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ラムザイヤー教授と学問の自由

◉ハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイヤー教授が、学術誌のInternational Review of Law and Economicsのオンライン版に『太平洋戦争における性契約(原題:Contracting for sex in the Pacific War)』と題する論文を発表したところ、批判というよりバッシングと表現したほうが正確な騒動が湧き上がりました。その発端から顛末が、デイリー新潮にアップされています。『帝国の慰安婦』を発表した朴裕河教授に対して起こった弾圧と、同じことがアメリカでも起きた……と。

【「慰安婦=職業売春婦」論文で「村八分」となったハーバード大教授が激白する“異常なバッシング”】デイリー新潮

 2020年末に発表された論文「太平洋戦争における売春契約」は、「慰安婦=性奴隷」説を否定したことから韓国やアメリカで激しく糾弾された。だがそれは政治的意図に基づく運動で「学問の自由」を踏みにじる行為だった。騒動から1年、余りに酷い個人攻撃の全貌。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓弾のイラストです。

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■契約社会での契約書の意味■

論文に細かいミスがあるのは当たり前で、山中伸弥教授でさえ、スタップ細胞騒動のときにミスを指摘されていましたから。当然ですね。でも、あのバッシングはそういう学問上のより正確を期すための批判ではなく、ある種のイデオロギーや特定の国や民族、団体の利益を代表しているように思いました。それぐらい、ラムザイヤー論文はある種の人達にはマズい内容だったわけです。それは、慰安婦と雇い主の間に契約書があったということ。

日本人にはいまいちピンとこない人もいるかもしれませんが、欧米は契約社会。聖書の旧約聖書・新約聖書という場合の約とか契約のこと。性奴隷だ性奴隷だと言われていたのが、契約書があった。そりゃ奴隷とは言わないよね、というのが欧米人の感覚ですから。これは日本を悪の帝国にしておきたい人々にとっては、都合が悪いわけです。ドイツ軍はまさに、ポーランドやソビエト連邦の占領地で奴隷狩りのような慰安所運営をしていたのですから。そしてドイツは、謝罪も補償も日本ほどにはやっていません。

■契約社会でのグレーゾーン■

例えば、二・二六事件で暗殺された正規化の高橋是清。1867年(慶応3年)に藩命によりアメリカへ留学。しかし仲介した貿易商に学費や渡航費を着服され、さらにホームステイ先で騙され年季奉公(Indentured servitude)の契約書にサインしたため、オークランドの家に売られています。エイブラハム・リンカーンが南北戦争中の1862年に、奴隷解放宣言を出してるわけですが。日本の吉原などの遊郭でもあった、事実上の奴隷契約は残っていたんですね。

ウィキペディアには、こんな記述がありますが。
The 13th Amendment, passed in the wake of the American Civil War, made indentured servitude illegal in the United States. (アメリカ南北戦争をきっかけに可決された第13条改正により、米国では年季奉公が違法になった。)
慰安婦は契約書を交わしていた、という意味の大きさは国際社会、特にキリスト教の契約社会の欧米にとっては、大きな意味を持ちます。

■慰安婦問題と拉致問題の輪■

慰安婦問題自体は、以前からそれを問題視するジャーナリストや学者もいましたが。実際は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が日本人拉致を認め、その中に13歳の少女が含まれていたこと。これで、日本の風向きはすっかり変わってしまいました。それまでは、日本のテレビやラジオのアナウンサーは、「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国では……」という形で、民主主義ない軍事独裁国家で、人民ではなく金日成一族による、共和国でない専制君主国家の、国名プロパガンダに協力させられていたわけです。

わが故郷の鹿児島県だって、拉致被害者が含まれていました。大学の先輩で新潟出身の人に聞いても、地元では北朝鮮の工作船の可能性は、昭和の時代から常識でした。しかしその事実をテレビやラジオ、新聞や雑誌などの媒体で発言しようものなら、朝鮮総連やそのシンパが言論封殺していた訳です。圧力団体としての力を失った朝鮮総連やそのシンパ、韓国の従北団体が慰安婦問題を、それまで以上に大騒ぎするようになった、しかも少女像を前面に押し出すようになった、背景でもあります。

東洋の島国の黄色い猿たちは、悪の独裁者ヒトラーとナチスが率いるドイツ軍と同等かそれ以上に悪辣なことをしていたに違いない……というフンワリしたイメージで、韓国や北朝鮮のプロパガンダを信じて性奴隷が~とかいってた欧米の人間に、ラムザイヤー論文は大きなインパクトだったわけで。自分は、たとえ日本軍が奴隷狩りのような慰安婦募集をやっていたとしても、それで北朝鮮の国家犯罪を相対化できるとは、毫も思わないのですが……。それはそれ、これはこれ、チョコは微糖。

■学問が政治に負けるのか?■

党派性思考に囚われてる人は、それが可能だと思ってるようです。李氏朝鮮時代の人身売買とか、もっと酷かったのに。その後の展開は、あまりに予想通りだったんですが。日本のリベラル人の手法──数を頼んで封殺する──であったのですが。自分は、歴史学者でもないですし、いわんや外国での論文についての行方は、なおさら分かりませんが。記事を読む限り、ラムザいやー教授は論文のミスや不足部分は、随時修正されていくでしょうから、学術的に抹殺するのは、難しいでしょうね。

 しかし時として、学者らは、自分の主張が明らかに間違いであればあるほど、単純な真実の指摘に対して攻撃を激化させる。このテーマに関しては、日本史を専門とする米国人研究者らは驚くほど過激である。彼らは私の論文に対して、反証を試みることはしていない。論文の発行そのものの差し止めを求めた。これは学問の場におけるスターリン主義である。そしてそれは米国の大学における日本研究の将来にとっても良い方向とはいえない。

ラムザいやー教授のこの指摘は、重いです。たぶん、人海戦術やプロパガンダを駆使して、世論を誘導するでしょう。立憲民主党がCLPに金を渡し、あるいは広告代理店に莫大なカネを支払っていたように。しかし、科学が風評に負けてはいけないように。学問もまた、イデオロギーや政治に負けてはいけないと思うのんですが。この戦いも、不毛な消耗戦が続くのでしょうけれど。吉田清治なる詐話師の虚言を朝日新聞が報じた頃に比べれば、風向きはずいぶん変わりました。

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