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暑い日は和菓子がおいしい! 水無月レシピと冷やし白玉シロップ 〜わが家のおやつの雑記帳〜

 わが家は築100年の古民家、エアコンはありません。いくら風通しが良いといっても、ここ何年かの夏の暑さには断熱材無しの古民家暮らしの限界を感じていました。しかも年々暑くなるのが早くなり、5月、6月から夏日、真夏日。うー。そうなるとオーブンは使いたくない。台所に熱がこもってしまうのです。ま、ごはんの支度でさえ暑くてやる気になれないのにお菓子やパンを焼こうとはとても思えないけど・・・甘いものは食べたい・・・オーブンを使わず作れるおやつ・・・


 そう、ちょうど「水無月」の季節です。
 「夏越しの祓」に食べる「水無月」は氷に見立てた三角形のういろうに小豆をのせたもので、昔は貴重だった氷は暑気払い、小豆は魔除けの意味があるそうです。わが家では畑で育てた小豆を蜜煮にして無病息災を願います、なんて、実はお彼岸のおはぎみたいにただただ食べる楽しみの方が大きいのですけど。きっと昔の人も「水無月」を食べるの楽しみだったろうなぁ、なんて思いながら。

 和菓子は家で作るのは難しいと思いがちですが、作ってみると「ういろう」は混ぜて蒸すだけで案外簡単、だけど簡単そうなものほど難しいのが常(どっちやねん!?)、しかも年一回しか作らないので、毎年ドキドキしながら作っています。

よもぎ入りの白玉粉で作ったら
こんにゃくみたいな色になりました


 さぁ、まずは上にのせる小豆の蜜煮から。これは前日に作っておきます。
 小豆は洗って水を切り、お鍋で沸騰したお湯の中へ入れ、再び沸騰したら差し水をして煮汁に色が出るくらいまで煮てざるにあけます。
 お鍋に小豆を戻し入れ、小豆が完全に浸かるくらいの水とみりんを入れて沸騰したら弱火にしてふたをし、小豆が割れないように柔らかくなるまで煮ます。

▶︎▶︎柔らかく、といってもあんこほど柔らかくなく、潰れない程度、甘納豆の柔らかさです。とにかく弱火で、と気をつけていても、もうちょっとのところでうっかり煮過ぎてしまう、なんてことも。タイマーに頼らずこまめに様子を見るのが大事です。

 小豆が煮えたらざるにあけ、お鍋を洗って小豆がギリギリ浸かる程度の水と砂糖を入れ沸騰させたところに小豆を戻し入れ、ふつふつと沸いたら火を止めてそのまま冷まします。冷えたらざるの下にボウルを置いて小豆をあけ、ボウルに受けた煮汁(蜜)だけをお鍋に戻し沸騰させ、そこに小豆を戻し入れ、またふつふつしたら火を止めて冷まします。これをもう一回繰り返したら完成、容器に移し替え蜜に漬けておきます。

▶︎▶︎この時にまた煮てしまうと善哉になってしまうので注意!

 要するに

蜜沸騰 → 小豆入れる → ふつふつ → 火を止めて冷ます → 小豆と蜜に分ける → 蜜沸騰 → 小豆入れる → ふつふつ → 火を止めて冷ます → 小豆と蜜に分ける → 蜜沸騰 → 小豆入れる → ふつふつ → 火を止めて冷ます → 完成です!

 そして翌6月30日、夏越しの大祓当日、いよいよ「水無月」を作ります。

 まず白玉粉と葛粉をボウルに入れ、水を少しずつ、半量くらい入れてよく混ぜます。かたまりがなくなったら、薄力粉、砂糖、残りの水を入れてよく混ぜ合わせ、こします。
 これを大さじ3ほど取り分けておき、オーブンペーパーを敷いた型に流し入れ、蒸気の上がった蒸し器で10〜15分ほど蒸します。
 表面がかたまっているのを確認し、蜜を切っておいた小豆をのせて取り分けておいた大さじ3を散らして再び蒸気の上がった蒸し器で10分ほど蒸し、竹串でさしてみてどろっとしたのがついてこなければ完成。
 冷ましてから、三角に切り分けます。
 冷めたての柔らかくむちっとした水無月のおいしいこと!小豆の蜜煮は少々潰れていてもきれいな面を上にしてのせれば大丈夫です。

蒸し上がり、小豆がつやつやです!


 水無月を作り始めた頃は、市販の甘納豆をのせて作っていましたが、家庭菜園を始めて小豆も育てるようになってからは、せっかくなので蜜煮から作ることにしています。

 わが家の家庭菜園は少量多品目栽培、小豆も毎年500mlペットボトル2本分あるかないか、くらいしかとれません。とっても貴重な無農薬栽培小豆なのです(笑)これをいつ食べようかと考えたら、水無月や小正月のお善哉、お彼岸や法事のおはぎ、というふうに普段のおやつとは違う時になりました。私は信心深くもなく、丁寧な暮らしもしてないけれど、家庭菜園を始めてからというもの「有難いなぁと思うこと」が増えたように思います。畑があったから、お日さまが照らしてくれるから、雨が降るから、草があるから、野菜が育つのには全てが有難く、そうしてできた野菜はしみじみとおいしいのです。
 水無月を食べ、7月になったら、また小豆の種をまきます。去年の秋に収穫した小豆の中で大きくきれいな豆を残しておいて、それを種にして畑に蒔くのです。

種を継いで育てている小豆、大粒です。


 さて、そんなわが家の貴重な小豆の蜜煮の蜜、捨ててしまうのはもったいない。白玉粉の残りも使って冷やし白玉も作ってみました。

 白玉は粉と同量の水で捏ねて丸めながら沸騰したお湯の中に入れていきます。土井善晴さんがおっしゃってましたが、白玉は捏ねれば捏ねるほどモチモチになるのです。
 鍋に入れて沈んでいた白玉が浮いてきたらゆで上がり。水に取って冷えたらざるにあけて水気を切ります。
 器に白玉と冷凍しておいた畑の苺を入れて小豆の蜜をかけ、庭からミントを摘んできて飾ったら出来上がり、簡単でしょ。
 苺は蜂蜜か砂糖少々をからめて冷凍しておくとひと粒ずつ離れやすくて味もボケません。
 小豆の香りのシロップに苺の甘酸っぱさとミントのスーッとしたのも意外によく合って、さっぱりおいしい!これは毎年定番のおやつにしたいな、と。

凍った苺がシャリシャリ冷んやり!


 シロップはレモンとかジャスミンティーとかジンジャーとかいろいろできそうだし、苺のかわりにスイカもよさそう!畑では毎年小玉スイカも育てています。種を取りひと口大にきって蜂蜜をまぶして冷凍しておいたスイカをフードプロセッサーにかけたスイカシャーベットはエアコンなしのわが家の夏にはかかせません。どんなに暑くても汗がすーっと引いて体温が下がります!

 早々とやって来る暑さにはうんざりするけれど、暑いから冷たいものがおいしいって当たり前すぎて忘れがちかも。夏には夏のおいしいおやつがあると思えば、これまた楽しみです。

 ただ・・・今年は小玉スイカの苗が早々に虫にかじられ枯れてしまいました。残念(涙)

▶︎水無月(底がとれる角形)

 白玉粉  20g
 葛粉   20g
 薄力粉  40g
 上白糖  60g
 水    160cc

 小豆の蜜煮 150〜200g
 (甘納豆)

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