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映画感想:100日間生きたワニ

◉この作品に関してはずっと、編集者の立場として「惜しい」と思っていましたし、Twitter上でも何度か書いた記憶があります。確かに単行本発行部数35万部は、メジャーなヒットです。自分の編集者としての経験から、メジャーなヒットは単巻で30万部以上がひとつの基準ですから。でもこの作品、もし手法を誤らなければ100万部いった可能性は充分にあったし、リリーフランキー著『東京タワー』並みの、200万部もあったでしょう。

100日間生きたワニ

ツイッターに100日にわたり投稿され大きな話題を集めた、きくちゆうきの4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」を「カメラを止めるな!」の上田慎一郎と、アニメーション監督としても活躍するふくだみゆき夫妻の監督・脚本でアニメ映画化。桜が満開に咲き誇る3月、約束したお花見の場にワニの姿はなかった。心配した親友のネズミが桜を撮影した写真を仲間たちに送るが、 それを受け取ったワニのスマホは画面が割れた状態で道に転がっていた。花見までの100日間、ワニの日常は平凡でありふれたものだった。花見から100日後、桜の木には緑が生い茂り、ワニの仲間たちはワニとの思い出と向き合えず、互いに連絡を取ることも減っていたが……。ワニ役の神木隆之介のほか、中村倫也、木村昴、新木優子が声優出演。

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以下、ネタバレもありますので、読み進める人は自己責任で、お願いしますm(_ _)m

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■作品としては面白い■

もし、間に入った広告代理店、あるいは編集部がある程度ちゃんとした戦術を持っていたら、続編も数十万部売れて、各キャラクターを活かしたスピンオフ作品も、もっと成功したでしょう。あるいは、グッズの展開も。ここら辺の考察は以前にしましたので、興味がある方は、下記noteのリンクに飛んでください。純粋に映画の感想を言うと。面白かったです。これは、普通に面白いアニメです。

事前に、絵が動いていないとか、紙芝居だとか、かなり酷評が踊っていましたが。この作品の作風や画風から言っても、動画の枚数を増やしてヌルヌル動くことは求められていないでしょうし。そして、構図の本を書く程度には構図には多少の知識がある自分でも、いい構図で描かれてるんですよね。で、エンドロールで疑問氷解です。コンテ・アニメーションディレクト:湖川友謙。そりゃ当然です。

■つきまとうカネの匂い■

ただ湖川友謙先生も、自分が昔関わったアニメのキャラを勝手に描いてヤフオク!で販売し、問題になっていた部分はあるんですよね。監督も『カメラを止めるな!』通称カメ止めの上田慎一郎監督で、こちらも盗作騒動があった人物。湖川友謙先生が絵コンテを切ったのなら、上田監督はただの名義貸しの疑惑が。どうやってもこの作品の周辺には、カネの匂いがプンプンしちゃうんです。

自分は、カネ儲けが悪いとは、ちっとも思っていません。このnoteだって、最初からカネの話をしていますからね。でも、カネを儲けるにしても、軽佻浮薄なバカなパンピーを騙してカネを搾り取ってやるぜという姿勢と、作品のクオリティを高めて、結果的にカネがかかってもファンが望むモノを作るぜでは、観客の受け取り方も違って当然でしょう。でも、本作はそうではなかった。そこが、ノイズになってしまっています。

■クリエイターファースト?■

本作の上映時間は、63分。155分のシン・エヴァンゲリオンの半分以下。近年の映画は90〜100分ぐらいが多いので、63分はやはり短いです。それでエヴァと同じ値段、という疑問はわきますよね。アンパンマンとか戦隊モノの劇場版も同じぐらいの上映時間ですが、あれは二本立てで短い作品をくっつけて、ちゃんと体裁を保っています。もし本作が、この長さなので料金は一般1200円とか打ち出したら。

例えば、『閃光のハサウェイ』は95分で、映画の日でも割引が利かない特別上映です。でも、個人的には大満足でしたし、このクオリティのためなら、まぁこの価格設定は仕方がないと思います。ガンダムというコンテンツには、そこまでの動員力は無いですから。でも、本作の周辺から見えてくるのは、できるだけ安い制作費で、各種の仕掛けで儲けようという、広告屋の手法。あるいは、フジテレビが没落した手法と言っても良いでしょうけれど。

■広告屋ファースト!■

秋元康商品がそうであるように、タレントを育てるのではなく、素材勝負で使い捨てる。『100日後に死ぬワニ』という売れそうな素材を見つけたら、知名度はあるけどアニメの監督としては実績の無い人物を起用し、有名タレントに声優をやらせる。そして、人気があるように見せかけるステルスマーケティングを仕掛け、観客動員を図る。何度批判されても同じ手を使うのは、実際にその手法が安上がりで効果的だから。

でも、いい加減にそういう手法は、通用しない時代です。今の若者は、ネットで広く情報を得ていて、偏った意見に埋没するのは左右とも10%前後。新聞・テレビ・ラジオの旧メディアの情報を鵜呑みにするのは、一握りです。そういう世代が、広告代理店的な手法は見切っており、むしろ嫌悪感さえ持っています。令和の世に、その方法論が破綻したことに、自覚的であるべきでは?

■商売は三方良しが大事■

ネットで共に育てたつもりだった作品が、実はステルスマーケティングに載せられただけだったかもと思われたら、それは急速に醒めます。実際に、広告代理店の仕込みだったかは、関係なく。そう思われたら、終わり。少なくとも今回、連載終了直後から商売っ気全開というこの下手な絵図面を書いた人間は、表に出ることなく、「今度は情報を小出しにすりゃあいいんだな、ウンウン」と思ってそうですが。

違うのです。もう、そういった秋元康商法的な手法や広告屋の手法がダメなんです。昨日の、小山田某の辞任もそうですが。彼の過去の言動の問題は、ネットでも繰り返し批判されてたのに、狭い業界に守られ、むしろ露悪的な悪行自慢をやってたのが、SNSの時代には通用しなくなったということ。商売の基本は三方良し。今一度その原点に立ち返らないと、目先の金に拘ってもっと大きな金を失うんじゃないですかね。知らんけど。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ