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海自カレーの伝統
◉海上自衛隊では、金曜日はカレーの日とのこと。日本の国民食のひとつになったカレーライスに関しては、間違いなく明治以降の海軍が果たした役割が大きいでしょうね。日本の海軍はイギリス海軍を手本にしたため、インドを植民地にしていたイギリスを経由して、カレーの文化が入ってきた面があります。本場インドのカレーが、英国風にアレンジされたものですからね。
【海自カレー、うまさの秘密は特製だし 護衛艦いずも支える隊員の誇り】朝日新聞
海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」は今夏、約3カ月半にわたる長い航海に出た。なにかと制約のある艦内生活で、乗員の楽しみの一つは毎日の食事。鉄板メニューと言えば、もちろん「海自カレー」だ。味の秘密を「トップ」が明かした。
艦内で食事づくりを担当している隊員は「給養員」と呼ばれる。護衛艦「いずも」の給養員は19人。トップの給養員長が菅原治郎・海曹長だ。
子どものころから料理好きで、将来は料理人になることを目指していた。高校生のとき、海上自衛隊の艦艇で提供される食事のレベルが高いことを知った。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、DD-105 むらさめ型護衛艦いなずまの写真だそうです。蒼天に映えますね。
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■海軍とカレーと■
洋食どころか、白米さえなかなか食べられなかった地方の農家の次男や三男にとって、生まれて初めて食べるカレーライスは衝撃だったでしょうね。除隊した後、田舎に帰って、あのカレーライスをもう一度食べたいと思う気持ちは、カレー粉の普及を生み出し。未だに給食のメニューでは上位に入るほどの国民的な食べ物に。まあ 実際、美味しいですからね、カレーは。
軍隊の側からしても、大鍋で煮るカレーライスは効率も良く、ご飯に直接かけて食べるという部分も、日本のお茶漬けや鰻丼などの食文化と、親和性が高いですからね。明治以降、相撲部屋で鍋料理が普及したのも、熱を通して衛生的で、多人数が1度に食べるのに適していたからですしね。軍隊では食中毒がものすごく恐れられていますし。やりがいのある仕事、給養員長の言葉が素敵です。
「給養員の仕事がツボにはまった。たまたま、海外に派遣される練習艦に乗る配置も経験し、やめるタイミングを逃してしまい、今に至っている。ただ料理を作る料理人ではなくて、料理をすることで『国防』という尊い仕事にもつながっている。やりがい、誇りをもって料理を作れる」
NHKの朝ドラ『ごちそうさん』では、杏さん演じる主人公の息子が、料理人になりたい夢を叶えるために軍の料理人に募集しますが。日本の軍隊は食事を軽視しがちな伝統がありますが。世界中どこの部隊でもすぐに、バーガーキングのハンバーガーを供給できることを誇るアメリカの姿勢の方が、軍隊としては正しいと思いますね。
■悪しき緊縮主義■
泥水をすすってでも戦う兵士は、頼もしいですが、泥水 おすするのが当たり前と思うようになったら、軍隊としてはダメです。日本人の悪い癖で、目標を達成するために 突貫工事的なことをやるのをよしとして、それが常態化してしまって過労死という。ちゃんとした食事による栄養と、休養が大事。結局はトータルで見るとその方が効率的なんですよね。軍隊にとって食事は大事。
「カレーって結局、うまみ要素がポイント。塩味、甘み、酸味。味の全体のバランスのチャートをイメージしてください。バランスがいいとおいしい。『隠し調味料』という言葉を聞くこともあるが、隠し調味料ばかり入れてもバランスは崩れる。素材そのもののうまみの土台を大きくしてあげないといけない」という。
大変な状況なんだから、おまえも我慢するのが当たり前───その考え 自体は100%間違いではないのですが、往々にして日本社会のいろんな場面で、歪みをもたらしてきた現況でもあります。かのインパール作戦にしても、古くは『八甲田山死の彷徨』でも知られる八甲田雪中行軍遭難事件にしても、補給の軽視が日本の軍隊の伝統的な部分がありますからね。
■軍隊食も食文化■
海上自衛隊には、隊員の士気を高めるような美味しい料理を、今後も作っていただきたいですね。日本の海軍といえば 肉じゃがも、海軍発祥とされますね。候補地は舞鶴や呉など、いくつかあるのですが。その歴史的な審議は研究者に任せるとして。肉じゃがは材料がカレーとほぼ同じで、軍隊的にも非常にありがたい料理なんですよね。同じ食材で人気メニューが2種類作れるんですから。
洋食のカレーと、醤油ベースで和食風の肉じゃが、同じジャガイモ・ニンジン・タマネギ・ひき肉で、作れますから。しかも、肉以外は比較的長期間の保存が可能な野菜ですからね。シチューやハヤシライスも食材的にはかぶりますから、こういう軍隊の工夫は、その合理性に納得します。護衛艦いずもの乗務員は470人ほどで、給養員は19人。人数的にはなかなか大変だとは思いますが、頑張って欲しいですね。
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