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『表現の不自由展・その後』とクラウドファンディング

■あいちトリエンナーレの『表現の不自由展・その後』をめぐる騒動で、クラウドファンディングで支援する動きがありました。その件についての雑感や、諸々を備忘録代わりに(公開するのを忘れてました。せっかくなので改めて公開)。

【クラウドファンディングの収支決算】

さて、あいちトリエンナーレ2019が閉幕、過去最高の入場者数65万人以上を記録したとのこと。それだけ芸術に関心が集まったこと自体は、喜ばしいことです。

で、建前上はあいちトリエンナーレ2019の全ての展示の再開を目指す、実質は『表現の不自由展・その後』の再開のための浄財を集めるクラウドファンディングが行われていました。リンクは↓こちら。

最終的には、総額1141万2009円のお金が集まり、パトロンは703人に達しました。目標の1105万6000円を突破しました。単純計算で、一人あたり1万6233.29円の出資があったと。念の為にスクリーンショットも添付しておきますね。

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このクラウドファンディング自体に、現代アートを販売・仲介する側からも、疑問が呈されていました。良文なので、賛同する・しないはともかく、是非ご一読を。

ジャーナリスト津田大介が生み出した次世代が負担する"借金"


【上級国民が支えたクラウドファンディング?】

さて、そのクラウドファンディングの内訳ですが、
 ・5千円の記録冊子のPDFは279人、売上は139万5千円
 ・5千円の活動報告会は70人限定で12人、売上は6万円
 ・1万円の活動報告冊子は300人募集で259人、売上は259万円

この3つでパトロンは合計550人、売上404万5千円になります。

この550人は全パトロンの78.23%にあたり、売上の35.44%を占めます。逆に言えば、残りの22%弱で売上の65%弱を支える構造になってしまっています。1万円の活動報告冊子は募集人数を満たせず、人数に制限がない記録冊子のPDF(利益率がかなり高いはず)が、300人に達しない状況でした。

新聞・テレビ・ラジオ・ネットなどの各メディアで連日連夜報道し、特集を組んだ番組も複数ありながらのこの数と内実は、内容に疑問や嫌悪感を持った人間が多く、右派はもちろんのこと中道左派に運動が広がらなかった結果にも思えますが、いかがでしょう?

ちなみに、2万円の活動報告冊子もあり、こちらは100人でソールドアウト。しかしこれを加えても、全パトロンの92.46%が売上の52.97%を支える構造で、上位8%弱のパトロンが、売上全体の47%弱を支えるという偏りぶりです。

近年、格差が問題視されていますが、極端な米国の偏りはともかく、日本やイギリスやカナダは、所得の上位10%が全体に占める所得シェア率は40%前後です。あいちトリエンナーレのクラウドファンディングは、日本の標準的な富の分布からすると、まさに「成長はもういい」と嘯くような富裕層が支えていたのかも……言えそうですね。


トリエンナーレ全体は、かなりの盛況であったことを思えば、これは民意を推測する資料になりえないかな? 草の根の浄財が集まったクラウドファンディングではなく、ある程度高額な金を出せる上級国民が支えた、あるいは裕福ではないにしても高額な商品のパトロンになれる、特定の思想や運動に共感を示す層が支えた、と。

【他のクラウドファンディングとの比較】

ちなみに、こんなニュースも飛び込んできました。

香港のクラウドファンディングは4日で73万205香港ドル。9月12日から10月15日まで一ヶ月ほどやった、あいちトリエンナーレのクラウドファンディングは、ずいぶん寂しい結果に終わったと言えそうです。いやだって、叶精作先生の300冊限定の画集のクラウドファンディングでさえ、267万2511円も集まったのですから……。

ほぼ、叶精作先生のFacebookでの告知や、ファンの口コミやSNSでの部分的な拡散だけで、あいちトリエンナーレの4分の1に匹敵する額が集まったのですから。ちなみに、予想以上の人気だったため、この画集は今でも再製作を願う声が、叶精作先生のFacebookに多数寄せられているようです。

それでは、ここらでこの駄文を閉めたいと思うが、最後にとんでもない情報が入ってきたので、リンクしておきます。


よりによって、統一教会(世界平和統一家庭連合)ですか……。韓国の『ナヌムの家』が、大韓仏教曹渓宗を中心とした仏教団体の支援で作られ、挺対協(現在は日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)が開く、国際法違反の日本大使館前での水曜集会に参加しているのは有名ですが。

安倍政権を「戦犯の孫」と史実を捻じ曲げた批判する人たちが、その外祖父の岸信介から父親の安倍晋太郎氏まで関係の深かった統一教会をあまり批判しない理由が、常々不思議だったのですが。ひょっとして、これが一因?

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ