島田雅彦氏の保守論
◉島田雅彦氏は、作家としてはヒット作も多数で優れていますが、政治や経済や外交や軍事や科学といった面では、門外漢です。素人の素朴な疑問や視点というのは、安易に否定すべきではありませんが。新聞やテレビなどの 旧メディアは、そういう〝知名度はあるけれど専門家ではない人間〟に、自分たちの主義主張と近いことを代弁させることで、責任を回避しつつ世論をコントロールしようとする、悪い癖がありますね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。
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■いつもの思考停止■
しつこく書きますが、日本の左派の言論のルーツは、共産主義思想が世俗化し、薄まったもの。ベルリンの壁が崩れて、ソビエト連邦が崩壊し、中華人民共和国は 天安門事件を起こし、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は拉致テロ偽ドル札覚醒剤密輸ミサイル開発核開発のならず者国家だというのがばれてしまい、リベラルという言い方で誤魔化していますが。
その共産主義思想は、キリスト教にし改宗たユダヤ教のナビの家系であるという、宗教コンプレックスを持つカール・マルクスが、両宗教の千年王国思想を焼き直した疑似科学で、むしろ純粋化された宗教です。島田雅彦氏がなぜ、「(自民党を)政権の座から追放すべきだ」というかといえば、千年王国思想では最後の審判で異教徒は全て皆殺しにされ、信者だけが選ばれた神の王国に入れるという思想を、受け継いでいるからです。
自民党を政権の座から追放しても、その後を担える政党がなかったり、あっても実力不足で社会に混乱をもたらしては、意味がないのです。日本でも、民主党政権に任せてみたらとんでもないことになり、イロイロと文句や不満はあっても、自民党に任せる方がましだという消極的支持が増えたわけで。その現実を認められず、自民党 さえ取り除けば、良き政治が実現するというのは、ただの宗教的信念に過ぎません。
■作家の未来予測力■
記事では、島田雅彦氏がまるで未来を予言したかのような形で称賛していますが。考えようによっては、人気作家が要人暗殺を煽るような小説を事前に書いていた、ということです。もしこれが野党の政治家がモデルで、書いたのが百田尚樹氏で、実際に暗殺が起きたら? 毎日新聞は間違いなく批判したでしょうし、なんなら出版停止に追い込むような ムーブメントが起きたかもしれません。
はっきり言ってしまえば、作家が時代の空気を読んで、予言 めいた作品を書き上げることは、普通にあります。タイタニック号が処女公開で氷山に激突して沈没した事件の、何年も前に以上に似た『タイタン号の遭難』という小説が書かれたように。ただ単に、安倍晋三元総理と自民党の政治が気に食わない、暗殺したいという左派の空気を読んだだけに思いますが。
パンデミック系の作品なんてそれこそ、小説だけでなく 映画の世界でも頻繁に取り扱われる、ありふれた題材です。そういう作品を挙げることによって、さも島田雅彦氏に、世界の流れや動きを予見する能力があるかのように、錯覚させるリードですが。映画の『キングコング』だって日米開戦の予言と、大艦巨砲主義から空母打撃群を中心とした航空戦力への時代の到来を予言したと、考えることもできますから。でも映画に、日米開戦を止める力はなかったように。
■対米従属路線?■
「利権を手放さず国民から財産や自由を搾取しているとみる政治家と官僚への批判」とか、モロに共産主義ので発想ですね。もともと、バビロン捕囚の時代に、その惨めな状況に耐えるために、民族の紐帯としてユダヤ教は一神教として強化された部分があります。これが、実は過剰な復讐心を溜め込み、実際に自分自身が権力者となった時に、容赦ない復讐を躊躇なく 実行してしまう部分に受け継がれてしまったのですが。
対米追従云々も、オールド左翼のステレオタイプな政府批判に過ぎませんね。それは60年安保や70年安保の学生運動が、社会的に混乱を巻き起こしただけの空騒ぎであったことを認められない老人の、繰り言に過ぎません。国家社会主義者で反米主義者でもあった岸信介ですが、現実的には日本の周辺には共産主義国家が3つもあり、応募のジャイアンではあるけれど、これらの隣国よりずいぶんマシなアメリカの軍事力に、頼るしかないという現実的な判断をしたに過ぎません。
実際には、アメリカの無茶な要求に対して日本の政治家は、イノラリクラリとかわしつつ、要求を骨抜きにすることもしばしばで。アメリカからすれば、必ずしも何でも要求を聞くポチではないのですが。イスラエルとハマスの対立に対しても、G7の中で日本だけが独自の態度を示していますしね。国連安保理でのガザ停戦決議案も、 日本は賛成でアメリカが拒否権行使。一体どこが対米追従なのでしょうか?
■陰謀論の限界■
日本の学生運動が盛り上がったのは、実際は日本人の心の奥に、アメリカコンプレックスが根強くあり、その反米気分が共産主義思想にかぶれた学生たちを後押しをした、同床異夢だった面があります。ここらへんは、佐藤健志氏が、30年以上前に指摘していることなんですけれどね。でも、あさま山荘事件や総括リンチ殺人事件、セクトの相次ぐ内ゲバ殺人ですっかり、大衆の支持を失ってしまったのが現実です。
そして、プーチン大統領率いるロシア連邦軍のウクライナ侵攻によって、憲法9条教も非武装中立論もガタガタと崩壊。アメリカは確かに横暴なジャイアンだけれど、露中朝よりはるかにマシ。自民党も問題は多々あれど反対しかできない野党よりもはるかにマシ。そこが理解できず・理解しても現実を認めることができず、新聞やテレビなどの旧メディアは、価値観をアップデートできず。こうやって周回遅れの言説を垂れ流す。
けっきょく、是々非々の議論ができないから、陰謀論に走るしかないのでしょう。岸信介がCIAから金をもらっていた云々という、アレと一緒です。残念ながら、その証拠はありませんし、もし金をもらっていたとしても、国連でアメリカとイギリスの核実験を批判しつつ、時には助け舟を出すなど、したたかな政治家だったわけで。毎日新聞もこんな報道を繰り返していれば、2度目の倒産が10年以内に来る可能性は、高そうです。
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