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台湾有事:海上&上空封鎖は失敗する

◉アメリカ国防総省が、台湾有事に対して、かなり突っ込んだことを言っていますね。戦争になれば、島国の台湾は海上封鎖され物資の補給が分断され、さらに空からの物資補給もできないように上空封鎖がなされるのは、常道ですから。ここで、中国の空母が生きてくるわけですね。海と空、両方の要になるので。特に台湾の東側、つまり沖縄側の海域で、有効。しかし、台湾には国際社会と連携して物資の輸送を確保する方法があり、中国軍の海上封鎖・上空封鎖は失敗する、との見方をアメリカ国防総省が示したとのことです。

【米国防総省 “中国が台湾周辺海上や上空封鎖しても失敗する”】NHKニュース

アメリカ国防総省の高官は、台湾への軍事的な圧力を強める中国軍が台湾周辺の海上や上空を封鎖した場合でも、台湾には国際社会と連携して物資の輸送を確保する方法があり、失敗するとの見方を示しました。

アメリカ国防総省でインド太平洋地域を担当するラトナー国防次官補は19日、台湾との防衛上の協力に関する議会下院の公聴会に出席しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230920/k10014200821000.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、花蓮の海だそうです。

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■蘇る飢餓作戦の恐怖■

実際に日本も先の大戦では、太平洋戦争末期にアメリカ軍が行った日本周辺の機雷封鎖作戦『飢餓作戦(Operation Starvation)』によって、東南アジアからの南方航路は閉鎖に追い込まれ、満州や半島とのシーレンが分断され、日本の艦艇もボコボコにされましたから。大和型戦艦の三番艦である信濃が、戦う前にアメリカの潜水艦に撃沈させられたのも、この飢餓作戦の流れ。このとき、アメリカの潜水艦による多大な戦果が、現在の海上自衛位の潜水艦重視の戦略に影響を与えるほどでした。逆に言えば、日本もアメリカも、海上封鎖については、研究していますから。

この中で、ラトナー次官補は、台湾への軍事的な圧力を強める中国軍が、台湾周辺の海上や上空を封鎖した場合について、「われわれの分析に基づけば、台湾には、国際社会などと連携し、産業資源や原材料、エネルギーなどの輸送を確保する方法があるため、うまくいかないだろう」と述べました。

同上

日本の場合、アメリカの潜水艦によって沿岸部の航路しかなくなると、そこで機雷による海上封鎖がなされ、さらにB-29による本土爆撃と畳み込まれたわけです。当時は、真珠湾攻撃などで空母機動隊の有効性が、初めて証明されましたからね。制海権という考え方はありましたが、制空権という考えが一気に発達したのが第二次大戦から。航空機の優勢というのは理解されていましたが、太平洋の島嶼部において、空母という存在の有効性と、制海権と制空権をウア部能力を兼ね備えた存在の、有効性が示され。現時点でも、空母はアメリカ軍の覇権の基本となる部分ですからね。

■商業船舶の攻撃問題■

現実問題として、台湾の海上が封鎖された場合は、交戦している軍の艦船同士の交戦ならまだしも、商業船舶を攻撃するかどうかとなると、これは大きいですね。アメリカの商船を、攻撃する決断ができるかどうか、ということ。そもそも、台湾周辺を海上封鎖したら、中国自体の海上物流に打撃があるでしょうしね。アメリカの商船には手を出さなくても、日本の商船には拿捕とかしてくる可能性がありますから。そうなったとき、マスコミはまたぞろ「人命! 人命! 人命最優先!」と騒いで足を引っ張るでしょうから、日本も今のうちから、シミュレーションしておく必要があるでしょう。

さらに、「中国にとっては商業船舶を攻撃するかどうか検討を迫られ、緊迫化の巨大なリスクを抱えることになる。大きな見込み違いとなるだろう」と強調しました。

同上

「それ、やるなよ」という遠回しの恫喝ではなく、「やっても無意味だよ」という警告でしょうね。もしアメリカの商船を拿捕したり攻撃しても、台湾へのダメージはあんまりないという分析。現実的に、そういう商船を襲うデメリットに加え、日本もアメリカも機雷を取り除く掃海能力は高いですしね。アメリカは質・量共に圧倒的ですが、日本も活動面積に対する対機雷戦能力は、世界最高水準にあるとされますし。うらが型・すがしま型・あわじ型掃海艦など、数もけっこう揃っていますし。日本の場合はむしろ、ウクライナ侵攻でロシアに肩入れするマスコミと文化人が問題であったように。

■量と質は別の指標?■

現実問題、中国海軍は日清戦争で一度滅んで、ここ数十年かけて育ててきた所はありますが。どうも中国は、ハコモノとしての艦艇さえ揃えれば、軍隊はなんとかなると考えているフシがありますね。これは、清朝の頃からそうで。「まだ沈まずや定遠は」で知られる清朝海軍の戦艦定遠は全長94.5mで満載排水量 7355トンという、当時としては大型の戦艦。日清戦争の黄海海戦にも参加しましたが、後の戦闘で自沈。同型艦の鎮遠は日本軍に鹵獲されてしまい、日本海軍に編入。「東洋ニ於テハ観ルニ稀ナル者ナリ」と外務省は表現した強大な艦艇も、使いこなせないと宝の持ち腐れ。

空母と言っても、ソ連(ウクライナ)製のスキージャンプ方式の空母と、アメリカの原子力空母では、そもそも質が違いますから。いわんや、兵隊の練度において、中国とは雲泥の差が。そもそも、中華空母の艦載機は、実践レベルの練度があるのか、そこからですしね。下手すると、中華空母はF-35Bを搭載したアメリカ級強襲揚陸艦にさえ、全滅させられるレベル。そもそも台湾空軍は主力戦闘機F-16を141機保有しています。ウクライナに投入されることを恐れられている、F-16ですから。制空権さえ、取れないでしょうし。

それでもなお、台湾侵攻はあり得るか? 有り得そうだから、アメリカは昨年から、警戒感を隠しませんしね。ロシア連邦軍のウクライナ侵攻も、当初は誰も予想しておらず、アメリカや一部の研究者が、予想していただけでしたし。空母の急ピッチの建造や、前皇帝たる胡錦濤氏に対する、公開見せしめのような追放劇を見ると、習近平独裁体制の完成も、これまた日米の識者の予想通りですし。なにか浅い考えで、「われに台湾制覇の秘策あり!」とか習近平氏が考えている可能性は、ありそうです。というか、中国のバブル崩壊と混乱を、見越していたでしょうし。そことセットの台湾有事なのかなと。

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