ティラノサウルス科の化石発見
◉自分が小学生の頃は、日本からは恐竜の化石は出てこない、と言われたモノです。いちおう、樺太から出土しているのですが、ジュラ紀や白亜紀の日本列島があった地域は、海底だから魚竜や首長竜の海棲爬虫類の化石は出ても、陸棲生物の恐竜の化石は出ない、と。また、いくつか恐竜化石らしきモノは出ていたんですが、確定せず。でもそれが今は、カモノハシ竜や雷竜はもちろん、恐竜界のスーパースターであるティラノサウルス科の化石まで、出てくるのですから、すっかり時代は変わりましたね。
【国内初、ティラノサウルス科の骨の化石見つかる 白亜紀後期・熊本で】朝日新聞
熊本県苓北（れいほく）町の地層から見つかった化石が、肉食恐竜ティラノサウルス科のあごの骨の一部であることが、同県天草市立御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館の調査でわかった。国内で同科の骨の発見は初めて。骨の形状から全長8～9メートルとみられ、新種の可能性もあるという。
両館が15日に発表した。歯を支える下あごの骨（歯骨）と歯の根元で、白亜紀後期（約7400万年前）の地層から2014年10月の調査で見つかった。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、福井県立恐竜博物館のティラノサウルスの頭骨だそうです。やっぱりカッコイイですねぇ～。
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昔は、首長竜も魚竜も翼竜も、恐竜の仲間という、雑な説明が子供も向けの図鑑などでもされていて。だから、ドラえもんの名作『のび太の恐竜』も、フタバスズキリュウが主役だったんですよね。首長竜は厳密には恐竜ではありませんから。また、エゾミカサリュウの騒動もありました。モササウルス類の頭骨化石を、当時の国立科学博物館の研究員がティラノサウルス科の頭骨だと鑑定され、夏には三笠恐竜まつりが開催され、市の博物館に像まで作ってしまいました。
このエゾミカサリュウの化石自体、モササウルス科の新種の化石で、保存状態もよく貴重だったのですが、恐竜ではなくトカゲとマスコミが報じて、すっかり盛り下がってしまいました。恐竜は価値があるが、海生爬虫類は価値がないなんてことはなく。太古の巨大生物は、それだけでロマン。自分などは先年、翼竜の化石が見つかったというニュースとか、ワクワクしますたけどね。翼竜も、恐竜ではありませんが、空を飛ぶ古代生物って、それだけで想像が膨らみますから。ラプトル類も発見されており、後は剣竜や鎧竜、堅頭竜の仲間ぐらいでしょうか？
ティラノサウルスは、現在の北米大陸で進化した、最大級の肉食恐竜ですが。カナダのアルバータ州で発見されたアルバータサウルスや、ゴルゴサウルス、ダスプレトサウルスなど大型で名前も知られた肉食恐竜も、ティラノサウルス科の仲間です。実は、先祖にあたる恐竜は、アジアにも多数存在し、ティラノサウルスに近い大きさのタルボサウルスなどがいます。なので、この化石もそういう、アジアのティラノサウルス科の仲間の可能性が高いです。大きさは、そこまでないでしょうけれど。
日本では、福井や福島、そして熊本から鹿児島が、恐竜化石の産地。です。そう、原子力発電所がある地域です。そういう場所は、古くて硬い岩盤があり、恐竜化石や貝化石の産地になりやすいんですよね。能登半島の七輪の原料になる珪藻土も、ジュラ紀以前の珪藻の化石ですから。個人的には、恐竜が人気がありすぎで、モササウルス類とか軽視されがちで、残念です。ダンクルオステウスとかもそうですが、恐竜以外にも魅力的な古生物は多いので、そっちにも子どもたちの目が向くと、嬉しいのですが。まぁ、ティラノサウルス科の発見は、嬉しいんですが。
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