見出し画像

葉っぱの形と進化

◉NHKの朝ドラ『らんまん』が、久しぶりにハマれる内容で、NHKオンデマンドで楽しんでいます。牧野富太郎博士自体、ある意味で研究者としてはひとつの理想形と言うか、ああ行きられたら良いなと思う人は多いでしょうね。これはたぶん、昭和天皇さえそうだったのでしょう。「雑草という草はない」という牧野博士の言葉を、わざわざ覚えていたぐらいですから。南方熊楠などとどうよう、奇人であり泰斗という。その牧野博士が愛した植物。進化の研究対象としても、とても面白いですね。

【葉の形はどう決まるのか】日経サイエンス

光合成をして生きる植物にとって,葉はなくてはならない存在だ。いかに効率よく光を浴び,より多くの有機物を生産するか。長い進化の歴史のなかで,植物は多様な葉の形を編み出してきた。例えば,ヒマワリは幅が広い大きな葉をつけて,イネは細長い葉をびっしりと立てる。葉の形はどのように決まるのだろうか。

葉の形作りを研究する東京大学教授の塚谷裕一は「細胞分裂する場所や速度の違いが決め手になっているようだ」と説明する。どんな形状の葉であっても,形を決める基本的な仕組みは共通している。植物の多くは葉の根元に細胞分裂組織をもち,ここから細胞を次々に押し出すようにして葉を作っている。葉の先端には古い細胞があり,根元にいくほど新しい細胞になっている。細胞分裂が盛んだった時期に作られた部分は幅広く,穏やかだと細くなる。「葉」といわれて多くの人が思い浮かべる楕円形や,先端が細くなったスペードの形は,こうした細胞分裂の速度変化の違いを反映しているとされる。

https://www.nikkei-science.com/202307_056.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、風景写真ですが、内容にマッチした、良い感じですね。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

植物進化という点を考えれば、カール・マルクスの進化論理解がいかに浅く、雑なものかと思います。ダーウィンは適者生存を言ったのに、それを優勝劣敗だと思ったわけです。そして、進化によって優れた生物が生き残ると思ったマルクスは、共産党が一党独裁する姿を、究極の進化の終着点と思ったわけです。でもそれなら、地上には究極の植物が1種類・究極の草食動物が1種類・究極の肉食動物が1種類となっていないとおかしいですね。でも現実は、多種多様な生物がいます。

これは、多様性ということを考えるヒントにもなるわけです。植物も、陰樹と陽樹があり、場所取り合戦に勤しみ。長いスパンでは陰樹が森を形成しても、今度は陰樹には絞め殺し植物がまとわりつき、その場所を奪う。でも、どちらかを絶滅させるわけではなく、調和しているわけで。いろんな気候や地形、環境があって、その中で適応して、自分の生き場所を見つける。植物の多種多様な葉っぱの形状も、そうやって獲得した形質ですしね。そこに、究極はないわけです。進化してるから偉いわけでもなく。

進化せず何億年も生き抜いたシーラカンスのほうが、進化した魚竜よりも優れていたことになりますからね。ナメクジウオとか、5億年以上前のピカイアからほとんど進化していないように見えますが、それでもこれからも生き残る可能性が。逆に、現在の海洋生態系の頂点のシャチは、1億年後には絶滅していて。相変わらず、サメはもうひとつの生態系の頂点にいたりして。そんなものかもしれません。植物も、同じように。イチョウのような古い形質のものが、生き残ったり。

そのイチョウも、分類的には杉や松などと同じ針葉樹なんだそうで。あの扇形の葉っぱの形は進化の結果で、たまに先祖返りで紐状の葉が出現します。それがくっついて、広葉樹のようになったんだそうです。で、秋には広葉樹のように落葉する。針葉樹は冬も枯れないエバーグリーンのイメージがありますが、違うんですね。あの形に進化しただけで、逆に言えば、寒冷地でも温暖地でもすくすく育ち、風にも強い究極の樹木なんか、この長い歴史の中でも出現していないように。究極生物なんて、存在しないわけです。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ