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低空飛行も「天使」が舞う | 今週の映画ニュース

漫画原作のハリウッド大作が、予想を上回る成績。ただ、北米の2019年の興行事情の雲行きはすでに怪しい。(掲載:第237号 2019/02/18)

【興収:2月第3週】『アリータ:バトル・エンジェル』予想に反して好調 しかし2019年興行は鈍く

ジェームズ・キャメロン製作、ロバート・ロドリゲス監督、そして木城ゆきと原作のSF大作『アリータ:バトル・エンジェル』の事前のトラッキングは散々だったが、実際に公開されてみると予想を上回る$41.7Mを計上。面目躍如の1位を勝ち取った。だがこの週の北米興収は2001年以来の最低水準を記録し、深刻な低迷ぶりを更新している。そのほかの初登場作品は、レベル・ウィルソン主演作『Isn’t It Romantic』、そしてブラム・ハウスお得意のホラー続編『Happy Death Day 2U』だが、いずれもまずまずの結果。『レゴムービー2』は『アリータ』に負けて早々に2位陥落。来週はアカデミー賞授賞式週末のため、また上昇は望めないだろう。マズイ。(O)


【ダイバーシティ】「Empire 成功の代償」俳優J・スモレット騒動を解き明かす(vox.com)

ジャシー・スモレットがシカゴ市内で暴漢2名に罵声を浴びせられ、首を締められたとする通報があったのは1月29日のこと。ところが、シカゴ市警は調査の結果「スモレット自身が共謀の末、事件をでっち上げたという線で捜査している」とした。その理由は「スモレットが出演ドラマである”Empire”をキャラクターごと退場させられることに焦りを感じたから」だそう。LGBTQコミュニティがスモレットを糾弾するなど、事態は混迷を極めているが、事件は未解決のまま。汚職と黒人差別の激しいシカゴ市警の見解を信じない者も多い。いずれにせよ双方にとって良い影響をもたらさない展開だ。(O)


【ビジネス】「劇場向けに作品を作ろう」スピルバーグ氏が主張

スピルバーグはどこまでいっても「映画館で映画を共通体験する」ことの価値を信じている。そのことを強調するために、「映画館で流すための映画を重んじよう」と述べているわけだが、ストリーミングが幅を利かせてきた現代では反響を呼ぶ発言として受け取られているようだ。古いと言われるだろうことは間違いないが、私もスピルバーグの発言には賛成している。映画館で見る映画は、やはり特別な体験となるもの。この先も、劇場体験は失われないで欲しい。(O)


【賞レース】CM中の部門発表後、中止 今年のアカデミー賞の騒動を解説(vox.com)

アカデミー賞が視聴率対立のため、マイナー部門をCM中に発表するとアナウンスしたのは去年の上半期のことだった。が、そのときは「ポピュラー映画部門を作る」という発表と抱き合わせだったため、ほぼ注目されずにやりすごされた経緯がある。今になってCM中に発表される部門が明らかになると各方面がブーイングの嵐となり、結局それも打ち切ることに。司会は過去のツイート問題で辞退するし、今年はアカデミーもいいところがない。はっきり言ってしまえば、業界の内輪な盛り上がりに過ぎないのだから、もう少し自由にやらせればいいのだけれど、そういうわけにもいかないのがアカデミーの辛い立場というところだろう。発表は来週日曜(日本時間の月曜午前)。とくと顛末を拝見しよう。(O)


【賞レース】全米脚本協会賞、受賞作品一覧

SNSに翻弄される中学二年生の女子を題材にした『エイス・グレード』と、メリッサ・マッカーシー主演のドラマ『Can You Ever Forgive Me?』がそれぞれオリジナル脚本賞および脚色賞を受賞。テレビ部門では常連のHBO作品とアマゾン作品が並ぶ。アカデミー賞前の各賞がほぼ出揃った形だ。(O)


【日本IP】『(500)日のサマー』M・ウェブ 『君の名は。』リメイク版監督に就任

東宝、パラマウントおよびバッド・ロボットによる新海誠監督作『君の名は。』の北米版リメイクを、『(500)日のサマー』『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのマーク・ウェブが監督することに。『メッセージ』『バード・ボックス』のエリック・ハイセラーが脚本を執筆することになっており、着々と力強い人材でパッケージが組み上げられているようだ。力の入れようが伝わってくる。(O)

編纂:小原康平 / 初出:2019/02/18 第237号
有料メールマガジン「Ministry of Film - ゼロからのスタジオシステム」より


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