Windows11は反Apple？

◉CNETがMicrosoft社のWindows11について、好意的な記事を書いています。しかし別にこれは、Apple対Microsoftという、昔ながらの手垢のついた対立軸を持ち出すような話では、ないような気がします。MicrosoftのナデラCEOにとっては、数年後に確実に訪れるであろう GoogleのChrome OSの覇権の時代に備えて、倒産寸前だったアップルが取った手法と同じことをやろうとしてるだけ。自分にはそう思えます。

アップルは常にアンチMS、今や「Windows 11」が反アップルに？

【アップルは常にアンチMS、今や「Windows 11」が反アップルに？】CNET

　一見したところ、Microsoftの「Windows 11」は、世界の多くのPCに搭載されているOSであるWindowsの堅実なアップデートだ。まず目に留まるのが、Appleの「iOS」やGoogleの「Android」を搭載するスマートフォンやタブレットを彷彿（ほうふつ）とさせる合理的なデザインだ。Microsoftはまた、コロナ禍を新たなやり方で切り抜けようとする人々を支援する機能を追加した。例えば、動画チャットアプリの統合や、ゲームをより快適にする技術、アプリの操作や文書の整理をするための洗練されたボタンやウィンドウなどだ。
　しかしMicrosoftは、最も重要なウリは囲い込みをしないことだと信じている。Microsoftの最高経営責任者（CEO）、Satya Nadella氏はWindows 11の発表後、同社のテクノロジーは、競合するGoogleのAndroidアプリを含む、可能な限り多くの製品と連携するように構築されていると語った。

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■Microsoft の撤退戦■

MicrosoftのWindows OSが覇権を握っていた時代は、かなりの無茶もできたし、囲い込みも可能でした。一番典型的だったのが、仮想化ソフトのバーチャルPCをMicrosoftが買い取ってしまい、最終的には開発を中止してしまったことがありましたが。圧倒的なシェアを誇っていた時代は、そういうこともできたのですが。すでにスマートフォンやタブレット型を合わせた市場的には、Windows OSは少数派に転落してしまっています。

今後、Chrome OSが順調にシェアを伸ばしていけば、少数派に転落したWindows OSが1にできることは、圧倒的なシェアを持つ側に擦り寄って、エメを測るしかありません。そしてそれは、倒産寸前だったAppleが実行した手法です。Appleの反転攻勢のきっかけになったiPodも、Windowsユーザーを取り込むことによって、世界的な大ヒット製品になりましたので。

■Appleの模倣戦略■

Microsoftはしたたかに、AndroidとChrome OSをWindows OS と親和性が高い状況に持ち込むことによって、生き残ろうとしているわけです。Apple が特許の訴訟の和解に応じ、Internet Explorer をデフォルトのブラウザとして採用し、Microsoft Office の Mac版の開発に積極的に協力したように。でもそれは共存共栄のためではなく、反転攻勢の時を伺い、爪を磨いていただけでした。

Microsoft ほどあからさまな商業主義に走らない部分もある Google は、そのお人好しの部分につけこまれて、Microsoft の延命に手を貸す形になるでしょう。これは Microsoft 自身が、アメリカの企業にとっては最も恐ろしい法律の一つである独占禁止法の適用を恐れて、Appleの延命に手を貸したのとも重なります。結果的にスティーブジョブズの復帰と、Appleの奇跡の復活を用意してしまいましたが。

■目指すべきは3社連合■

Windows11は、要求されるハードウェアのスペックがやや高く、その意味では Windows Vistaの再来になりかねないという指摘もありますが。Windows Vistaが、未来を見通す力が決定的に欠けていたスティーブバルマーCEOの、ユーザーはどうせWindows OSを使わざるを得ないという傲慢な思い上がりによって要求スペックが高くなったのに比較して、Windows11は生き残り戦略としての高級機種化。

そうなった時に、目の上のたんこぶになるのは間違いなく、同じ高級機種路線のAppleとMacであるのは間違いないでしょう。しかし、Windows陣営には実はキラーコンテンツらしいキラーコンテンツが、少ないんですよね。MacとWindows、主要のアプリはだいたい被っていますから。以前にも書きましたが、ナデラ CEO がやるべきは Apple との敵対ではなく、Google・Apple・Microsoft の三者による、Adobeの主要アプリに対抗するアプリの開発。

それができたら大したものなんですけどね。どっとはらい( ´ ▽ ` )ﾉ