映画：オッペンハイマー

2024年3月31日 21:47

先週の土曜日、109シネマズ名古屋に観に行った。いつもなら近所のイオンシネマに行くところだが、やはりクリストファー・ノーラン監督の作品はIMAXで観たいので。

封切り間もないせいか、席は８割ぐらい埋まっていた。客層は老若男女さまざま。

上映時間はほぼ３時間。登場人物やセリフ回しがやたら多いので集中力を維持するのに苦労する。物理学の専門用語も多く出てくるし、ノーラン監督得意の時系列ごちゃまぜ編集も健在なので、一般の人にはとっつきにくいかなと思う。付き合い始めたばかりの彼女（彼氏）と一緒に観るのはやめといたほうがいい。もしかしたら観終わったあと「気まずい沈黙」になるかもしれない。

だからと言って、この作品が面白くないかと言うと、決してそんなことはない。

オッペンハイマーに対する印象の変化

オッペンハイマーが原爆開発をリードした科学者であることは昔から知っていたが、マッドサイエンティスト的なステレオタイプのイメージしかなかった。映画では彼の熱意や苦悩が丁寧に描かれていたと思う。

巨大プロジェクトの責任者として大勢の科学者・技術者を率いていく熱量がすごいと思う一方で、不倫はするわ、幻覚におびえるわで人間的な弱い面も垣間見えて、オッペンハイマーという人物をよく知ることができた。

広島に投下された原爆が「成功」を収めたとき、アメリカ人は拍手喝采した（このシーンは正直胸クソ悪かった）。だが彼は罪悪感に苛まれ、その後は政府の方針と相容れない立場を取る。挙句の果てにはソ連のスパイの嫌疑もかけられ聴聞会で攻撃され・・・。
彼もまた、時代に翻弄された「被害者」なのかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=Y2Fckj3R8gI

オッペンハオマーは、別にドイツや日本をやっつけたくて原爆を開発したのではないのだろう。政府からの働きかけで始めた仕事だが、ただやり遂げたかったのだ。「地ならし」を発動したエレンのように。。。

事前に知っておくといい情報

これはネタバレではない。何の先入観もなしで観たいという人は別として、やはりこの映画は多少の予備知識があったほうが楽しめると思った。
たてはまさんがTouTubeで見どころを解説しているので、関心のある方はどうぞ。それにしても、オッペンハイマーって、ほんとに恐るべき天才だ。彼は自然科学だけではなく、哲学や芸術にも秀で、さらに６カ国語も喋れたそうだ（劇中ではサンスクリット語を読んでいた）。

https://www.youtube.com/watch?v=Y2Fckj3R8gI

日本公開が遅れた理由について

日本での公開が遅れに遅れた理由として、「原爆被害者である日本人の心情への配慮」というのがあると言われているが、私はたてはまさんの主張に同意。センシティブな内容だが、話題にすらしないのは間違いだと思う。どういう経緯で核兵器が開発され、それがどういう政治的判断で使われることになったのか、日本人なら知っておくべきだと思う。

８月６日と８月９日が何の日か、さっと答えられる若い人がどれだけいるだろうか？そもそも広島・長崎に原爆を落とされたことすら知らない若者もいるのではないだろうか？