150センチ、細身、20代、女、小型の軽自動車内に1人

夕方6時半、晴れ。あの日、車の運転をしていたら、おじさんが運転している車とかち合い、わたしもおじさんもL字に曲がりたかった。
わたしは西から南へ、おじさんは北から西へ。
要するに、わたしが留まっているところに侵入してきたい状況。
けれど細い一本道のため、わたしが曲がって抜けなければ、おじさんは入って来られない。
どちらが先に進もうかと考えていると、わたしが曲がりたい方向の対向車線側から(つまり南から北へ)車がやってきて、「この車が過ぎたらわたしが曲がって、おじさんが曲がるだろう」と、通りすぎるのを待っていた。

「さっさと曲がれ!!!」

?!???

低い怒鳴り声が聞こえた。
だいぶ苛立っている。
めっちゃ怒ってる。

あ、もしかしてわたしに?

わたしの車に対して垂直に停まっているおじさんが、わたしに向かって窓全開でめちゃくちゃ怒っている。

「いや、南側から車来てるから曲がれないよ」

とジェスチャーで伝えると

「かまわないから、さっさと行け!!!」

と追加で怒鳴られた。

南からやってくる車とぶつかるかもしれないのに、そのリスクを侵して、おじさんがこちらに数秒でも早く曲がってくるためにわたしに曲がれと言うのか?
もしぶつかったとしたら、保険会社に電話して、修理を頼んだり、相手と交渉したりするのは、わたしであり、被害者となるのは南からきている車である。
おじさんはすいすい進んで、我関せずだ。
わたしに怒鳴ったことすら忘れて、ショッピングモールでひんやりあま~いソフトクリームでも舐めながら、夜ご飯が用意されている家に帰るのだ。

結局、南からやってきていた車が、おじさんの剣幕と、わたしのたじろぎ具合を車内から察したのか、手前で停車して譲ってくれた。

もしわたしが、筋肉隆々の、もうゴッッリゴリに筋肉隆々の、男子だったとしたら(オプションでサングラスをプラスしても可)、たとえ小型の軽自動車に乗っていたとしても、あんな剣幕で怒鳴られることがあっただろうか?
もしくは、わたしの隣に男子が乗っていたとしたら、あんな剣幕で怒鳴られただろうか?

どう考えても、わたしの今までの経験上、怒鳴られることはなかったと思う。(どんな人間に対しても怒鳴ってくる人だっているだろうけれど。)

わたしは非常に悔しい思いをした。
『おっさんだから、小柄で若めの女を怒鳴る』はイコールではない。
『おっさんは小柄で若めの女を舐めてかかる』というのも、わたし的には絶妙なラインではあるがイコールではない。
その人が「こいつには歯向かわれても勝てる」と思う対象の人物に対して、強気に、無作法に、威圧的に、はたまた素っ気ない反応などをしてくるのだ。

夜ご飯を作ろうとして鍋を取り出すと、鍋の内側のコーティングが剥がれてきていたため、急いで買いに出たタイミングでの不運な遭遇であった。

自分を慰めるように、少し奮発してホウロウの鍋を買い、当時の彼氏にシチューを作り、泣きながら悔しさを訴えたのであった。

いま思い出しても、お腹の辺りがカッカしてくる。🔥
鶏モモ肉はぷりぷりに煮えていて、大変おいしゅうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?