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運転手不足で物流クライシス

◉物流クライシスとの日経新聞お記事。だって、自分が引越屋でアルバイトしていた学生の頃にバブルは弾けましたが、それでも昔は佐川急便で三年から五年働けば、4トントラックを購入する頭金ができたわけで(引越屋は余ったトラックで普通の流通もやっていましたので)。毎月60~80万とか稼げて、自分のトラックを持てれば、運送会社と契約して持ち込みで働く。4トントラックは、新車で1000万円からです。平ボディとか箱車とか、冷蔵車とかでずいぶん変わりますが。今は、大型免許や牽引免許を持っていれば、家族四人が食っていけるなんて状況があるのでしょうか?

【物流戦略なき30年のツケ 人材14万人不足、損失10兆円】日経新聞

2024年4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間までに制限される。人手不足に加え労働時間が短くなることで、物流が停滞する「2024年問題」が迫る。「経済の血液」とされる物流を止めない取り組みは待ったなしだ。

トヨタ自動車は物流会社に支払う料金を上げる方針を打ち出した。1次取引先からトヨタへ部品を運ぶ20〜30社が対象。24年4月から残業時間が短くなると運転手は手取りが減ってしまう。トヨ...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC19ALR0Z10C23A9000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1698633269

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

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■問題は荷主企業側に?■

ただ、考えようによっては、安倍政権での雇用の改善によって、売り手市場になったため、運転手の供給が減った面もあるのか? 大学や専門学校で教えていた身としては、就職がなくて青い顔をしていた学生が、一気に改善しましたからね。左派は、そこを頑なに認めませんが。売り手市場でホワイトカラー志向が高まれば、ブルカラーが人手不足になるのは必然。そこに少子高齢化の波が加わって、トラックやタクシーの運転手不足になったのか? そこら編の分析は学者さんに任せるとして。

TOYOTAは物流会社に支払う料金を上げる方針だそうですが、具体的にいくらになるのか? X(旧Twitter)を見ていたら、米小売り大手のウォルマート社は、入社1年目の運転手にも最大で11万ドル(約1600万円)の給与を支払うとのこと。そういう部分は大きいでしょうね。さらに、危機を煽るような見出しの日経新聞と違って、こちらの記事は具体的な問題点に切り込んでいて、わかりやすいです。ぜひ全文をお読みすることを、おすすめします。国土交通省マターではなく経済産業省マターというのは、驚きの指摘でした。

【物流クライシスは「荷主」に原因あり? フィジカルインターネットが切り開く、物流と日本企業の次世代戦略】FUTURE TALK

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の施行によって、2024年4月からトラックドライバーについて時間外労働の上限が年間960時間になります。
(中略)
「物流の2024年問題」についても、ドライバー不足の文脈が強調されがちですが、問題は決して人材不足だけではありません。トラックの積載効率が年々低下し、4割以下になってしまっているという効率性の問題もある。解決のために「物流事業者をどうにかすればよいのだろう」と思っている方も多いかもしれませんが、そこがもう間違いなのです。急いで女性のドライバーを増やす、外国人労働者を入れるとか、そういう物流事業者の“対症療法”だけで乗り切れる問題でもありません。これは、物流のドライバー不足の根本的な原因が「荷主」にあるからです。

例えば、BtoC市場におけるネット通販の拡大は物流の話題として目立ちやすいですが、重量ベースでは物流全体のたった5%程度しかありません。日本の物流の大部分はBtoBが占めています。

https://openhub.ntt.com/journal/7326.html

なお、BtoC(またはB2C)とは、Business to Consumerの略で、企業=businessが一般消費者=Consumerを対象に行う、ビジネス形態のことです。BtoB(またはB2B)はBusiness to Businessで、企業間取引のことです。何やら、Amazonとかの物流が目立ちますが、実はそれは流通全体の5%程度しかなく、実は企業間の取引が95%と。そこでで、余裕を持って発注できればいいのに、荷主企業が物流事業者に対して「明日持ってこい」とムチャな要求するから問題が起こるという指摘。要は、効率化の点で無駄が多いんですね。これは、BtoCでも置き配やコンビニへの配送指定で、負担軽減するのと同じです。

■カーシェアリング問題■

カーシェアリングとは、登録を行った会員間で車を共同で使用するサービスのこと。タクシー業界が反対していて、まるで白タクや自分の車を隣近所の人と貸し借りする乗合自動車方式のように喧伝していますが、そうではないです。ちなみに、ローカル線が廃止されたり、地域によってはバス会社が路線撤退しと、自動車の所有率が高い鹿児島県では、10年前から鹿児島市でカーシェアリングが行われています。過疎化と高齢化ですから、必然なんですね。地元の、南日本新聞の記事をリンクしておきます。

【車は「持つ」より「使う」もの…車社会といわれる鹿児島でもカーシェアリングが浸透 維持費いらず“ちょい乗り派”重宝】南日本新聞

 使いたい時に好きな時間だけ車を利用できる「カーシェアリング」が鹿児島市内で人気を集めている。サービスが始まったここ10年で、車を借りたり返したりできる「ステーション」は62カ所まで増えた。手軽さや維持費がかからない利点を背景に、車社会といわれる鹿児島でも「車は持つものではなく使うもの」という意識が高まりつつあるようだ。

 カーシェアでは、会員登録すればスマートフォンで車の予約から使用時の施錠・解錠までできる。対人手続きは不要で、店舗の営業時間の制約を受けるレンタカーとは異なり、24時間365日、いつでも使うことができる。ただ、レンタカーは借りたのと別の店舗にも返せるが、カーシェアは出発したステーションに返す必要がある。

https://373news.com/_news/storyid/184985/

現実問題、平成不況でなかなか自動車を持てない氷河期世代にとっては、カーシェアリングはありがたいシステムですね。田舎は、運転免許がないとどうしようもないんですが正直、数百万の自動車を持ち、その維持費やら考えると、なかなか手が出ない人間も多いでしょうし。そもそも、自動車を持っていれば女性にモテる、なんてのは幻想だと研究によって解っていますから。持ち家幻想、自家用車幻想が崩れたのは、平成不況のひとつの影響でしょうね。

1950年代後半の神武景気の頃は、豊かさやあこがれの象徴としてテレビ・洗濯機・冷蔵庫が三種の神器と呼ばれ、これを買おうと大衆は働き。高度成長期の60年代半ばには、カラーテレビ・クーラー・カーの3Cが、新三種の神器と呼ばれたのですが。80年代後半のバブル崩壊と長引く平成不況に、そういう物欲幻想は、もうだいぶ崩れましたしね。ただ、自分はパソコンの普及の遅れとか、それはそれで世界的なIT化のの流れを滞らせ、日本全体へのダメージが大きくなったので、問題だと思っていますけどね。スマホはスマホですから。

■自動運転で流通革命?■

BtoBの改善、カーシェアリングと来たら、次は自動運転でしょうね。これは過去にも何度か取り上げているので、繰り返しませんが。上の記事のように、BtoBの物流が95%ならば、逆に言えば定期便的なものは自動運転で、全国の高速道路網を利用して流通させれば、運転手不足の部分は、かなり解消されそうです。廃線になったローカル鉄道の跡地とか、自動運転車専用レーンとして再利用できれば、違うでしょうし。大量輸送の新幹線と鉄道、高速道路の自動運転、逆にBtoCの配送はコンビニや集荷場への配送を拡大で、なんとかなりそうな。

自動運転に関しては、流通の方での活用と、自動運転バスなどの人間の流通、自動運転タクシーでの個人の流通と、大きく変えられると思うんですよね。京都の大学のスクールバスとか、ああいうのはルートも決まっていますし、夏季や冬季の休暇中はガクッと利用者も減るのですから、自動運転で十分でしょう。田舎だと、自動運転タクシーができれば、自動車の需要はグッと下がりそう。まぁ、そうなると自動車が売れずに、メーカーは困るのでしょうけれど。どんな問題も、解決したら次の問題が出るもの。仕方がないですね。

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