文学フリマ東京37を終えて

文学フリマ東京37

 文学フリマ東京37に出展した。そしたら、なんと、本誌を購入して下さるお客様がいた。それも一人や二人ではない。

 実に有り難く、嬉しいことだ。というのも、文芸同人「有象無象」は、もう三年も新刊を出していないのだ。最後に出した008号から、11月でちょうど3年になってしまった。3年もの間、新刊がない文芸同人誌をまだ買って下さる方がいる。一体これは如何なる天の采配なのか。まこと希有なことを「有り難い」とはよく言ったものだ。

 なぜ新刊がないのかというと、原稿が集まらないからだ。我々が多忙だからだ。なかなか原稿を用意できぬ時もある。気が乗らないときもある。そういう時が3年間続くときもある。「そんなことを言ったらみんな多忙なんだ、それでも時間をやりくりして、新刊を持って来ているんだよ」と仰る御仁もあろう。まさに仰る通り。こんなに多忙な世の中にあって、原稿をものして、組版して印刷・製本して会場まで持って来て並べて売ろうというのだから大したものだ。文学フリマに新刊を持って来た人は皆、己の成果を誇ってよい。

 さりとて、新刊なしでこのまま文芸同人を続られるようか。まあのんべんだらりと出展し続けるのもいいんだけど、今回の文学フリマ東京37で、わたしもあれこれ考えた。

 一つには、個人誌を作る予定があり、それは話題性としてはいいかもしれない。これまで『有象無象』に載せた幻想小説を再編したものになるだろう。今まで買ってくれた方々に悪いから、一つくらいは書き下ろし新作を含めよう。この構想は前からあって、ちと身辺のバタバタで延期していたが、そろそろ手を付けられそうな気がしている。

 あるいは、軽量版というか、簡易版『有象無象』のようなものを作るのもいいかもしれない。遅筆ではあるが、最低限、私だけは書くことができるのだから、原始の文芸に立ち返り、コピー誌『有象無象』を作ってみたら、まあ少しは賑やかしになるかもしれない。

 また別の観点として、web上で何か書き散らして新しい読者を開拓するというのもいいかもしれない。noteにやくたいもない記事を書いて、それで皆様に興味を持って頂き、あわよくば、Twitterをフォローして頂いたり、あわよくば、文学フリマで既刊を買って頂いたり、というのは販売戦略としてあろう。そんな風に人を動かす筆力がないことは重々承知だが、しかし「一念天に通ず」の謂いもある。つまり、それがこの原稿だ。今あなたが読んでいる。

  次回文学フリマ東京は2024年5月19日(日)。『有象無象』おそらく新刊はない。だけど何かちょっとくらいは手土産を用意して、何かちょっとくらいは気持ちを変えて、出展しようと思ってゐる。

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