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日本がアフリカに新たな遺産を築く機会を得る(翻訳)

この記事は、2022年9月1日に大西洋評議会の公式サイトで投稿された。ラマ・ヤデ氏、タイレル・ジュニス氏による↓の記事を日本語に訳したものです。中学生の訳なので不正確なところもあると思いますが、ご了承ください。

中国、米国、ロシアがアフリカ大陸で冷戦時代のライバル関係を彷彿とさせるような競争を繰り広げている今、第8回アフリカ開発会議(TICAD)がチュニスで終了したばかりの日本もこの舞台に参入している。日本をはじめとするアジアの主要国では、アフリカが中国に代わるパートナーとして模索する可能性があるとの見方がなされている。日本は1993年にTICADを立ち上げ、フランスに次いで2番目にアフリカ全体との協力のための正式な枠組みを構築した国だ。アフリカにおける日本の新たな遺産を築いた安倍晋三前首相の死を悼む一方で、岸田文雄首相は1年の節目を迎え、その仕事に取り組んでいる。
安倍首相の時代、日本の協力は援助から民間への事業投資へとシフトした。岸田氏はTICAD8において、3年間で官民合わせて300億ドル規模の資金をもってしてこの両者を加速させることを目指すと発表した。
チュニスで開催されたTICAD8では、アフリカの首脳20人ほどが参加し、中国との差別化を図るという日本の明確な狙いが反映された成果が得られた。森林破壊への対策やデジタルトランスフォーメーション、農業など、日本の強みを生かしたサイドイベントが数多く開催された。閣僚会議と首脳会議では、西アフリカ、東アフリカ、サヘル地域の主要国に焦点が当てられた。
日本の投資レベルは、中国や「一帯一路」のインフラ構想には遠く及ばないかもしれないが、日本は明らかに、アフリカ諸国を重要なパートナーとして位置づけようと目論んでいる。岸田氏はTICAD8の閉会式にて、国連安全保障理事会へアフリカの国家が常任理事国入りすることを呼びかけ、2023年〜24年の間の非常任理事国となった際にはその方針を推進していくことを表明した。 
日本が違いを見せるのは、日本・アフリカ間協力における民間の役割である。日本企業は54カ国すべてに進出しており、豊田通商、楽天、ソニー、新日鉄、味の素などの企業がその先頭を走っている。アフリカ大陸に進出している日本企業の数は、2013年の169社から2019年には259社に増加した。インフラに重点を置く中国と比較して、これらの企業が最も大きな優位性を持っているのはイノベーションの分野だ。この分野での政策を推進するために、日本の国際協力機構は、起業家精神、イノベーション、事業創出をさらに活用することを目的とした「Next Innovation with Japan(NINJA)」プログラムを創設した。100年以上の歴史を持つ企業が33,000社存在し、世界で最も長くビジネスを続けている日本の経験を参考に、アフリカは、ビジネスの維持と拡大に支援を必要とする新興企業の増加を補完するための教訓を得ることができる。

日本の強み

日本がアフリカで野心を高めることは合理的だ。日本は世界的な大国であり、アフリカではその大きな強みを生かし、影響力を回復することができるだろう。かつて、モザンビーク生まれの弥助は、16世紀初頭に奴隷として日本に渡り、その後、日本初の外国人の侍となった。日本の国際化は、17世紀から19世紀にかけての鎖国時代という歴史的経緯から、遅々として進まなかった。アフリカ出身者はヨーロッパに1100万人、中東に500万人、北米に300万人以上、中国に50万人と推定されるのに比べ、現在日本にはわずか1万2000人がいるに過ぎない。だが、外国人居住者人口が2017年に256万人という新記録を達成したことからもわかるように、日本は段々とオープンになってきている。
渡航の自由化は、この新たな開放性を強めている。ヘンリー・パスポート・インデックスによれば、日本国民は他のどの国の国民よりもビザ無しで多くの目的地へ渡航することができる。セーシェルはアフリカで最も強力なパスポートを持っているが、他のアフリカ諸国が日本へ自由に旅行できるようアクセスを改善することは、イノベーションを呼び起こし、信頼を構築し、さまざまな外国人が国内のビジネスチャンスに参加できるようにすることになる。
スポーツの分野でも、2020年東京オリンピックのコンセプトである「多様性の中の調和」(後に「感動で、私たちは一つになる」に変更)や、日本とベナンのハーフであるバスケットボール選手、八村塁や日本とハイチのハーフであるテニス選手、大坂なおみなどの存在は、日本の多様性への新たなコミットメントを示している。2019年に日本がラグビーワールドカップを開催した際には、登録選手の半分以上を外国出身者が占める状態でベスト8に進出した。また、全日本空輸の井上慎一代表取締役CEOは今年、「こうした多様性がなければ、彼らが成し遂げたことはなかったと思う」と述べていた。
日本はアフリカでも独特な強みを持っている。日本はかつての植民地帝国でもなければ、覇権主義的な考えを持つ超大国でもない。このことは、日本がさまざまな協力分野を模索し、新しい世代と革新的な関係を築くための自由を与えている。世界第3位の経済大国である日本は、輸送機器製造、電子機器製造、鉄鋼などのハードパワーと、伝統芸能、料理、スポーツ、クリエイティブ産業、宇宙、ゲーム、科学、テクノロジーなどのソフトパワーをインフラ整備に活用することができる。雇用の創出と経済の変革が喫緊の課題であるアフリカ大陸において、日本はゲームチェンジャーとなり得るのだ。
また、日本とアフリカは、東アジアの国家が国内目標を達成する上で、互いに補完し合う関係にある。日本は、経済の近代化と低炭素化に向けた取り組みにおいて、GDPの234%という世界で最も高い国家債務と、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が最も高いという課題を抱えており、生産年齢の人口が減少している日本は、高齢化社会が経済成長の妨げになっている。政府のデータによると、7月の日本では求職者100人に対して企業の求人は129件だった。一方、アフリカでは、若者の人口が最も急速に増加しており、世界で最も急速に経済が成長している国の多くはアフリカの国家だ。アフリカ人は、そのような空いた仕事を埋め、日本経済を活性化させることができるだろう。

人と人とのつながり

アフリカの人口動態は、日本・アフリカの関係において資産となり得る。特に、昨今のアフリカ大陸では教育レベルが向上し、貧困が減少している。より多くのアフリカ人に国境を開くことで、日本は新たな人と人との関係を構築し、その間に高齢化と低生産性という課題への新たな答えを見出すことができるだろう。
何千もの方言がある大陸で、平均4つの言語を話して育つアフリカの人々は、中国の影響力の拡大に伴い、教室で普通話に接する機会が増えている。それに比べ、2018年時点で日本語を学んでいるアフリカ人はわずか1万3,000人だ。より多くの知識と理解を得ることで、文化的な変革が訪れるかもしれない。

技術移転の活用

日本は情報通信分野で世界第3位、市場シェア率6.4%を誇り、5G、クラウド、量子コンピューティング、エッジコンピューティング分野で大きな賭けに出ている。しかし、技術だけでは、成長を阻害している包括的な、社会的決定要因を解決することはできない。2016年に総合科学技術・イノベーション会議が打ち出したSociety 5.0のコンセプトは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されている。日本版のメタバースだが、これは真に社会問題を解決することを目的としている。
このアイデアを実現するためには、政府を挙げての取り組みが不可欠だ。TICAD8のフォローアップでは、アフリカの指導者たちは、この大きなビジョンに自国の若者がどのように貢献できるか、また、日本とアフリカの両方でこのビジョンを実現するためにどのようなデジタルインフラ投資が必要かを検討する必要がある。

気候変動と開発の両立

今月初め、米国議会は、気候変動対策を目的とした約4000億ドルの投資を含む、インフレ抑制法案を可決した。中国に次いで世界第2位の汚染大国である米国は、地球気温の1.5度以上の温暖化を防ぐために毎年必要とされる4.5兆ドルから5兆ドルの気候変動対策投資の達成に向けて大きな一歩を踏み出したと言える。日本は、アフリカのエネルギー目標を達成するために、アフリカの2022年経済見通しに耳を傾けるべきだ。さらに、国連のSDGs7番は、安価でクリーンなエネルギーへの取り組みを目的としており、これは日本の戦略的影響力が低下し始めている分野だ。アフリカのSDGs達成には資金調達スキームが必要であり、2030年までの目標達成にはまだまだ道半ばだ。日本が2019年のTICAD7でこの問題を優先し、より具体的には横浜行動計画モニター(パートナーが主要業績評価指標の進捗を報告できるオンラインプラットフォーム)で優先していたため、なおさら重要視されている。
これらの目標は、アフリカ連合のインフラ整備計画やG7のパートナーシップによるグローバル・インフラ・イニシアティブ、インドと米国の2+2対話とよく合致している。世界的なパンデミックや今回のウクライナ戦争で中断されたものの、これらのイニシアティブは、日本が世界の同盟国と提携し、大陸開発のための組織的アプローチを行う機会を提供している。インド太平洋における競争的な状況は、欧米(特に米国とフランス)とアジアの主要国(日本とインド)の間に、こういった協力の歴史的な機会を提供しているのだ。それが、アフリカ大陸の魅力を物語る直近の出来事だった。

やや日本賛美的な傾向もありますが、参考になる言説だと思います。今後も国外のシンクタンクやローカルメディアの記事を和訳・投稿していくので、よろしくお願いします。

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