昇進は必要だろうか

昨今、昇進に興味がない人が増えたという話をよく耳にする。それ自体は個人の主張として何ら問題ないものではあるし、この不安定な世の中であれば、将来の幸せが確約されるかもどうかわからないのに重責だけ担わされても、という考えには少なからず同意する気持ちもある。実際、マネジメント力は素晴らしくても私生活においてはあまりにも自堕落な人間もいるし、何がいいかはそれこそ、個人が個人の責任において選ぶ時代だ。

だが、結論を申し上げるのであれば、昇進は必要だ。いや、正しく言うのであれば「昇進をさせたいと役職者や周囲に思われるくらいの影響力をつける努力を死ぬ気ですること」が必要だ。

説明しよう。

実は私はエージェントとして過ごしてきて、この数年、カウンセリングである質問を相談者にするようにしている。その質問は「副業してますか?」という質問だ。その質問に対し、したことない、興味無い、という回答は未だ多いが、興味がある、している、したいという意見は非常に多くなってきている。

お伝えしたいのは、その副業をしているという相談者の中で、殊更現職における努力を放棄したような態度・発言をする人間ほど、実際の副業での稼ぎを聞くと月数千円は愚か、月数百円であることもまばら、あるいは準備中と言う人間が多いのが。文脈の流れでお気づきだと思うが、私は彼ら・彼女らを否定的に見ている。副業は副業で大事ではあるし、収入の柱をいくつかもつことはこの時代当たり前なのだが、とは言っても会社員としての成果にコミットの態度捨てるのは言語道断なのだ。

何故か。

計算をしよう。あなたの給与が仮に手取り月20万円だとする。月の就労時間が残業なしで月160時間だとする。そうなると、時給あたりは1250円となる。現在の最低賃金と比較して決して高い金額ではないかもしれないが、それでも悪くない時給である。そう、雇用形態によるものかもしれないが、副業でこのレベルの時給を稼ごう、あるいは会社員としての給与と同じくらいの金額を稼ごうとすると、シンプルに現在の2倍の稼働時間をこなす体力か、影分身の術でも使って自分をもう一体召喚し、同じ作業をこなさせるか、或いはそれと同等の価値を生み出す何らかの活動をしなければならないのだ。

質問をしたい。副業をして大して稼いでいない方向けだが、今この瞬間、あなたの会社員としての収入と副業の収入が同じになるには、あとどれくらいの時間がかかるだろうか。正確に答えられるだろうか。おそらく、答えは返ってこないだろう。結論、副業は【個人事業主】という経営観点が必要になるため、そのことを理解していない人はいつまでたっても事業計画すらも作らずに目の前の単発のタスクをこなして日銭を稼ぐ部類の副業に甘んじるのだ。

話が脱線した。何を言いたいかというと、会社員としての仕事を舐めてかかる人間に副業をさせたとしても、中途半端になるのが関の山なのだ。※一部例外はいるが、その例外の発生率は極めてすくないことは、感覚としてご理解をいただける筈だ。

対して、相談者の中で実際に優秀な成績を残す人材は、社外においても何らかのアドバイスやコンサルティングを有償無償を問わずしていることが多く、そこに価値を生み出せるのは彼らがしこたまに会社員としての中でもがき、苦しみ、成長したからなのである。そういう意味では、彼らは普通に昇進をするだけでなく、世の中に与える価値そのものも大きくすることができ、日銭を稼ぐには止まらない、本質的なソリューションの提供でもってまとまった金額の仕事を依頼されることも増えるのだ。

会社員で頑張ったって今後報われるかどうかわからないしぃ〜、という、特に20代に伝えたい。君は知らないかもしれないが、世の中で副業やフリーランスの活動で活躍している人間はもれなく元々の在籍企業でも大きな価値貢献をしていたことが殆どだ。その経験を経ずに副業で日銭を稼ぐのと、会社員として大きな成果を出し、強制的に人間性もビジネススキルも高めた上で副業に取り組むのと、どちらが良いだろうか。様々な意見があることはわかっているし、それでも例外として発生する一部の天才がいることは私も理解をしている。そこは否定しない。が、漫画のキャラクターのセリフのようで恥ずかしいのだが、この一言だけは、言わせて欲しい。

【サラリーマン】を舐めるな。

まとめよう。

中途半端に会社員の生活を送るな。やるのであれば周囲の誰もが一目を置く実績をつくるべきだ。その経験があなたを副業にとどまらず、それ以外の世界でもあなたの人生を向上させることに、一役買う筈なのである。つまり、昇進を目指せ。その昇進の裏側にある本質的な実力の向上に、この時代を生き抜くヒントがあるのではないかと、私は思う。

10月15日、鼻水をすすりながら記す。


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