見出し画像

AIのキャラ作画能力

◉興味深いnoteがあったので、紹介を兼ねて。現在のAIのレベルや、実際にそれを利用する手順もていねいに紹介されていて、とてもわかり易いです。個人的には、元のゲーム用のCGのキャラクターデザインよりも、AIが生成したキャラクター絵のほうが、好みなぐらいです。このレベルに達したんですね。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

ヘッダーはMANNZEMIのロゴより、平田弘史先生による揮毫です。これが平田先生最後の揮毫の可能性があります。

■一流の仕事は減らず■

AIによる作画能力の高まりは、かなりのレベルに達しつつありますが。ではそれで、イラストレーターや漫画家、絵本作家などの仕事が奪われるかと言えば、そんなこともないでしょう。ある意味で、ボーカロイドが出てきた時に友人のミュージシャンが言ってた「楽譜を読めないアイドルのために、代わりに仮歌をうたうような、三流のプロの仕事は減るだろうね」と同じでしょうね。一世を風靡したイラスト屋も、現在は無料イラストとしての使い方が、定着していますし。

そもそも人工知能による作曲とか、30年前にはすでにそこそこのレベルになっていましたが、今でも作曲は人力ですしね。クリエイティブというのはたぶん、「今はこんなのが流行ってるのか、では自分はその真逆をいこう」という、へそ曲がりがやることですから。写真が出てきた時、肖像画家をはじめとして多くの画家は、自分たちは職を失うかもと恐怖しました。しかし、印象派の出現によって絵画とは写実ではなく、現実には存在しない心の中を描くものとして、新たなステージを見出しました。

■人工アシスタント■

とはいえ、このAIによるお絵かき自体は、画家やイラストレーターにとってはあまり意味のないことかもしれませんが、漫画家にとっては大きな意味を持つかもしれません。それは、この AI に自分の画風や特徴を学習させ、人口アシスタントにしてしまう、という点で。つまり、AIにラフな下書きをしてもらったり、複雑な背景の絵や登場人物が多いモブシーンなどを、代わりに書いてもらうという使い方。

これは繰り返し言っていることですが、漫画というのは小説により詳しい絵がついたもの。絵本や紙芝居、連環画がより発達したものです。それゆえ漫画家とは、絵も描ける小説家みたいな存在と考えたほうがいいでしょう。原作付き漫画という存在もありますから、絵が描ける演出家、と言った方がより正確かもしれません。視覚的な演出をどうするかということが、漫画家の本質とさえ言えます。

■アニメにも波及■

そしてこれは、アニメーションの世界にも波及しそうです。それこそ AI に原画を学習させることによって、動画マンが不要になる可能性は、高いでしょう。と言うか、現在でも自動中割りの技術はかなり進歩しているようですし。元noteの内容を見るに、自動採色も併せて、アニメーションの省力化は一気に進むでしょうね。そうなった時に、必要になるのは監督や演出、レイアウトなどによる新しい演出の可能性の追求。

漫画もそうですが、AIによる作画では、著作権の問題がより大きくなります。しかし漫画家が自分の絵柄を学習させるには、何の問題もありません。アニメのキャラクターデザイナーや原画マンが自分の絵柄を学習させるぶんにも。それこそ、オリジナリティのあるイラストレーターの一枚絵から、漫画やアニメをかなり省力化して、製作することが可能になるでしょう。ここでもやはり、オリジナリティのある一流の人間には、ダメージどころかむしろプラスになる可能性さえ。

■映画にも波及■

この延長線上に、映画さえも変わっていく可能性はあるでしょうね。日本の映画席の一部には、アニメを見下し敵視する人たちがかなりの割合でいますが。現実問題、現代の映画には CG が不可欠になっています。CGもアニメと本質的には同じ、発想と技術で作られたものですから。それこそ数人の主役級の主要キャラクター以外は、全部 CG で作られるなんてことは、『グラディエーター』の頃から常態化していますからね。

CLIP STUDIO PAINT で知られるセルシス社の推計によれば、漫画家は全国に3000人から6000人ほどとか。アニメーターも似たような数か、動画漫画必要なぶんだけもうちょっと多いぐらいです。逆に小説家は2000人から4000人ぐらいではないかと、自分は推定しています。つまり、物語を紡ぐ才能というのはだいたいそれぐらいの数しかいない、ということですから。AIの発達は、そういう才能がより簡単に作品を作れるようになるだけで、創作者の仕事を奪うことはないと自分が考えるわけです。

■まとめです■

人類の歴史を見てきても遠近法、特に透視図法の出現は絵画の表現力を一気に高めましたが。それが生まれある程度完成されたルネッサンス期において、後期には早くも雑遠近法の動きが絵画の世界では生まれています。ルネサンス期の巨匠といえばレオナルド・ダ・ヴィンチですが、ダヴィンチの時代には既にカメラ・オブスキュラの原型が生まれ、それを後にはデッサンに利用する画家も生まれています。フェルメールとか。

しかし前述したように、カメラの出現によって肖像画家は仕事を失うどころか、カメラでは表現できないその人物の威厳であったり、人間性を表現する方向で、肖像画など写実的な絵画ですら、新たなステージを模索し、実際に開拓してきました。AI の出現は確かに驚異的な面はありますが、だからといって仕事がなくなるとか奪われるという発想は、創作者でない人間の、浅い認識に思います。絵は描けるけれどスピードが圧倒的に足りていない自分などは、「これで原作者が楽して漫画が作れるかも」ぐらいに思っていますよ?

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ



売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ