プログラマは全員ファッションができないし、ファッショニスタは全員オブジェクト指向プログラミングができない
・2600字強
・そもそも服には上半身と下半身の区別があるのに、それとは関係なく上着と下着という言葉を作った人、何?
内着と外着とかでいいのに。
でもこの際、それは大した問題ではない。もっと由々しい問題がある。
下着でも上着でもないやつをなんと呼ぶのか
という問題だ。
BingAIとかChatGPTに訊いたが、質問文をあれこれ工夫して試しても釈然とした回答は得られなかった。
肌着でもないし防寒具でもない、「パーカーとか」を抽象化した言葉はないのか?
皆は、家族との日常会話でそういう言葉が欲しいとは思わないのか? 皆は毎日「夏に着る上着を買おうかな」「冬の上着って出したっけ、ジャンパーのことじゃなくて、セーターとかのことなんだけど」「あれ、シャツの上に着るやつ洗ったっけ」みたいな発言をし続けているということ? 皆は、それでいいのか?
少なくとも、英語でのTopsとBottomsには肌着は含まれないそうだけど、日本語でのトップスとボトムスは肌着も含む。
セーター/パーカー/トレーナー/カーディガンのようなやつらは相互に互換性があるから、パーカーがなければカーディガンを着れば良い。互換性があるということは、パーカーを買ってきて欲しい旨を他人に伝えるとき、必ずしも「パーカー買ってきて」と言う必要はなくて、「パーカーと相互互換性のある服を買ってきて」と言いたい場面も多いことと思う。もう少し略したい所だが、「トップスを買ってきて」では誤解が生じるのだ。パーカーは、肌着とか防寒具とかとは互換性がないので、それらとは呼び分ける必要がある。
もしかしたら、ファッションに興味がある人は常に「私の緑のトレーナー洗っといて」のように具体的な指定をするから、抽象的な単語がなくても困ることがないのかもしれない。よくわからんけど。
しかしパーカーを適切に抽象化した単語が存在しないのは、あまりにもオブジェクト指向の思想に反している。
オブジェクト指向とは
雑に説明すると、これは「現実世界の概念の関係をそのままコンピュータに教えることで、プログラムを人間にとってわかりやすくしよう」という思想だ。
例として、現実世界の概念と、その特徴をいくつか挙げよう。
人間がこれらの概念を、この形のまま覚えるのは冗長的だ。しかも、例えば「クチバシがある」のような特徴を追加したくなったら、全ての行を書き換える必要がある。
普通、人間はこう覚えたいのではなかろうか。
これでスッキリした。以降、鳥類に属する概念をいくつ覚えても、差分を覚えるだけでよくなるし、「クチバシがある」のような特徴を追加したくなったら、「鳥類」の1行を書き換えるだけでよくなるのだ。
人間なら誰でも持っているこの抽象化能力は、いまやコンピュータにも実装されている。そのおかげで、人間はプログラムをより直感的に書けるようになった。
さてここで、
皆の脳内の「トップス」クラス
を覗いてみよう。
なあ、どうしてこの冗長さに耐えられる?
シャツ、お前はなんで2個ある?
「ボトムス」クラスも覗いてみよう。
気が狂わないのか?
コンピュータなら「error CS0101: 名前が衝突してるから名前変えて~」ってエラー吐くよ。
ズボンのことをパンツと呼んでる方々、検索で困ったことないの?
他にも「上半身の下着」「下半身の下着」を区別できる単語がないという問題もある。
皆がそうやって言葉の交通渋滞を起こすから、プログラマはバグって「ファッション」クラスを適切に実装できないのだ。
プログラマのファッションについて
プログラマといえば、なぜかチェックシャツ+デニムパンツというコーデを好む習性があることでお馴染みだが、その理由についてはご存じだろうか?
その理由は、プログラマが母親に服を買ってもらうための命令文を「シャツとパンツを買ってきて」とすると、最もシンプルな命令文で全てが揃うためである。
また、コーディング作業はチェック作業の繰り返しなので、無意識に「コーデにもチェックが欠かせない」と錯覚しているのだ。
ご理解頂けただろうか。
パンツについて調べているうちに、こういう画像を発見した。少なくともイギリスとアメリカは(並べたら衝突しているとはいえ)それぞれ呼び分けはできているんですね……
・すみません非プログラマの皆さん、今日から「肌着でも防寒具でもない服であり、トップスならパーカー、ボトムスならズボンと互換性がある服たちの集合」のことは、” 中着 ”と呼称してください。「ズボンが中着というのはおかしい」と思った人がいるなら、その人は雪国出身ではないということです。あと、肌着じゃない方のパンツはズボンと呼称してください。あと、ショート/トール/グランデ/ベンティは、小/中/大/特大です。カスどもが。
・おわり
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