《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第1話
あらすじ
戊辰鳥 後を濁さず
―つちのえたつとり あとをにごさず―
第一部「釜場」
三月十五日(金)
農家であり地主であるトキ家の跡取り娘として生まれた私は、二十歳の時、祖父の養子となり、祖父からボロアパートを一棟譲り受けた。
表向きはトキ家の血を絶やさないためとなっているが、実際は広大な土地を持つ祖父から相続を受けるためである。
医師が祖父に宣告したおおよそ三年後までに私は相続税として多額のキャッシュを用意しなければならない。そのため、ボロアパートを解体し、そ