《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第11話
三月二十五日(月)
環境対策課の職員は下まつ毛が長い。パシパシとまばたきをしながら奥歯ですり潰すようにあれこれボヤいている。まるでラクダだ。
別件の帰りに車を走らせながら様子を見るつもりだったラクダは、たまたま私と目があってしまったので、降りて来たらしい。水質成分分析は専門機関の職員に既にサンプルを採取してもらっており、結果は一週間後になることを伝えたら、今回は正式に来たわけではないので詳しくは聞かないと言われた。
ラクダは中和装置の中を覗きながら、
「ゾウ山だっ