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とあるXジェンダーの悩みを聞いてください

ご存じでしょうか。世の中には「男性でも女性でもない」という人間が存在するらしいです。その人たちはあえて分類すると「Xジェンダー」というらしいです。男でも女でもないって一体どういうことでしょう。性別は男と女の二択しかないのでは……?

セクシュアリティを分析してくれる「anone,」というサービスを見つけたので、さっそく診断してみました。

こちらはわたし、ももやまもふふの結果です。
わたしは「Xジェンダー」です。

わたしは数年前、23歳くらいのときにXジェンダーという分類を知り、自分がそれに当てはまることに気づきました。
わたしは女性の身体をして生まれてきましたが、他人から「女の子として」接せられることに強い違和感・不快感をずっと抱いてきました。他人の発する言葉に「女の子だから」という接頭語がつくと脊髄反射で「嫌だなぁ」と感じてしまい、その人の言葉を受け入れることができないでいました。

第二次成長期、膨らむ胸や丸みを帯びていく身体がとても嫌でした。10歳で初経を迎えたときは嫌で嫌で受け入れられず泣きました。黙っていたら「どうして教えてくれなかったの」と母を悲しませてしまい更に泣きました。中学生で制服のスカート着用が義務になったこともとても嫌でした。それまでズボンしかはいていませんでした。わたしは「女の子」として生きていくことがとても嫌だったのです。

「わたしはわたしなのに」

ももやまもふふはももやまもふふであり、女の子でも男の子でもありません。
多くの人はこの感覚を持っていないらしいです。性自認のマジョリティがシスジェンダーであることをわたしは知っています。つまりほとんどの人は「心と体の性が一致しており、自分を男または女だと思っている」のです。

わたしにはその感覚がありませんし、よくわかりません。だからXジェンダーなんてややこしい性自認は、きっともっとわからないものなのだろうと思います。
しかし他人の気持ちや考えというものは、そもそも他人には理解できないのが当たり前のことですから、それはそういうもの。ちっともかまわないのです。

ところで最近のわたしには、胸の奥につっかかってなかなか取れない苦しい気持ちがあります。

わたしは5月に齢26になりました。同世代の友人らがちらほら結婚し始めています。ツイッターの長年のフォロワーさんが続々結婚・出産をしているのをめでたいなぁと見守っています。

「結婚」

多くの人が歩む人生の道筋の上に「結婚」がある。その事実に驚いています。
考えてみれば至極当然のことなのですが……。
自分が「心と体の性が一致」していて、「異性」を好きになって、お付き合いをして……。その場合ふたりが進む先に選択肢として「結婚」があるのは道理でしょう。

わたしはもう長いことお付き合いをしていて一緒に暮らしているパートナーがいます。その人は「男性」です。そしてわたしは戸籍上「女性」です。
結婚、できるんです。

わたしは元来セクシャリティやジェンダーについて特に興味が強い人間で、(それは自分がマイノリティだからなのかもしれません)歴史をさかのぼれば高校生の時の研究で明治時代の女性の解放運動について発表したり、大学の卒業論文においてはフェミニズムの代表的な哲学者ボーヴォワールについて論じたり、現在も日本でのジェンダー関連のムーブメントを日々追いながら自分の考えをパートナーにも饒舌に語ったりしているような人間ですから、無論彼はわたしがXジェンダーであることを知っています。その上で結婚については、ももやまの好きなようにしたら?と言ってくれています。(当人は結婚にさほど関心がないらしいです。)

結婚制度はパートナーと生涯をともにしていく場合それなりに有用なようにできているので、やっぱりしておくと便利だなぁと思っています。結婚していない今の状況は赤の他人なので、何年お付き合いをしていても法的に優遇されることはあんまりありません。(今は事実婚でもそれなりにうまくやれるみたいですね。)

できるんだからしたいならすればいいんですが、嫌なことがあるんです。
結婚するとわたしは「妻」になってしまいます。
誰の目にも明らかに女性性が固定化されてしまうのです。夫⇔妻、旦那さん⇔奥さん、性の二項対立がわかりやすく成立してしまいます。これはXジェンダーであるわたしにとって、苦痛で仕方のないことです。

現状わたしは彼氏⇔彼女の表現を避けたいがために「パートナー」という性別にとらわれない表現を使用しています。日常で使う人はそんなにいないので不自然に聞こえているかもしれません。

ふだんから女性扱いされそうな場面はし得る範囲でのらりくらりとかわしているのですが、結婚をして妻になってしまったら自ら女性を名乗っているのようなものだと感じます。それはさすがにアイデンティティと不一致すぎる……。人から「奥さん」と呼ばれるのはとてもつらい……。

そういった理由で「結婚」について思い悩む日々が続いているのでした。

最近の日本では、同性婚を認めさせよう!という動きが盛んですね。同性婚が法的に認められたら、「男×女」「男×男」「女×女」のパターンのパートナーが結婚できるようになります。わたしも支持しています。

異性婚、そして同性婚、、、。
あらゆるパートナーたちが結婚できるようになっても、つきまとってくるのが「性別」です。同性婚をしたカップルは「同性」同士の(特別な)結婚とみられ、そうでないカップルは従来通りの結婚(異性婚)という認識が人々の間で無意識にされることでしょう。
男でも女でもないと自認しているXジェンダーの人たちは、そこから零れ落ちたままです。性別の枠を外した、結婚もしくはそれに準ずるパートナーシップ制度ができたらいいのになぁ。そんなことをぼんやりと思います。
とはいえ、仮に結婚に性別を問わない法が施行されたとしても、世間の認識はすぐに切り替わりませんから、わたしが生きている間にすっかりジェンダーフリーな社会になることは難しいだろうとも思っています。どこまでいってもシスでヘテロがマジョリティです。

制度を変えようと熱心に社会に働きかけるのは、なんらかの不利益を被っているマイノリティの人たちが多いことでしょう。わたし自身ジェンダー関係は一生懸命情報を追って活動の支援をしています。
しかしわたしは五体満足で生まれているので、目が見えない耳が聞こえないなどのマイノリティである人たちの苦悩を知りません。(わかりやすい例しか挙げられないのが何よりの証拠ですね、どのようなマイノリティの方々がいるのかわたしはちっとも知りません。)

知らなけらば動けませんし、知ったからといってすべての人々のために尽くせるほど大きな力も持っていません。でもまずは知ってもらわないと何も始まりませんから。

世の中にはこんな人もいるんだな~。頭の片隅にちいさな記憶として残れば、何かの折に選択肢のひとつとして役に立つかもしれません。つらくて苦しい人がたくさんいる世界より、楽しくて幸せな人がたくさんいる世界になる方が、その方がいいような気がします。わたしは少しでもハッピーな人が増える選択をしていきたいなと思います。

「男でも女でもないと感じている人」が世の中にはいる。
このnoteがそんなことを知っていただくきっかけになれればうれしいです。

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