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作家の副業と本業の話

◉昨日書いたこちらのnote、割と一部の人には反響もありましたし、補足的なことを描いておきますかね。小説家・漫画家・アニメーターという、ジャンル的に近かったり、被るところがある商売ですから。ゲーム業界も、そこに含まれるんでしょうけれど、個人的にゲームとは縁遠い人生だたので、あんまり語れませんので。ただ、漫画やアニメや小説の業界から人間が流れている職種ではありますね。ちなみにうちの講座にも、ゲーム業界の人がたまに受講しています。

そもそも、本業と副業ってのは、便宜的な話でしかないですからね。先ごろ故郷の星に帰還された千葉のジャガーさんとか、どれが本業かといえば。間違いなく、副業のほうがやりたいことだったでしょうし。

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■副業はあると有利■

例えば、子供が生まれたのをきっかけに、廃業された漫画家を知っています。やはり、安定して売れていないと、子供のミルク代は待ってくれませんからね。ただ、もし今のレベルの知識があったら、その人には廃業ではなく、専門学校の講師とか、勧めたでしょう。その方、師匠が後進を育てる名人で、逆に言えば師匠のノウハウを理解されていましたから。ご本人の朴訥な人柄も含めて、講師とか向いていたと思うんですけどねぇ……。

大学や専門学校の講師を、売れない作家の逃げ場と揶揄する人もいましたが。逃げちゃいかんのですか? 火山弾が降ってきて、手近に避難場所があるなら、逃げないほうがアホでしょうに。自分が売れているからって、売れないながらも必死に生きてる人を馬鹿にするようなマネをしてると、周囲から人がいなくなりますよ、と。それで副業として生活が安定するなら、なんの問題も無し。だいたい、人前でしゃべる話芸って、かなり難しいですよ。居眠りされてブチ切れるのが落ち。

■デザイナーの総数は?■

さて、先のnoteでもちょっと触れましたが、知り合いの漫画家でも、才能の限界を悟って廃業して、デザイナーに転職した人間がいます。ちょっと調べてみたら、全国にデザイン事務所は9000箇所ほどあるとか。プロの漫画家が3000人から多くても6000人と言われますから、この需要は大きいですね。もちろん、一人でやってる個人事務所も多いでしょうけれど、それでも漫画家の2倍か3倍ぐらいはデザイナーって需要があるんですねぇ。ちょっと古い資料ですが、下記リンク『デザイン関係統計資料』を、参考にどうぞ。

2014年段階でデザイン事務所は全国に9010箇所。従業者の総数は4万0563人と、プロの漫画家の6.7倍から13倍強です。内訳は男性が2万3395人で女性が1万7168人と、58:42ぐらいの比率で、女性にも比較的門戸が開かれていますね。デザイナーと言うと、ついファッションデザイナーを思い浮かべますが。デザインは雑誌や書籍のデザイナーから広告デザイナー、Webデザイナーまで多岐にわたりますから。知り合いは雑誌や広告関係のデザイナーになりました。

■副業が本業になってもいい■

知人の場合、挫折したとはいえ、画力は大したもの。プロ野球の二軍で鳴かず飛ばずの人でも、一般人からしたら信じられないボールを投げ、守備をするようなものですからね。全国に医師免許を持つ人は32万人ほどいるそうですが、漫画家は3000人から6000人しかいない。スポーツ同様、特殊技能なんです。加えてもともと、デザイナー的なセンスはある。さらに彼の場合は絵が描けるので、ただの広告デザインに、ワンポイントで絵を入れると、見栄えがぜんぜん違うのです。

クライアント側からすれば、普通はデザイナーとイラストレーターに個別に発注するのが、一人ですみますからね。加えて、イラスト分を割増でもらえるので、報酬的にも有利です。これは、友人がフードライターになりたいと言ったときにも、自分はカメラを買えとアドバイスしました。彼は東京工芸大でカメラは基礎から学んでいたので、中古の一眼レフカメラに10万円台のマクロレンズがあれば、ライターとしての記事とカメラマンとしての仕事が、セットでもらえるぞ、と。

それから10年以上。昨年、彼に会ったら「ミニバンを購入しようと思う」と言われました。理由を聞くと、最近はライターの仕事より、フードに関係ないカメラマンの仕事が増えちゃって、カメラ機材も増えて都内や関東近県の移動も多いので、それなら車を買ったほうが効率的なんだそうで。こうなると、どっちが本業か副業かわからないですが。自分のやりたい仕事より、需要がある仕事が大事、というのが解ればプロフェッショナルへの第一歩です。

■個人で編プロになれる時代■

そういう意味では、漫画家がデザイナーの仕事をイザというときのために身につけるのは、有用だと思っています。自分自身が、独学で覚えたAdobe三種の神器、Photoshop・Illustrator・InDesignのおかげで、ずいぶん助かりましたから。それこそ、知り合いのデザイナーのPhotoshopでの写真の切り抜き作業とか、千葉の風俗街の広告用冊子とか、イロイロやりました。そうやって勉強したおかげで、デザインの良し悪しも多少は理解できるようになりました。

InDesignで印刷書籍用の入稿用デジタルデータが作れるようになると、例えばコラムの仕事でもデザイン込みで完全データ(完パケ)にしてして渡すと、デザイン料込みで原稿料を上乗せできますしね。期せずして電子書籍の時代が来たら、漫画や画集や写真集というフィリックス型の電子書籍製作には、必須ですから。で、デザイナーに転職した元漫画家の知人、自分でアカウントを取ってAmazonで電子書籍を発表したり。カメラマンだと、よほどの大物でないと出せない写真集が、パソコンひとつで出せます。

■実は近いWebデザイナー■

実は電子書籍が出始めた初期、ブログ用にHTML(HyperText Markup Language=Webページを表現するために用いるマークアップ言語)とCSS(Cascading Style Sheets=HTMLの表示レイアウトなどの修飾を指定するのための仕様)を学んでいたおかげで、かなり理解が早かったんですよね。とはいえ、付け焼き刃ではなかなか大変ではあったのも事実ですが。電子書籍のプログラムは、基本的に同じ構造ですからね。

そういう意味では、
 漫画→デザイン→電子書籍→Webデザイン
というのも、実は繋がっています。いきなりプログラムを学ぶより、デザインから入ったほうが、向いてる人も多いでしょう。そしてWebデザイナーは、需要が多いんですね。詳しくは下記リンクを読んでいただくとして。本業として稼ぐのは大変ですが、補助的に身につけておくと損がない技術や知識でしょう。HTMLやCSSを学ぶと、自分の公式サイトやらの出来も変わってきますしね。

【Webデザイナーの将来性は?市場動向と需要の高い人材になる方法を紹介】CREATIVE VILLAGE

インターネット技術が急速に発展し、Web業界に熱い視線が注がれるなか、Webデザイナーの需要も近年右肩上がりに上昇しています。経済産業省の『IT人材需給に関する調査(2019)』によると、Webデザイナーを含むIT人材の需給ギャップは、2030年には少なくとも16.4万人以上となる見込みです。国内の労働人口が減少する一方、IT需要は今後も増加傾向にあると推計されています。

■イラストレーターは?■

これは別のnoteでも書きましたが。イラストレーターの年収は100万円以下が53%。本業では食えないわけです。200万円以下が25%で350万円以下が13%、合計91%にもなります。350万円以上で曲がりなりにも食えているのは、全体の9%でしかないという現実。それも350万円から600万円という、フリーランスとしては厳しい数字が7%を占め、1200万円以下が2%で5000万円以下が1%と、恐ろしい数字が並びます。

ただ、こちらのレポート『イラストレーター白書2019』を見ますと、イラストレーターの7割が女性であったり、興味深い数字が並びます。副業、あるいは趣味として利益が出ている人もいて、しかも調査結果が2661人と分母も大きいです。専業で食うには厳しいですが、絵で食うという意味ではアニメーター同様、マンガ業界と親しい商売。漫画家でイラストレーターを兼業する人も多いですしね。最初から目指すより、他業種から兼業が目立つ業界ではあります。

■アニメーターは?■

貧乏でブラックな職の代名詞のようなアニメーターも、推定数は3100~4500人という人もいれば、原画でも5200人と言う人もいます。『アニメーター実態調査2019』によれば、20-24歳は年収154.6万円と安いですが、25-29歳は245.7万円、30-34歳は511.1万円、40-44歳は520.7万円、45-49歳は529.8万円、50-54歳は610.8万円とピークに達し、55-59歳は543.8万円と落ちますが、60-64歳は592.0万円と何故かベテランのほうが盛り返し、65-69歳でも348.8万円となります。

物語を考えるよりも絵を描くのが好きなら、漫画家よりアニメーターを目指し、最初の数年間の淘汰に耐え、向いてるなら続ければいいですし。そこから、動きを表現する原画マンになるか、キャラクターデザイナーになるのか、背景専門に回るのか、適性に見合った選択肢は内部にありますし。監督や脚本も含め。そこで個性があれば、高田明美さんやいのまたむつみさんのように、イラストレーターの道も開けるでしょう。念を押しますがあくまでも、才能と努力の世界ですけどね。

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ふぅ、長々と最後までお付き合いありがとうございます。さて、いかがだってでしょうか? このnoteは無料ですが、4000文字以上の分量ですし、割と有用な内容だと思いますので、投げ銭がほしいですm(_ _)m 読んで面白かったんで、100円ぐらいは払ってもいいやという人は、続きを読むをクリックして、投げ銭をください。開いても、お礼の言葉が書いてあるだけです。でも皆さんの心意気が、モノを書く活力になりますので( ´ ▽ ` )ノ

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