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いかりや長介・志村けんの愛憎

◉いかりや長介さんの自伝『ダメだこりゃ』を読み返したんですが。ドリフターズの笑いは、いかりやさんがクリエイターで、他のメンバーは演者だった部分が強かったようで。ネタ作りに関しては、志村けんさんとすわしんじさんが若手としてかなり精力的だったことが伺われます。その意味で、いかりやさんと志村さんは、似ていたんでしょう。

【「私と志村じゃ、19も年が違いますからね」いかりや長介と志村けんの“愛憎入り交じった”師弟関係の真実】文春オンライン

 志村けんさんは18歳の頃、すでにドリフとして人気を博していたいかりや長介さんの付き人になるために、雪の降る玄関口でいかりやさんが帰るのを震えながら待ち続けたという。その5年後、志村さんのドリフ加入で二人はメンバーとして肩を並べることになる。
 ここでは、著書に『昭和芸人 七人の最期』などがある演劇研究者・笹山敬輔さんの『ドリフターズとその時代』から一部を抜粋。いかりやさんと志村さんの複雑な関係について紹介する。2003年5月、いかりやさんは体にガンが見つかり緊急入院していた――。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ドリフターズで検索したら、素敵なイラストが( ´ ▽ ` )ノー

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■座長と師弟■

二人とも、座長タイプの芸人。伊東四朗さんがインタビューで、三波伸介さんの急逝を惜しんだのも、この座長型の稀有な能力ゆえ。演者として優れていても、一座を率いる能力は別。座長タイプは稀有ですからね。いかりやさんと志村さんには、その資質があった。志村さんが亡くなって、その求心力で仕事を組めていた人間には、大打撃だったでしょうね。

いかりやさん、志村さんの加入でドリフが活性化されたため、将来的にはドリフのメンバーを順次入れ替えていくことも、考えていたとか。その点では、すわしんじさんの正式メンバー入りが、タイミングを逸したことを悔やんでいたとか。そこはやはり、独学でベースもお笑いも役者も極めたいかりやさんの、師匠が居ないゆえの欠点だったのか……。

■徒弟制度と学校制度■

このnoteでは、学校教育と徒弟制度について、言及することが多いです。それは、自分自身が武術では剣道を皮切りに多くの師について学んだ経験と、大学や専門学校や講座で学校教育に関わった結果、両者の利点も欠点も経験してるからでしょうね。漫画に関しては、ほぼ現場での叩き上げで、同時に徒弟制度のメリットもデメリットも知っていますしね。

志村さんは、その意味では田代まさし氏が、弟子のようなものでした。本来なら、志村さんが若手の芸人を育て、志村けん一座的な部分で活動もありだったのでしょうけれど。ドリフ以来の伝統か、そこはタレントと絡んで、その相手のコメディアンやコメディエンヌの部分を引き出すのが、抜群に上手かったのですが。無名の若者をイチから育てる、という部分は寡聞にして知りません。

■徒弟制度で伝えられるもの■

吉本興業が、徒弟制度の非効率さを嫌い、NSCという形で人材を育てたのですが。確かに、ダウンタウンら多くの才能は世に出て、吉本興業は大躍進しましたが。NSC育ちだと、自分が師匠について育てられた経験がないので、うまく育てられないのか。ここらへんは、落語の徒弟制度ってのはよくできていますね。それに、寄席という育成の場があり、弟子に直接稽古を付けなくても、他の師匠に出稽古して、演目を教わる。落語会全体で育てる側面が。

吉本興業は、そういう意味では演芸場は持っていますし、また吉本新喜劇という場もありますから。ただ、落語や演劇はある種の型がありますから。師匠から学ぶ文が大きいのですが。漫才をやらない漫才師が、司会業やらで大きく稼ぐ時代、そういう部分は型として伝承するものでもないですからね。そういう意味では、漫画界も特に師匠につかず、独学独覚で売れっ子になっる人は多いので。園芸業界は、考察するヒントになります。

■最後は生き様■

そういえば、六代目笑福亭松鶴師匠が、弟子の鶴瓶師匠が後に一番弟子になる笑福亭笑瓶師匠が入門を希望した時。松鶴師匠の許しを得て、ということで大師匠に挨拶に行くと、キミは人を笑わせるのが好きかと問われ、好きですと即答すると。「こいつの生き様を見習え」と、語ったとか。鶴瓶師匠には、松鶴師匠は一席も教えなかったそうで、兄弟子が教えてやってほしいと懇願しても、拒否したとか。

でも、破天荒で知られた松鶴師匠の生き様を、最も受け継いでるのは鶴瓶師匠でしょう。テレビで2回もチンチン放り出す落語家は、それが傷にならない落語家は、釣瓶師匠だけ。けっきょく、師匠は芸ではなく、生き様を伝えることが大事なのではないかと。そういう意味では、やはり志村けんさんといかりや長介さんは、師弟なんだろうなぁ……と。まぁ、自分には伝えるべき生き様はないので、技術の伝道者として、頑張ります。

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