浴びせかけてきて、間違いを指摘されても謝辞もしなければ感謝もせず逃亡。こういうレベルが琉球独立論を言うわけで。

まぁ、ツイートの後半は、日本語として支離滅裂ですけどね。普通に沖縄の歴史を調べれば、権謀術数渦巻きクーデターもある、普通にドロドロの政治があるんですよね。琉球は奄美に対しては、地元の有力者を代官的にサムレー階級にしても、沖縄本国とは同等の身分としては扱わないなど、植民地支配っぽい政策も採っていますしね。

■南西諸島の差別意識■

南西諸島は、実は南に行くほど差別が強いという現実があります。種子島・屋久島地域は奄美諸島を馬鹿にし、奄美の住民は沖縄諸島を馬鹿にし、沖縄は宮古・八重山地域を馬鹿にする。教科書には、こんな話は載りませんが。これは、1609年の薩摩藩侵攻によって、ある意味で琉球文化圏から早く離脱したため、薩摩藩への帰属意識が400年以上あるわけで。逆に宮古八重山は、被支配地域。

琉球王国時代、離島への勤務に派遣される役人には、家族の同行が許されず、そのため身の回りの世話をする人……要するに現地妻があてがわれてもいました。そういう女性は、それなりの報酬は得られても、一生日陰者だったり。そういう価値観の時代だったわけで、バカな左翼が現代的価値観を投影するには、不都合な真実は幾らでもあります。宮古市には人頭税でしたし。石も残っていますし。

ヴォーカルが山梨県甲府市出身のバンドTHE BOOMの『島唄』のヒットによって、島唄=沖縄のイメージがありますが。島唄は琉球王国にも薩摩藩にも侵略された奄美諸島の、いわば黒人のブルースのような哀愁を帯びた歌なんですけどね。まぁ、これを文化盗用云々言う奄美の人はいないでしょうけれど。〝すべての武器を楽器に〟なんてTシャツ着てる活動家に、自分が苦笑する理由です。

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