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AIが盗作小説を大量投稿?

◉自分は人工知能による、人類の生活の変化に期待する立場ですが、やはり悪用する人間は後を絶たないでしょうね。現時点でも、イラストレーターなどの絵を学習で取り込んだAI絵の生成が、かなりのレベルになっているのですが、その点が小説まで及んできたようです。自分はそれ自体は創作者の創作の深い部分を侵食するかといえば、2流や3流のジェネリック作品はともかく、一流の人間は奪わないだろうと思うのですが……。悪い予感が当たってしまいそうです。

【AIが書いた盗作」の投稿が爆増しSF雑誌が新作募集を打ち切り】Gigazine

SF小説雑誌「Clarkesworld Magazine」が「AIによる盗作の投稿が増えた」として新作投稿受付を停止しました。盗作の投稿は2022年末から急増しており、盗作のほとんどはChatGPTなどの高性能チャットAIを用いた作品だとされています。

A Concerning Trend – Neil Clarke
http://neil-clarke.com/a-concerning-trend/

Clarkesworld Magazineの編集者であるニール・クラーク氏によると、Clarkesworld MagazineにはチャットAIの発達以前にも毎月数件の盗作が投稿されていたとのこと。しかし、チャットAIが発達し始めてから盗作の投稿件数が爆発的に増加してしまいました。

https://gigazine.net/news/20230222-ai-sf-plagiarism/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、原稿用紙の写真です。

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■AI小説の可能性■

以前に、TBSラジオでフロッグマン氏が、『THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ好奇心家族』という番組をやっていまして。そこでは、AIに星新一先生のショート・ショートを読み込ませて、自動でショートショートを生成していました。これが、なかなかノベルで、驚きました。あれが2017年から18年にかけてですから、もう5年前ですか。あの頃より、格段にAIのレベルは上がっていますから、それはけっこうなレベルの小説が、生まれているでしょう。

ただ、それはたぶんに欠点が少ない、卒のない作品だろうと思います。自分も、投稿者の漫画や小説、原作は大量に読んできていますが。作品の構成どころか、テニヲハさえメチャクチャな作品が多く、そういう小説よりもよほどしっかりした小説をAIが書いているであろうことは、想像できます。でもそれは、囲碁でのAIが奇想天外な手を打ってきたというのとは、たぶん違うんですよね。人間の心という曖昧なものを、感動させるのはなかなかに大変ですから。

編集者が本業の立場からすれば、上手くまとまっているけれど過去作の影響が見えてしまう、無難な作品を大量に読まされたらたまりません。ひどい作品のほうが、スパッと落選させられますから。AIが書いた、80点ではあるけれど120点ではない作品で、これで賞がもらえると思うような人間が応募する作品なんて、商業プロにはなり得ないんですよね。だって、芸事は上位0.1%の世界なんですよね。学力が同世代の上位1%で東大に入れますが、0.1%は大学教授になるレベルですから。作家の絶対数が少ない理由です。

■人の心を描く難しさ■

何度か書いていますが、サヴァン症候群の天才たちには、画家も彫塑家も詩人も音楽家も数学者も建築家もいるけれど、小説家や脚本家はいないんですよね。どうも、そういう天才的な能力とは別の、奇妙な才能が必要なようです。だから、AIですごい絵が描けても、そのキャラクターを使って漫画が描けるかといえば、たぶんコマ割りや演出まで加えて、もっと総合的なマルチタスクな才能が必要なのではないでしょうかね。でも、AIで補助的な小説は欠ける可能性があるとも、自分は思っています。

以前も書きましたが、プロの漫画家の絵を徹底的に学習させて、AIをその漫画家専用のアシスタントにしてしまうことは、充分に可能でしょうね。アシスタントに任すモブシーンや遠景の背景、小物、効果線、仕上げ、あるいは自動着色など、作家本人がやったほうが良いけれどアシスタントが代筆しても良い部分を、AIがカバーする可能性。実際、自動着色はもうかなりのレベルになっていますし。で、これを応用すれば、小説家もAIで作品の量産が可能でしょうね。そう、例えば推理小説の人気シリーズなど。

たとえば、自分自身の人気キャラクターが確立されたシリーズ作品で、小説家が基本のシノプシス・トリックのアイデア・決めセリフなどを使って、ざっくり8万字分ぐらいをAIに書かせて、演じ場の内面表現などの部分のみ、作家が加筆していき、最終的に全体のバランスを整える、という形ですね。全部を1から書くのは大変ですが、そうやって作家当人が書いてもAIが描いても大差ない部分は、思い切ってAIに任せてしまう。

■作家のアシスタント■

もちろん、それなりの材料は必要でしょうけれども。例えば、の大まかな流れのシノプシスと、各段落の展開などを100字ぐらいの箇条書きにして、1万字も箇条書きにして渡せば、8万字分ぐらいAI書いてくれることも期待できそうな。それが10万字必要なところが5万字でも、その省力化の恩恵は、大きいでしょうね。いや、3万字でも。30%の効率化って、なかなかできませんからね。Androidタブレットの音声入力と万年筆での手書きを比べたら、かなりの省力化ができますからね。AIの発展はそれぐらい、省力化に貢献しますから。

赤川次郎先生は最高で、年間24冊の本を出版されたとか。でも、AIに半分でも任せられれば、年間52冊の新作を発刊することが、可能かもしれません。まさに週刊赤川次郎。まぁ、ファンの財布が追いつきませんが。でも、10~12本ぐらいのシリーズを並行して発刊なら、そのシリーズ自体は年に4~5冊ぐらいなので。シリーズのファンにはたまらんでしょうね。まぁ、そうなるとまた、数少ないヒット作家に寡占状態になって、新人作家が出てきにくくなるのかもしれませんが。出版社的には、お構いなしでしょうね。

古の画家たちも、レンブラントなどは自分の工房を持っていて、絵の任せられる部分は任せて、分業制度だったんですよね。浮世絵の巨匠・葛飾北斎も、女性は娘の応為が描いていた可能性が指摘されています。であるならば、例えば作中の蕎麦の作り方の描写などはAIに任せ、その蕎麦の旨さの表現部分だけ、作家が頭をひねってもいいでしょうしね。粗製乱造の危険性はありますが、アメリカでは人気作家は年1冊しか新刊を発売しないほうが、売れ行きが良いなんてデータもあるそうですから。

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