上野動物園とズーストック計画
◉恩賜上野動物園には3つの日本一があるそうで。歴史・入場者数・飼育動物の種類数がそれ。最古の動物園であり、トータルの入園者数は未だに日本一(旭川動物園は夏の期間限定で上回っている)ですし、世界三大珍獣のパンダ・コビトカバ・オカピがいるのは上野動物園だけだそうです。それほど多種多様な動物がいるのは、動物の種の保存という、学術的な面もあるんですよね。実際、絶滅危惧種のオガサワラカワラヒワの繁殖に成功したり。動物の遺伝子を保持するノアの箱舟として、動物園の役割は大きいんですよね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、象のイラストです。動物園というとまず、ゾウ・キリン・ライオンのイメージですね、自分は。
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■動物園には多様な側面が■
動物園としては、思ったほど大きくないですね。サファリパークなどの大きさに比較すれば、やはり古い動物園ですから。でも、飼育している動物の種類は日本一。遺伝子の方舟としての上野動物園の役割は大きいです。自分が学生の頃、バブルで景気が良かったせいもありテレビ局は24時間放送をしていました。そんな中、テレビ朝日のプレステージでしたか、動物園の反対派の人たちとの討論会みたいな内容がありました。
動物園は牢獄だ、だから動物園は廃止されて動物たちは解放されるべきだ、みたいな論陣を張っていましたが。それって無意識の、擬人化ですよね? 動物を人間と同じように考え、自由を奪われて拘束されている、かわいそうだと同情する。動物に自由とか基本的人権とか、そんな概念はないのに。当時は海外でも、研究機関の実験動物を侵入して解放する、なんて活動が盛んに行われていました。
■自然保護とエゴの狭間で■
現実には、上でも書いたように、動物園には別の役割もあるわけで。例えば佐渡島のトキ。当時の保護運動は、何が何でも自然繁殖に固執して、これが結果的にトキの絶滅を早めた側面があります。私はここら辺の事情がウキペディアにも書かれていたのですが、編集合戦で消されてしまっている事を見る限り、自然繁殖の人たちにとってはよほど都合が悪い事なのでしょう。
中国で発見されたトキは、人工繁殖でかなりの数まで増え、日本でも繁殖に成功して、野生に返す試みが可能な所までこぎつけました。これは兵庫県などでも取り組んでいる、コウノトリの繁殖にしてもそうです。人工繁殖という言葉に、過剰に反発をもち、結果的に絶滅を早めたのならば、それはただのエゴです。美味しんぼなどにも流れる、天然信仰ですが。信仰は信仰であって、真理でも真実でもありません。
■動物園と捕鯨と商業利用■
こういう問題は、捕鯨問題での意見の食い違いなどとも、通底するんですよね。クジラの賢い頭がいいと、勝手に擬人化して同情して、無自覚に命にランキングを作る。そもそも鯨の頭がいいと言っても、それは一部のハクジラ類に、人間の行動パターンに近い選択が見られるという話。ヒゲクジラ類だと、牛や豚と知能はあまり変わらないという指摘もあります。優生思想につながる考え方ですよね、それ? すべての生命は同じと言い出すと、ヴィーガンなどの思想に近づいてしまいます。
自分個人でどんな思想を持とうが個人の自由ですが、それを他者に押しつけたり、他文化を排撃しようとするとエスノセントリズムです。国際捕鯨委員会(IWC)でも相変わらず、揉めているようですが。科学が風評に負けてはいけないように。動物保護も、科学的な観点を忘れたお気持ち過ぎに流れたら、それ議論は混乱しますよね。動物園も捕鯨も、利益を得ることによってできる保護活動もあるということで。
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