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クエンティン・タランティーノ監督引退作、白紙に戻る|今日の映画ニュース

90年代に彗星のごとく現れ、インディペンデント映画から大規模スタジオ映画まで映画シーンを引っ張ってきた名監督、クエンティン・タランティーノの引退作と目されている10本目の映画の企画開発が、振り出しに戻った。

"The Movie Critic" と題された企画が開発され、ブラッド・ピットの関与も話題になっていたが、脚本執筆中に本人の気が変わって、いったん白紙になった模様。もともと2023年3月に企画開発が明かされ、2024年8月に1日だけ撮影をし、本格的な撮影は2025年に行うことを想定して準備が進んでいただけに、関係者にとってはやや驚きの展開となっている。

クエンティン・タランティーノといえば、自らがオリジナル脚本を執筆しつつ監督を手掛ける数少ない作家的映画監督の生き残りの一人。もともと10作品監督したら映画は引退すると公言しており、前作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が9作品目であっただけに、映画好きの間ではラスト作品に対して期待が高まっていた。本人も極めて慎重に作品選びはしており、数々の作品を打診されながらも断ってきている。こういう話題がニュースになること自体、彼の一挙手一投足への期待感を裏付けているともいえよう。IP全盛の時代のなか、こだわりをつらぬく孤高ぶりには、ついつい憧憬を覚えてしまうものがある。

企画開発において、途中で気が変わることは往々にしてあるし、そのときに待ったをかけることも非常に健全な話に思える。資本主義の枠組みのなかでそれがかなわないことが往々にしてあるが、タランティーノが手にしている自由こそ、彼の大きな強みだろう。

ちなみに、弊ポッドキャスト「下から目線のハリウッド」では、クエンティン・タランティーノの何がすごいかを語っている。お時間がゆるせばお聴きいただきたい。

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文責:三谷匠衡 - noteXInstagramPodcast

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