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ウナギの人工稚魚の大量生産へ

◉ニホンウナギの稚魚を人工的に大量生産する技術を、水産庁の研究機関が発表したというニュース。いやぁ、ついにここまで来ましたか。絶滅が危惧されているニホンウナギですが、この完全養殖技術が軌道に乗れば、絶滅の危機も回避できるでしょうし、何よりも日本人の鰻好きを、満たせますしね。まぁ、個人的にはコンビニでウナギが安価に売られているのは、密猟や反社会的勢力の資金源の問題もあって、良いことだとは思わないのですが。

【ウナギの人工稚魚を大量生産 水産庁、民間に技術提供】日経新聞

天然資源に依存していたニホンウナギの稚魚を人工的に大量生産する技術を、水産庁の研究機関が4日発表した。人工稚魚の生産コストは2016年度時点で1匹4万円以上していたのに対し、生産効率を高めて1800円まで下げた。今後、都道府県や民間企業へ技術を普及し、量産化を目指す。

水産庁の研究機関、水産研究・教育機構(横浜市)を中心とする研究グループが大量生産システムを構築した。成熟させた母ウナギから毎週2...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB047PJ0U4A700C2000000/?n_cid=SNSTW005

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、うな重の写真です。

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■それでもまだ高い稚魚■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。ウナギの完全養殖―卵から生まれた仔魚が成魚になって、そこから取れた卵から仔魚が生まれるという、完結した養殖サイクル―には成功しているのですが、研究室レベルの成功と、商業ベースに乗るのは、また別の話ですからね。完全養殖に成功したが、仔魚は1匹4万円もかかる、というのでは商売になりません。4万円の仔魚を養殖業者が買い取って、養殖して成魚にして出荷して。中卸業者がそれを買って店舗に卸して、それを職人が調理したら、たぶん数万円になってしまいますからね。

ウナギのレプトケファルス

シラスウナギの価格は、検索してみると2021年のデータでは1キログラムで約132万円、今年は250万に高騰か……と出ました。実際のシラスウナギは、長いメダカのような小さな魚で、重さも約0.2グラムしかないです。なので、1キログラムで5000匹ほど。132万円なら1匹264円、250万円なら500円ということに。2倍近いトンデモない高騰をしても1匹500円ですから、1800円でもまだまだとんでもない価格です。さらに3分の1の600円、できれば6分の1の300円かそれ以下に下げたいところです。4万円のシラスウナギでは、40~50万円になってしまいます。

■ウナギは世界へ向けて■

ウナギの蒲焼、関東風と関西風がありますが。九州は関西の食文化圏ですから、腹裂きの関西風。関東は一旦白焼きにするので、身が崩れて端っこがボロボロにならないよう、背中裂きです。別に、切腹を嫌う武士の文化云々は、関係ありません。鰻の味が濃厚なのは、関西風。関東風は柔らかく、油が落ちてさっぱりした仕上がり。上下優劣の話ではなく、好みだと思います。自分は、やはり背骨や頭から出汁を取る、関西風の誰の味付けが好きですね。醤油や味醂だけで、あのタレができると考えているアンポンタンもいますが。んな訳ありません。店舗の誰は、ウナギをつけ込んで、そこで出てくるウナギのアミノ酸の旨味が、あの独特の味わいを生むのですから。

で、大学時代のアメリカ人留学生たちも、ウナギは大好きでしたね。流水りんこ先生の旦那さんの、インド人のサッシーさんもウナギの蒲焼は大好きだそうで。それだけ、ウナギの蒲焼の普遍性があるのでしょう。逆に言えば、鉄板焼や牛丼、寿司、ラーメン以上にアメリカ進出したら、受ける可能性が高く。生魚の寿司には抵抗がある人でも、蒸して焼いたウナギなら、抵抗感は少ないでしょうし、そもそも欧州ではウナギをパイなどにして食べますしね。そういう意味では、嫌悪感は少ないでしょう。ユダヤ教徒は、鱗がない魚ということで、いちおうタブーなんですが。近年、顕微鏡で鱗があるのが、確認されましたから。

■串打ち三年・焼き八年■

ウナギの職人は、串打ち三年裂き八年、焼きは一生と言われるぐらい、簡単には身につきません。職人が目打ちしてからさばいて、骨を取ってという動きは、本当にずっと見ていられる、熟練の技です。そりゃあ、安価に外国でボイルして、タレを付けて焼いたウナギの蒲焼もあります。自分も千葉に住んでいる頃に食べたことがありますが、それこそ落語の『鰻の幇間』に出てくるような、ゴムのように皮が伸びて硬~いやつでしたね。なので、確かな技術を身に着けた職人なら、外国でもきっちり稼げるでしょう。アメリカだと、やっぱり関東風の柔らかさが、好まれるような気がします。

ウナギ自体は、マンボウの次ぐらいに大量の卵を生む魚ですし、シラスウナギから成魚への養殖技術は、もう完璧に確立され、鹿児島とか静岡とか、盛んですから。うなぎの養殖自体は、日本国内の需要だけでなく、今後は世界的な需要を見越して、やっていくべきでしょう。養殖技術自体は産業スパイに盗めても、職人の修行期間は盗めませんしね。日本の輸出産業としても、また観光客のお目当てとしても、ウナギには期待しています。


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