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実写邦画が衰退した理由

◉かつては、黒澤明監督に小津安二郎監督、溝口健二監督らが世界で評価され、さらに本多猪四郎監督や三隅研次監督らが後進に大きな影響を与えた時代を邦画の全盛期とするなら、邦画界は衰退したと言ってもいいでしょうね。昭和33年(1958年)には映画館の入場者数が年間11億人に達しましたが、ここから下り坂。映画館の数も、1961年の7457スクリーンをピークに、1993年には1734スクリーンまで落ち込み、ただ2021年には3648スクリーンに持ち直してはいますが。Twitterを見ていたら、こんなツイートが流れてきました。1970~80年代のアニメブームの頃ですね。

日本映画界をダメにしたのは、こういう脚本家なんだろうなぁ……という感想です。

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■プロ意識の欠如?■

黒澤明監督は、アニメに才能が集まりつつあることを、認めていたとか。 黒澤監督自体が、画家を目指したぐらいに絵も堪能でしたしね。その絵をさらに動かすことの大変さを、理解されていたでしょう。御本人もイメージボードを数多く描いて、画作りをしているぐらいですから。また江戸時代、近松門左衛門が大人気の歌舞伎よりも人形浄瑠璃に力を入れたのも、役者の個性を剥ぎ取り、理想の老若男女を造形でき、義太夫の声を当てられるから。つまり、役者では出来ない表現も可能な、あの時代のアニメのような存在だったからですし。現代なら近松門左衛門はアニメ業界に行ってたでしょう。また岡本喜八監督はアニメ好きで、市川崑監督は原点がアニメーターですから。

日本の悪しき部分として、舞台監督は映画監督をバカにしていて、映画監督はテレビ監督を馬鹿にして、テレビ監督はアニメ監督を馬鹿にして、の負の連鎖。さらに東映動画の監督は、虫プロの監督を馬鹿にし。で、今は「日本版CNCを!」とか、ほざいてそう。この講演会も、受けてくれる脚本家がいなかったのか? 名前は出していないのですけれど、そこそこの知名度の人物で、もっと集まると思ってたらこの状況だったってことじゃないですか? しかし、誰でしょうね、この脚本家は。まさか、荒井晴彦氏だったりして。アニメ嫌いの原点とか? そんなはずはないですね。ここまで無礼な人物ではないでしょうから。

しかし、金だけもらって帰ったのが、なんだかなぁですね。むしろ、その四人のために頑張りますよね。六代目笑福亭松鶴師匠は、ガラガラの客の前で『らくだ』を熱演し、落語に興味なかった客を虜にしたように。そういう地道な活動が、20人を割り込んで、絶滅寸前だった上方落語を、不死鳥のように復活させたわけで。この脚本家氏、たった4人の邦画ファンさえ、かえって嫌いにさせたり、少なくとも嫌な思い出を残したでしょうね。こうやって、何十年も経ってから、晒されてるんですから。

■どこの世界市場?■

アレです、総合格闘家はボクシングも柔道もレスリングも空手も学んで、それらの専門的な技術をリスペクトしてるのに、ボクシングや柔道やレスリングや空手の側は一方的に敵視してる、というのに似てますね。もちろん、実際にやってみて他の格闘技の凄さを知ってる人間は尊敬し、知らない人間は敵視するものですが。自分は剣道も柔道も骨法もやった上で、ブラジリアン柔術をかじった人間ですし。総合格闘技の凄さも、各格闘技の良さも一応は、知っていますしね。弱いですが。さらに、こんなツイートも紹介しておきましょうかね。

酷い内容ですね。ディズニー文化圏が何を指すか、明確ではないですが。日本は世界3位の興行収入国で、そもそも市場としては小さくはないんですよね。一昨年1位の中国では今年『雀の戸締まり』が、日本以上の興行収入で、さらに『THE FIRST SLAM DUNK』も大ヒットしました。 世界1位2位3位の映画市場で評価され、4位5位の英仏でも受け入れられてるアニメを、評価しない市場って……どこかな? 高名な某映画監督の脳内世界市場? 2021年の世界の映画市場213億ドルの内、中米日英仏で149億ドルほど。

これだけでも合計70%ぐらいになるんですから、印韓豪独露墨西のアニメの市場がある主要国で、合計90%ぐらいになっちゃうんじゃないですかね? 一体どこの世界市場でしょうか。これでは邦画の衰退も当然で、女性監督とか未だに少ないですから。2021年に公開された映画の、女性監督の割合はわずか12%だとか。でも、女性の才能を馬鹿にしなかった漫画界は、女性漫画家のほうが数が多いとも言われ。その文化的土壌が『鬼滅の刃』を生み出し、コロナ禍の邦画界を救ったのに。 他業種馬鹿にしまくりの平田オリザ氏の弟子・深田〝偉才〟晃司監督は、トンチンカンな鬼滅を批判していました。

■中園ミホ氏の傲慢■

昔担当した女性漫画家さんは、本当は映画監督になりたかった……と。でも、どうやったら映画監督になれるか解らず、女性監督なんて存在すら聞いたことがなくて。でも漫画なら、青池保子先生が15歳でデビューして、プロとして自分の世界を表現できていると。投稿からデビュー、連載の筋道もオープンでしたし。そうやって、人口の半分ちょっとを占める女性の才能を、映画界は締め出してきたわけです。脚本家では、女性も多く活躍しているので、女性監督が向かないとは思いません。でも邦画界は、男社会ですよね? さらに、さちみりほ先生のこんな指摘も。

中園ミホ女史、これは責任転嫁では? 漫画や小説原作の作品を、作家や出版社が映画界にゴリ押ししてる訳でもなく。リスクを減らそうと、経営陣がヒットという実績がある漫画や小説原作に頼ってるだけで。批判するなら、安易な企画を通す経営陣でしょうに。ちなみに2021年の邦画は、以下のようなデータがあります。

・2021年公開の邦画は490本
・興行収入は1283.39億円
・興収10億円以上は32本(前年21本)
・32本の興収総計は898.9億円
・32本(6.6%)で全興収の約70%を占める
・32本中19~20本がアニメか、漫画や小説が原作
・興収50億円超え3本は全部アニメ
・3本で全興収の約19%を占める

劇場版アニメは、約100本ほどらしいです。漫画や小説原作作品の数は解らねど。 打率が高いアニメや漫画小説原作作品の儲けで、邦画界は食わせてもらってる状態では? 責任転嫁の逆恨みですよね、これ。だいたい、500本近く制作されていて、アニメが100本ぐらい、漫画小説ゲーム原作の作品が200本ぐらいだとしても、オリジナル脚本の実写邦画は、200本ぐらいはあるはずです。コレだけ製作されてて、オリジナル脚本のヒット作がバンバン出てれば、経営陣だってそっちを優先するでしょうに。 そもそも、日本の映画興行市場は、洋画が支えている面もあります。 テレビドラマの比率は解らねど、似たような状況なのでしょう。ダメにしたのは、漫画や小説原作の作品なんですかね? 違いますよね。あなた達ですよね?

■観客もバカにする■

例えば、アニメと言っても何も、大ヒット作ばかりではないです。細田守監督の『時をかける少女』とか、最初はわずか6館の上映からのスタートでした。宣伝費も潤沢ではなく、事実として年間150本から200本ほど映画を見ていた自分も、池袋を歩いているときに偶然にその存在を知り、飛び込みで観たぐらいです。でも、口コミで評判が広がり、最終的には2.6億円の興行収入に。そうやってアニメでは、制作費も宣伝費も安いところかちゃんと黒字を出し、次のチャンスを掴む。もし、実写邦画がそういうシステムがないのなら、それはアニメや漫画原作作品のせいですか? 違いますよね。責任転嫁です。

この国の観客は良いモノを見抜く眼力があり、口コミの拡散力もあります。だから悪いのは、観客でさえもなく。 実写映画が毎年数百本は撮られ、でも結果が出ないのは、知名度や宣伝費の不足でもありません。『カメラを止めるな!』のような、口コミからのヒット作は、あるのですから。アニメや漫画原作のテレビドラマや実写映画がなくなれば、自分たちにチャンスが回ってくるとでも思ってるのでしょうか? 違いますよね。たぶん、安定した収益が出るアニメや漫画原作作品がなくなったら、かえってテレビドラマ市場も実写邦画市場も縮小するでしょう。思い上がるのもいい加減にすべきかと。でも、こんな発言も。

───こんなことまで言ってたなんて……。『花子とアン』も『西郷どん』も、良い作品だったのですが、妙なルサンチマンを抱えていますね。権威主義だからこそ、テレビドラマやアニメをバカにするんですが、山田太一さんまで引っ張り出して権威付けとは。でもそれを否定されてるんですから、滑稽ですね。これで「日本版CNCを!」とか言われても、アニメや漫画原作のヒットを、自分たちのお芸術作品によこせと言ってるも同然で、とても賛成できませんね。利権化し、分配する人間がより権力を持つだけ。こんな真似するぐらいなら、賞金1000万の映画・ドラマ脚本大賞でも開いたほうが、よほど才能が集まる契機になるでしょう。

邦画界、昔から腐ってるし、今も自浄努力も自助努力もしてなさそうですね。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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