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朝日新聞がブロック紙に転落する日

◉一般に、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞を、全国紙と呼びます。全国に向けてニュースを発信します。東京に本社があるので中央紙とも呼びます。コレに対して、特定の地域のニュースを扱う新聞を地方紙と呼びます。鹿児島県だけ、秋田県だけみたいな地域限定の新聞。販売地域が複数の都府県にまたがる地方紙をブロック紙と呼び、中日新聞や西日本新聞が代表的。産経新聞が実売部数100万部を割り込み、産経はブロック紙に転落するぞザマァと、左派がウキウキしていましたが。朝日新聞も、危険水域が見えてきましたね。

【【5月1日から値上げ】朝日新聞、経費削減で社内報廃止・希望退職募集の苦境 OBは「覚悟を決めなければならない時が来た」】マネーポストWEB

 朝日新聞が5月1日から値上げされる。朝夕刊セット版の月ぎめ購読料は4400円から4900円に、統合版は3500円から4000円に改定される(いずれも税込み)。背景に原材料費の高騰などの影響もあるため、購読者の間でも賛否両論あるようだが、朝日新聞OBからは値上げに対して憂慮する声が上がっている。元朝日新聞編集委員で『徴税権力 国税庁の研究』などの著書がある落合博実氏が、今回の「朝日新聞購読料改定」について思いを語った。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、朝日新聞東京本社の写真です。

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■21年で半減の部数■

朝日新聞はピークの2001年に832.4万部あった部数が、2011年に771.3万部、2021年には457.5万部。今年1月のABC調査では、379万5158と更に落としています。45.5%に減ってるんですね。読売新聞も同じで、全盛期の2001年は1028万部もあった部数が、652万7381部に。こちらは63.4%です。毎日新聞は、2001年に396.4万部あった部数が181万8225部で45.8%に。ちなみに、毎日新聞のピークは1973年の488.3万部です。それだけ、西山事件の影響は大きいと。その頃に比較すると、37.2%と大激減。産経新聞は2001年にピークの201.9万部で、47.5%です。

朝日新聞:3,795,158(-624,194)
毎日新聞:1,818,225(-141,883)
読売新聞:6,527,381(-469,666)
日経新聞:1,621,092(-174,415)
産経新聞: 989,199(-54,105)

http://www.kokusyo.jp/oshigami/17527/

こうやって見ると、営業力が飛び抜けて強い読売新聞以外は、おおむね2001年から45%ぐらいの落ち方。これは時代的なものの要素が強いということであり、同時に記者クラブ制度に守られて横並びの新聞というメディアが、もう見捨てられつつあるということです。新聞が消えることはないでしょうけれど、これが5年後に下げどめるのか、10年後に下げ止まるのか、そこはわかりませんが。読売新聞以外の全国紙は、全部ブロック紙に転落するでしょう。ただ、今は地方紙もネットで読める時代ですから。全国紙・ブロック紙・地方紙の区分は意味がなくなるでしょう。

■新聞は滅びないが…■

記事では、朝日新聞OBの落合博実氏が「このままいけば、やがて300万部も割ってしまうでしょう。」と危機感を持っていますが。残念ながら、300万部で下げ止めるとは思いません。アメリカという人口3億人の大国で、トップのUSA Todayで161万部ほど。2位のウォール・ストリート・ジャーナルが101万部、クオリティペーパーの代名詞のニューヨーク・タイムズが48万部に過ぎません。人口比を考えれば、USA Todayは日本なら67万部に過ぎません。日本人の新聞好きと、宅配制度に支えられているとはいえ、読売新聞ですら将来的には150万部ぐらいになる可能性があります。

つまり、朝日新聞は現在の産経新聞のように100万部を割る可能性だって、充分にあるでしょう。そこを回避しようと思えば、それこそE-inkスクリーンの専用端末を無料で貸し出し、宅配制度を切る必要があるでしょう。でも、宅配制度に支えられた日本の新聞は、国産ジーンズメーカーと同じ運命をたどるでしょう。ボブソンやビッグジョンが会社更生法を申請したのは、ジーンズが売れなくなったからでも、高級品に転換できなかったわけでも、UNIQLOなどの廉価なジーンズに負けたわけでもなく。ジーンズショップ全盛期に構築された販売網を、捨てきれなかったために衰退したと山田五郎さん。

■産経新聞が突破口に?■

さて、こういうときに大手は、時代の変化に対応できないものです。昔の出版社は写真植字(写植)を用いていましたが、このとき90%は写真植字研究所(写研)の機械が90%とかそれ以上というシェアを独占していたのですが。DTPの時代にいち早く対応したモリサワが、今では圧倒的シェアに。ビッグブルーと言われたIBMはパソコンの時代に対応できず、Microsoftに覇権を奪われ。Microsoftはスマートフォンの時代に対応できず、Appleに覇権を奪われ。Appleは比較的民主的なGoogleに、覇権を奪われたわけで。

人間は、成功体験に固執しますから。紙の本の出版で、流通の取次会社を押さえてのし上がった出版社は、電子書籍に積極的ではなく。新聞社も上層部は、「このインクの香りと髪の手触りが……」とか言うでしょうけれど。普通に宅配制度は団塊世代が去る10年を目処に、消えていくでしょう。そうなる前に、もっとも部数が少ない産経新聞が、どこかで宅配制度を諦めるでしょう。他社はそのやり方を真似て、遅れてついていく図式になる可能性があるでしょう。でも、販売店はいきなり切れない。ではどうするかといえば、販売店に宅配的な機能を持たせて、職業の転換を促すのはありかも知れません。

このままいけば、地方の店舗はどんどんコンビニやスーパー、大型店にシフトするでしょうから。であるなら、一日1回か2回、食料品とか生活必需品を定期便として宅配する仕事を加えて、宅配業者と融合できれば。そういう部分で、Amazonとかが販売店と提携できたら、面白そうですが。そういう大きな絵図は、いち企業では無理で、政治家がビジョンを示さないとだめでしょうね。新聞の内容も、金を払う価値のある特集主義、アメリカのような長期取材での記事づくりが必要。それが一番、難しいでしょうね。警察発表頼りですから。

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