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Appleが乗用車投入か?

◉Appleは自動車事業から、撤退したと思われていたんですが。テスラのマネをして電気自動車に参入するとか、いやGoogleのマネをして自動運転技術に参入するんだとか、イロイロと噂だけはあったんですが。実際に、プロジェクト・タイタンと呼ばれる研究チームも、大幅にリストラされたとか、事実上の解散に至ったとか、噂は飛び交っていたんですが。そもそもこの話題が出たのが、2014年ごろでしたし。

日頃は、あまりこういう記事を書かない朝日新聞が、取り上げること自体が珍しいですね。ロイター通信の記事が元ネタではありますが。ロイター通信はAppleが、よく情報リークをする通信社ではあるのですが。Appleとしてはプロジェクト・タイタンについては、偽情報を流して偽装していたのかもしれませんけれど。元々が秘密主義の会社ですから。ライバル会社に情報がバレちゃマズいですし。

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■狙いはEV車か自動運転か?■

iPhoneやiPadやMacBook関連で、バッテリー関係で大きな需要を抱えるAppleが電気自動車に参入すれば、スケールメリットは計り知れません。iPhoneやMacBookなどの内蔵SSDでもそうですが、Appleは大量注文──しかも前払いで多くは一括注文──することで、ライバル他社よりも大幅に安い単価で入手できますから。ここら辺の生産管理は、ティム・クックCEOの功績でもありますが。

これは、現在力を入れているヘッドフォン事業も同じで。iPhoneのオマケで入れるヘッドフォンだけで、老舗のAV機器専門メーカーよりも生産数が世界一になってしまうほどに。それだけ生産すれば、ノウハウもたまりますから。そこで、Beetsブランドを買収して傘下に収め、PowerBeats Proなどのヒット作を出しつつ、AirPods ProやAirPods Maxもブランド化に成功する用意周到さ。

もっと言えば、Apple Watchもそうですね。もともと腕時計は、世界中に多種多様なブランドが存在し、CASIOのG-SHOCKシリーズでも年間700万本ほど売れるのが大ヒットだった時代にAppleは、一気に2000万本売れるブランドを、出現させてしまったのですから。iPhoneのメガヒットを軸に、関連する分野から新たな事業を派生させる、商売の王道の手法なんですよね。

■Appleの垂直統合志向と自動車■

こういう、軸足を本業に置きつつ新分野に進出するのは、野村進『千年、働いてきました──老舗企業大国ニッポン』でも紹介されていた、生き残る老舗の手法なんですよね。楽器メーカーだったヤマハが、金管楽器の金属加工技術からバイクのフレーム技術に進出し、そこからエンジンも開発し、そのエンジンをボート用にも開発してとか。エレクトーンの販売から半導体や精密機器に進出したり。

Appleの場合、商用OSを開発できる、数少ない企業です。そこを活かすなら、人工知能の研究開発は必然ですし、ハードウェアとしての電気自動車ではなく、運転のための各種システムを既存の自動車メーカーに提供する方が、リスクは少ないでしょう。ただ、それってMicrosoft社によるOSのライセンスビジネスに似ています。Appleの場合、ハードとソフトの垂直統合こそ、最大の強みです。

Appleは実際、独自CPUの開発に10年もの歳月を掛けて、結果的にARM系の低消費電力低発熱なのに高性能なM1を開発しましたし。そもそも、Apple Storeって流通まで垂直統合する側面もありますし。なのでそういう自動運転のシステムを提供しつつ、自社独自の電気自動車を提供するのは、ありでしょうね。iTunesというソフトウェアから先にリリースし、iPodの大ヒットを生んだように。

■次の事業の柱として■

2024年、先は長いですが。信者としては期待したいですね。どんなデザインを見せるか、それだけでもワクワクってなもんです。Appleはもともと、創業者のスティーブ・ジョブズが自動車好きでしたからね。スマートスピーカーではAmazonやGoogleに大きく差をつけられたのですが。パソコンで家という閉ざされた空間を、全部コントロールするスマートホームは、当然研究しているでしょう。

同じく、閉ざされた空間で完結する自動車は、もうひとつの選択肢でしょう。前々から、自動車とiPhoneの融合に力も入れていますし。自動車自体は、実はiPhoneほど儲かる産業ではないのですが。ものすごく大きな雇用を生む産業なんですよね。なにしろ、部品がとても多いので。元々がリベラルな社風のAppleは、国内産業の空洞化にも、手を打ちたいと考えているようでしょうし。

高級な電気自動車なら、アメリカ国内の人件費でも、やっていけるでしょうし。それこそ、共和党系に支持者が多いラストベルトに工場を作って、雇用を生むことは民主党系の国民を増やせるわけで。Appleが企業城下町を積極的に展開したら、そういう野望も達成できるでしょう。この報道が正しければ、という保留は付きますが。ヘッドフォンの次は、自動車が事業の柱ということで。


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