映画業界の傲慢
◉X(旧Twitter)で、こんなポストが流れてきました。典型的な映画ドラマ業界(実写映像業界)の傲慢、というか元ポスト主はテレビ業界の人のようですが。どうしてこう、ナチュラルにアニメをバカに出来るんでしょうね。いや本人には、馬鹿にしているという自覚もないでしょう。選民思想というのは、得てしてそんなものですから。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。
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■典型的な選択肢の限定論?■
典型的な、「魚から水を奪ったら肺呼吸を始めるだろう」理論ですね。いやいや、鹿児島の片田舎でも30年以上前の時点で、邦画界に見切りを付けて、アメリカで映画を学ぼうと、南カリフォルニア大学の映画学科に行った人間がいます。日本の映画やドラマが、映像作家には厳しい状況だと自覚がなく、アニメがなければウチに才能が来たのにと言う、傲慢な意見です。ある意味で制作と発表を独占する、寡占業界の典型的な発想ですが。これに対する的確な引用ポストが、こちらでした。
邦画業界派でも、業界はでも、角川映画を商業主義と馬鹿にし、アニメをジャリ向けと馬鹿にしていたわけで。その結果が、漫画やラノベ、ゲーム原作に頼った、現在のていたらくです。いちおう、テレビはまだしも予算の関係でオリジナルが創れるので、テレビ発のヒット作もありますが。それでも、他業界の才能に頼ってるのは、動かしがたいです。
■女性が活躍できない映画界■
藤子F先生が、手塚先生のせいで本来は映画界に行くべき才能が、漫画界に来てしまった…と語っておられました。さいとう・たかを先生も、手塚先生の作品を読んで「ペンと紙で映画が作れる」と、漫画家になられたわけで。実際、女性漫画家にも映画監督になりたかった人はいたのですけど、当時は女性監督は皆無。どうやったら監督になれるかもわからず。なれても三十路過ぎが当然。ところが、24年組とか中学・高校でデビューし、次々とヒット作を描いてたので、人材が流れた面があります。
アニメ界も、東映動画は学歴差別があったようですけれど。虫プロは実力主義で、アニメ業界の女性比率は、映画業界より高いんですよね。世界の映画界の平均より、さらに低い女性監督しかいない邦画界は、人口の半分の才能を、ないがしろにしてきたのです。その事実をまず認め、自分たちがドブ川のような環境を変えるために何をやってきたか、虚心坦懐に反省すべきでは?
その自覚もなく、アニメ業界を敵視し、漫画やラノベ原作に頼りながら、有名脚本家が原作付き作品をバカにする。まさに、今日の状況を招いた理由を、映画業界は解っていないようです。一斉を風靡した浪曲界が、次の才能を育てる努力を怠って、凋落したように。どんな業界もヒット作や名人を作るだけでは駄目で、次世代に繋いでいかないと、そのジャンル自体が衰退します。落語界は、落語界全体で弟子を育てるシステムが有ったので、生き残りましたが。若き才能を育てたり抜擢するシステムがないのですから、それは才能も集まりませんよね。
■昔は良かった・昔に戻そう■
そういえば、新日本プロレスがブシロードに買収される前、プロレス関係者が、「昔のようにゴールデンタイムにテレビ放送されれば、またプロレス人気が復活する」と語っていたとか。プチ鹿島氏が東京ポッド許可局内でも、批判されていましたが、深夜ですら視聴率が取れないのに、どうやってゴールデンタイムに復活するんだ、と。正に絵に描いた餅。最初のポストとも相通じる、脳天気さを感じますね。そして、時代の変化に対応できていない、周回遅れ感。
ブシロードは、そこを脱却するために、新しいメディアであるYouTubeに試合を流し、逆に海外のファンを獲得し、昭和の活字プロレスファンを切り捨て、会場に足を運ぶファンを大切にし、復活を遂げたわけで。自分が、dada氏の「昔は良かった」論法に与しないのは、そんな過去を懐かしんでも、全盛期は戻ってこないから、です。全共闘老人の学生運動自慢と同じ、非建設的な繰り言ですから。こんなこと言ってる上に、日本版CNCとか言ってる邦画界・テレビドラマ業界は、浮上の目はしばらくなさそうです。
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