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日本ドラマが世界で通用しない理由

◉日本の映画が他国に負けてるという意見は、映画業界から出てきますが。そういうとき必ず、フランスと韓国を引き合いに出すんですよね。なぜなら、両国とも国が文化保護という形で、手厚い支援をしているので。反対性を気取りながら権威主義者が多い我が国の映画界とか、すごそうやって公金に頼ろうとする。そうでなければ、フランスのフランス国立映画映像センター(Centre national du cinéma et de l'image animée=CNC)のような制度をと導入せねばとか言う。バカにしているアニメや漫画・ラノベ・ゲーム原作作品の上前を寄越せと、言ってるも同然なのに───。

【鈴木亮平「韓国に20年くらい差をあけられた」の衝撃 関係者が明かした、日本のドラマ現場の惨状とカネの問題】デイリー新潮

 俳優の鈴木亮平が日本のドラマの現状について「韓国に20年くらい差をあけられた」と発言し波紋を広げている。これは3月31日に放送されたフジテレビ系「だれかtoなかい」での出来事。Netflixで世界的ヒットとなったドラマ「忍びの家 House of Ninjas」を企画し主演した俳優の賀来賢人と対談した鈴木は、司会の中居正広から「(日本のドラマは)監督業、脚本業、プロデュース業と分けて……」と振られると「それで今まではこれた んですけど。我々は日本国内だけに向けて作品を作っていたけど、気がついたら海外、例えばお隣の韓国に20年くらい差をあけられちゃったっていう危機感がある」と打ち明けたのだ。...

https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04201051/?utm_content=bufferb92e7&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■足らぬ足らぬは工夫が足らぬ■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。佐々木俊尚さんの要約が、非常に的確ですね。けっきょくはカネがない。それはどこの業界も同じで、バブルの頃のようにカネが余ってる業界なんて、早々ないでしょうに。では、なぜ予算がないか? カネと時間をかけてこけるより、大手事務所のタレント起用で、そこそこの計算できる結果を優先するから、ですよね。そうでなければ、漫画や小説やゲーム原作に頼りながら、脚本家はテレビ局ではなく原作者に八つ当たり。

色々書かれてるけど結局は予算の問題らしい。「日本のプライム帯ドラマ制作費は3000万円。韓国は1億円、作品によっては2億円」。ネトフリとかに乗るしかないのでしょう。/鈴木亮平「韓国に20年くらい差をあけられた」日本のドラマ現場の惨状とカネの問題 | デイリー新潮

https://x.com/sasakitoshinao/status/1781821150240125168

ハッキリ言えば、映画・テレビ業界の脚本家に、才能が集まっていない現状があります。なぜ集まらないかと言えば、集めるためのシステムが構築できていない。そして、底から本当に才能がある人間が淘汰されて、世に出るシステムが、小説や漫画やゲームほど、整備されていないから。淘汰圧力が掛からないジャンルは、才能も育たないのは当然です。ジャンプとか、批判もされますが、あの淘汰圧の中で生き残るのは、やはり世界レベルの才能ですから。才能の選定に興味がある方は、コチラのnoteも参照してください。

■がんばれ! 敵も必死だ■

自分は演劇に関しては素人なので、素人なりの感想しか言えませんが。そもそも役者の演技力の上下も、基準が見えないんですよね、素人目には。狭いエコーチェンバーの中で、業界のお仲間がスゲェスゲェと、自画自賛してるだけに見えちゃう。そういう役者が、個性を発揮して原作とは違うキャラに造形しちゃう。もちろんそれで、できが良いものになることもありますが、原作改悪の批判が出る作品も多く。繰り返しますが、世界的に見ても以上に低い女性監督の数など、日本の映画界自体が男社会で、才能を伸ばせるシステムがないくせに、公金を寄越せと、カネのせいにする悪癖があります。

シナリオライターも、脚本で食えなかったのが、小説家に転向したら食えるようになった、なんて話を聞きます。これ、アニメーターで食えないんで漫画を書いたら、アシスタントでさえそこそこ食えた、なんて話といっしょで。才能に見合った対価を、出してないんですよね。きちんと儲かるシステムを構築せず、そこ苑の予算で大きな芸能事務所の有名タレントでそこそこの収益が出ればいいというシステムでやってるので。映画界の、製作委員会方式も同じで。そこから尖った作品は出てきませんよね。無難にまとまった作品にはなっても。ただ、そういう手堅さも必要は必要だとは思いますが。

■欲しがりません勝つまでは■

脚本家は、プロになる筋道と、実力判定が、外から見ると見えづらいです。であるなら、有名脚本家の徒弟制度とかコネとか、変な方向に傾くのは必然ですよねぇ。日本の演劇も、下北沢でそこそこ食えるので、世界どころか国内でさえ戦わなくてもいいぬるま湯になるのは必然で。それはそれで否定はしませんが、エンタメできちんと食える劇団四季とかの健全性のほうが、自分は真っ当だと思うタイプなので。そりゃあ、そういう環境でレベルが上がるかと言えば、疑問ですよね。小説や漫画のように、個人で苦行僧のように自己研鑽するならともかく、映画も舞台も、総合芸術ですから。

こんな記事『日本のアニメは海外で大人気なのに、なぜ邦画やドラマはパッとしないのか』も、ペケッターで教えていただきました。コクアに市場で食えるので、海外市場の開拓が不十分で。

 「熾烈(しれつ)な視聴率競争」うんぬんというのも結局のところ、電波を独占している仲間同士でプロレスをやっているだけなので、ボロ負けしても「倒産」や「廃業」につながるようなガチンコの競争ではない。

同上

そういえば大島渚監督がういぶん昔、映画監督の月収だと40万レベルと語っていた記憶が。だいたい、大企業の課長クラスの月給がそんな感じだった昭和の頃の話です。あれほどの有名監督が。けっきょく映画監督って、奥さんが女優で、仕事がない時は奥さんに食わして貰ってたんですよね。今はどうか知りませんが、昭和の時代はそんな感じで。ヌーベルバーグの旗手が課長クラスの収入って、構造の問題です。下手に予算をかけると、行かなくてもいいロケに行って、慰安旅行代わりにすると、北野武監督もテレビ番組で茶化しつつ批判していた記憶が。

いちおう、建設的な提案をするなら。脚本家には、自分でノベライズする力が必須でしょうね、今後は。これは以前も書きましたが、セリフを紡ぐ力があるなら、地の文はそこそこでも十分だと思うんですよね。名文を書こうとせず、わかりやすく、何がどうしてどうなったを、きちんと伝える。それこそ、ポルノ小説のほうがよほど、地の文で読ませる力って要求されますから。むしろ脚本家を目指すより、小説投稿サイトで先に売れて、それから自分で脚本を手掛けるほうが、かえって早道かもです。


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