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始皇帝を目指す習近平

◉胡錦濤一派を、事実上の追放とし独裁体制を固めた習近平主席ですが。完全に、自分自身を現代の皇帝になぞらえ、現代の赤い皇帝にふさわしい事績を積み上げようとしているのでしょう。その場合の事績とは、先ずは対外的な遠征によって夷狄を打ち破ること。漢王朝の劉邦や武帝、隋王朝の煬帝、明王朝の永楽帝、清王朝の乾隆帝などなど、強大な力を持った皇帝が実行していますね。その次が文化事業や、歴史書の編纂。乾隆帝の『四庫全書』の編纂などがそうですね。でも、インテリ嫌いの習近平主席が、文化事業に乗り出す可能性は低く。

【「始皇帝」を目指す習近平が、台湾併合にこだわる“本当の理由”とは】ダイヤモンド・オンライン

習近平の本性を暴露した
女性研究者の「論文」

 中国人学者の蔡霞(さいか)氏が米外交誌の『フォーリン・アフェアーズ・レポート(Foreign Affairs Report)』誌9・10月号に発表した論文「習近平の弱点」が話題になっている。

 蔡霞氏は1965年生まれの中国共産党中央党校の元教授で、近年まで習近平指導部の教育部門中枢にいて中国共産党の思想的なバックグラウンドを支えてきた政治理論研究者だ。

https://diamond.jp/articles/-/312151

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、太陽公園で撮った兵馬俑のレプリカだそうです。

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■始皇帝の統一幻想■

始皇帝。言わずとしれた、初代の皇帝。皇帝という言葉自体は、伝説の王である三皇(天皇・地皇・人皇)五帝(黄帝・顓頊・嚳・堯・舜)から、生み出された合成語ですね。なお、三皇五帝に誰を当てるかは諸説あります。実は始皇帝以前の中華の歴代王朝は、有力諸侯の連合体みたいなもので、伝説の夏王朝・殷王朝・周王朝までは全部これです。そして、秦の始皇帝が初めて全土を統一し、ここに皇帝という概念と統一王朝という概念が生まれた部分があります。

本来の中国は、多民族国家で多言語。これを統一するのは無理があるんですが、始皇帝がそういう共同幻想を作ってしまったんですよね。現実には、中華は三国時代やら五胡十六国時代、南北時代、五代十国時代など、統一できていない時期も多いですよね。そもそも、始皇帝の秦自体が西戎──言語も文化も異なる西方の異民族ですから。

■中華の正統の概念■

中国には〝正統〟の概念があります。正統とは、三皇五帝の伝説の帝王からラストエンペラー宣統帝溥儀まで、天下を統治する資格を歴代皇帝が天から与えられ、それが途切れることなく継承されているという考え方です。皇帝を天子というのは、そのためです。なので、三国志では曹操の魏を後漢王朝の正統な後継国家として、呉の孫権や食の劉備は正式な皇帝とは認めていません。皇帝は世界に一人だけで、複数存在することはできません。ところが、この正統の概念で行くと、奇妙な事態が起きます。例えば、元王朝のモンゴル帝国。そもそも、モンゴル帝国がウルスという諸国の連合体です。

ウルスは、チンギス・ハーンが自分の子供達に与えた領地などが原型で、チャガタイ・ウルス、キプチャク草原を支配したジョチ・ウルス、西アジアのフレグ・ウルスなどがあり、かつての中華王朝の地に成立した元王朝は大元ウルスであるとする考えもあります。つまり、連邦の有力国家で、フビライ・ハーン自体は各ウルスの中で最も有力な存在という感じですね。で、中国史では、この元朝を滅ぼして明朝が成立したとされるのですが。元朝は滅びていません。

■中華民国と元王朝■

明朝に追われて、本来の本拠地であるモンゴル高原に帰っただけですからね。でも、明朝ではこの王朝を北元と呼び、別の国家扱いをしています。ところが、満州の女真族からヌルハチが出て、有力な国となり。息子のホンタイジの時、大元皇帝位を継承していたモンゴルのリンダン・ハーンの遺子エジェイから元朝の玉璽と護法尊マハーカーラ像を譲られ、皇帝として即位します。こうなると、大元帝国の正統は元朝工程から清王朝に直接継承されたことになり、明王朝の歴代皇帝は勝手に皇帝を名乗った僭主せんしゅ、という事になります。これって重要な部分です。

台湾は正式には中華民国。そして、現在の中国は中華人民共和国。台湾が幻聴の北元に当たることが理解できれば、習近平皇帝がなぜ、台湾統一にこだわるのか、よく分かるでしょう。中華文明の考えでは、前王朝がまだ滅びていないのですから。自分自身の正統性さえ、毀損する危険性があるんですよね。乾隆帝のような文化事業には興味がないであろう習近平皇帝は、台湾を滅ぼして完全な統一を果たすことによって、チベットなどを侵略した毛沢東、香港を実質取り戻した鄧小平に続き、中華人民共和国帝国における、領土を増やした名皇帝として、名前を残したいわけです。

■東アジア型専制国■

今どき皇帝だなんて、バカバカしい……と思うのは日本人の感覚。そもそも、日本の天皇だって、疑似皇帝制度ですからね。ただ、皇帝を名乗ると中華王朝から侵略の口実にされるので、皇帝のような皇帝ではないような、天皇号を生み出したわけです。そして、白村江の戦いでの大敗北で、日本は事実上の鎖国状態になり、天皇は外国とは国交を結ばないことで、モンロー主義的独立を保ってきたわけです。韓国のマスコミが天皇を「日王」とわざわざ表記するのは、韓国もまた東アジア型専制君主制度=皇帝制度に、未だにこだわっているからですしね。日本の右翼も、そこは同じ。

現代の中華皇帝たる習近平主席は、自分の正統性を示すために、是が非でも台湾信仰を狙っているわけで。アメリカがかなりの確度で、台湾有事を指摘するのは、それなりの情報を握ってるからでしょうね。実際、前皇帝である胡錦濤氏を、テレビカメラが入った状態で退席させるという、晒し上げみたいなことをやったわけで。覇者交代を、誰の目にも見えるように演出したと。そして、自分のイエスマンで上海経済をボロボロにしてでもロックダウンを実行した李強をNo.2に抜擢。これで台湾有事に備えていないなんてのは、政治音痴でしょう。

■台湾より尖閣諸島■

習近平主席自体は、実績のない二代目のボンボン、という部分があります。また、中国の権力争いは、派閥争いの面があります。そもそも、胡錦濤は自分の子飼いの李克強を後継者にしたかったのに、そこで起きたのが尖閣衝突問題です。で、国際政治音痴の民主党政権だったのが運の尽き。本人たちは船長をさっさと釈放して恩を売ったつもりだったんでしょうけれど。尖閣諸島を国有化するという、国際政治音痴ぶりを発揮してしまいます。これで胡錦濤の立場が悪くなり、別派閥が推す習近平が逆転で国家主席になってしまったわけです。

そういう経緯で権力の座についた、赤い皇帝が習近平主席です。胡錦濤一派を粛清し、万全の体制で目指すは台湾のみ……ではないですね。台湾の次には尖閣諸島を獲らないと、彼の正統性が揺らいでしまいます。我が国の領土を奪おうとする小日本めがということで、皇帝位についた人物ですよ? 沖縄県民とか、琉球新報や沖縄タイムスを鵜呑みにして、玉城デニー県知事を再戦させてしまったわけですが。排他的経済数域内にミサイルを着弾させた意味を、もうちょっと真剣に考えないと。ヒトラーの増長を助長したチェンバレンになりますよ?

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