フィリピンが一帯一路から離脱
◉着々と、外交で実績を堕す岸田文雄内閣総理大臣です。イタリアに続きフィリピンも、一帯一路構想から離脱の移行を示しました。中国が2017年に一帯一路構想を打ち出したとき、バスに乗り遅れるな論を言い募った方々、何かコメントはないんですかね? 権威主義国家のカネに目がくらんで動いても、慌てるナントカは貰いが少ないの諺通りですね。そもそも軽挙妄動しても、スリランカの二の舞いになるのは、とっくに予想されていましたから。時間はかかりましたが、良い処に着地できましたね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、フィリピンのボラカイ島だそうです。
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■対中国封じ込め■
西暦107年に後漢に朝貢した倭王・帥升以来、日本の代表が世界の外交に影響を与えたのは、日清戦争や日露戦争、国際連盟脱退、二次大戦などでしかなかったんですが。日米豪印戦略対話───クワッド(Quadrilateral Security Dialogue)という世界に通用する構想を打ち出した安倍晋三元総理は、島国の村社会日本では稀有な、国際感覚を持った宰相でした。クワッドもTPPも、本質は対中国封じ込め政策。その安倍政権で、長く外務大臣を努めた岸田総理は、やはり外交はエキスパートです。ある意味で、10年以上外交方針が一貫しているわけです。
思えば、自主開発に固執していた次期戦闘機F-3開発構想も、日英の共同開発に方向転換し、イタリアも参加する流れができたわけですが。イタリアの一帯一路離脱も、この流れにあります。外交において、アメリカ重視は仕方ないにしても、アメリカ偏重はよくないわけで。外交では未だに存在感のあるイギリス、G7の一角であるイタリアと、歩調を揃える相手を増やして上手く連帯していくのは、絶妙な一手。左派は安倍元総理を独断専行の独裁者のように言い募りましたが、実際は内政も外交も、協調路線。孤立し敗戦に至った戦前の教訓を、理解していましたね。
■インドと韓国も■
その流れで、この一文も重要な意味があるわけです。3件の主要な鉄道建設プロジェクトの資金は、アメリカ主導の世界銀行・日本の国際協力機構・アジア開発銀行に加え、インドと韓国による融資。まさにクワッドの一角であるインドの参加と、韓国の参加。従北以外に政策がなかった文在寅大統領から、尹錫悦大統領に代わって、韓国が矢継ぎ早に日韓関係を改善していく流れで、この流れはあるわけで。THAADミサイル配備で、中国に三不の誓いを捧げるほどの恐中病でもある文在寅政権だったら、融資なんかしなかったでしょう。
日本では、自称保守派のただの嫌韓嫌中房が多いので、尹錫悦政権の対日関係改善を、苦々しく思っている人も多いです。どうせ、次の大統領が反日なら、また掌返すのだろうと疑う人間も多いですし、その点は自分も同意ですが。でも、きちんと日本や国際社会の利益になる動きをしたら、是々非々で評価しないと。賃金を6000円上げたのに、「たった6000円かよ!」では、次は頑張って10000円上げようって気になりませんよね? なぜ左派の稚拙な岸田政権批判と同じことを、韓国に向けるのか?
どうも、大学院生をリンチするような親韓派には、自分は嫌韓派と思われているようですが。たぶん、一般的な日本人より、在日韓国人の友人は多いと思いますよ? むしろ、平均より親韓派の部類でしょう。好きとか機雷とか、感情の問題ではなく。科学や歴史の事実に反するデタラメを韓国政府や韓国マスコミや韓国人や在日韓国人が言えば、それは事実に反すると言ってるだけです。「エビデンスがないと駄目ですか? 数値がすくい取れない真理があります」とか、そんなお気持ちの話はしていませんので。
■日米印韓での楔■
日米豪印戦略対話は軍事的対中国封じ込め政策であり、TPPは経済的対中国封じ込め政策。政治とは、交渉力の後ろ盾に武力・経済力・知力があるわけで。武力は単に軍事力だけではなく、同盟国や友好国の、横のつながりも含みます。経済力も、単独の国の力は、限界があります。中国がこの10年で急激に経済力をアップさせたのは事実ですが、GDPはアメリカが26.1兆ドル、中国が19.2兆ドル、日本が4.3兆ドル、ドイツが4.1兆ドル、インドが3.8兆ドル、イギリスが3.4兆ドル、フランスが2.8兆ドル、カナダが2.3兆ドル、ロシアが2.1兆ドルです。
日米独印英仏加で、合計46.8兆ドル。いっぽう中露は21.3兆ドルで半分にも満たない数字です。だからこそ、ドイツや韓国を切り崩し、引き込もうとしているわけです。日米独印英仏加から左重心のドイツと、当距離が以降思考のインドと、アメリカに対抗心が強いフランスを切り崩せれば、36.1兆ドルに減らせ。中露がドイツと韓国を引き込めれば27兆ドルちょっとに。差がグッと縮まりますからね。だからこそ、コウモリ的な外交のフィリピンを、日米だけでなく印韓も引き込んで楔を打った意味は、大きいのです。
日本の現状では、まだ沿岸監視レーダーシステムの供与が限度。第二次安倍政権の2014年、武器輸出三原則等に代わる新原則として、防衛装備移転三原則を決定しましたが。あのときも左派は、軍歌の響きが~と、幻聴を聞いて大騒ぎしました。今となっては、早い段階で手を打っていてよかったという感想しかないのですが、それでも9年前の時点では、お花畑平和論が根強くあり、けっきょくは大したものは輸出できていないんですよね。ウクライナ侵攻で、そこらへんの認識も大きく変わりましたから、さらなる変化が必要でしょう。武器の共有という安全保障にも関わる部分ですし。
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