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ヲタク落語家による機動戦艦ナデシコTVシリーズの感想1

ヲタク落語家の春風亭吉好でございます。

前回の記事では吉好の最愛のアニメ「機動戦艦ナデシコ」が25周年という事でその魅力を簡単にではありますがプレゼンさせていただきました。

前回の記事は

改めてテレビシリーズを見返してみると令和の今でも通じる面白さ。
土曜日の劇場版上映イベントに向けて飛び飛びで視聴しようと思ったら気付いたら全話通しで見る勢いです。

ここでナデシコテレビシリーズの各話の感想や簡単な解説をできたらと思います。

機動戦艦ナデシコの脚本

機動戦艦ナデシコTVシリーズの脚本家は複数たてられており、メインライターの會川昇先生を始めとしてそれぞれの個性を脚本に盛り込んだ構成になっているように思います。

例えば會川昇先生はメインストーリーを進め、荒川稔久先生はラブコメ要素を彩り、首藤剛志先生にしか書けない少女の成長譚でホシノルリを主役にし、あかほりさとる先生は完全にポリリン色で別アニメ(いい意味で)、川崎ヒロユキ先生による当時のロボットアニメの面白さを凝縮したような話、、
といった感じで一見バラバラなようでどれもこれも破綻せずナデシコという多彩な魅力を持つ作品を描いていました。

第1話 『男らしく』でいこう!
第2話 『緑の地球』は任せとけ
第3話 早すぎる『さよなら』!

機動戦艦ナデシコの導入3話。メインライターの會川昇先生脚本です。
第1話ではアバンタイトルで火星の状況と敵の脅威を、Aパートで個性豊かなナデシコクルー達集めをテンポ良く進め、シリーズ通して描かれるアキトの敵へのトラウマ持ちという描写。
そして美人だけど能天気、だけど天才な艦長ユリカとアキトが偶然出会い実は幼馴染だという事がわかり、、
そしてナデシコに乗り込んだアキトがロボット「エステバリス」に乗り込み初出撃してそのピンチを初出航のナデシコが救い、、
までを30分に盛り込んだ見事なシナリオ。なのに駆け足感がなくするする状況が頭に入ってきます。
これは以降もずっとそうですが重い世界観をナデシコクルーという軽いフィルターにかける事で噛み砕いてわかりやすく描写されているからでしょう。

2話ではアキトの相棒となる、、?ダイゴウジガイとの絡みとエステバリスのオモチャ的なギミックもちゃっかり描写。
3話では本当なら中盤でありそうなヒロインの許嫁との対決を済ませ大気圏を脱出、、
では済まずにガイがED直前にあっさりと、、
皮肉にも劇中劇ゲキガンガーでヒーローのカッコいい死に際を散々強調してからの展開に唖然とし次回が気になって仕方なかったです。
所謂3話切りは絶対にできない。
おちゃらけた世界観に見えて実はドライに戦争を描いているというナデシコという作品の方向性を垣間見えた3話でした。


第4話 水色宇宙に『ときめき』

荒川稔久先生の脚本。主人公アキトとナデシコクルーとの温度差を浮き彫りにしつつ同じ心情で悩むメグミとラブでコメな展開に。
メグミとの関係は1クール中続きますがメグミは多分アキトじゃなくても良かったような。
戦時中という特殊下で、たまたま近くに同じ悩みを抱えたアキトがそばに居て。
アキトもなんとなくその気になって。
メグミはその辺のリアルな女子っぽい感じがしました。

第5話 ルリちゃん『航海日誌』

首藤剛志先生の脚本。いわゆるホシノルリサーガ3部作の第1話目。とはいえこの話ではルリはまだ主役というよりナレーションに徹している感じではありましたが。
戦艦やコロニーともなれば世界各国の人が乗り込みそれぞれの宗教があるわけで。
それぞれの宗旨に合わせた葬式の運営に追われるユリカという展開がナデシコのリアルかつコミカルなSF描写で面白い。
そしてホウメイさんの過去エピソード。戦闘員ではないしラブコメにも関わりませんがこういうエピソード1つでキャラに深みを持たせ発言に説得力を付けるところが上手いですね。

第6話 『運命の選択』みたいな
第7話 いつかお前が『歌う詩』
第8話 温めの『冷たい方程式』



會川昇先生の脚本でいよいよ本筋が動き出す。
当初の目的だった火星への到着。だが救いたい人達を救うか自分達が生きるか究極の選択を迫られ、、
ここでもただご都合主義のアニメではなくドライに戦争を描いている。
そしてその選択ができるユリカはただ能天気ではい才女とわかると共に普通の女子としての弱さも見せる。
ここからアキト、ユリカ、メグミの三角関係も動いていく、、
と思ったけど改めて見返すとこの頃からアキトとユリカの関係は揺るぎなくてメグミは一歩外にいる感じもするなぁと。
そんな2人から選択を迫られたアキトが出した結論は「らしい」と思いましたが(笑)

新キャラアカツキ、エリナも合流。
置鮎龍太郎さんのお声っていかにもな悪者でなく、一癖あるんだけどどこか憎めない、カッコいいんだけどマヌケさもある、アカツキみたいなキャラにピッタリですよね。

第9話 奇跡の作戦『キスか?』

荒川稔久先生の脚本のラブコメ回。
この回に出てきたVRルームはナデシコの恋愛ゲームでデートする時に便利に使われてました(笑)
上でも書いた通り三角関係で揺れるというよりはやっぱりアキトはユリカ寄りなのは根底にあるなぁ。

第10話 『女らしく』がアブナイ

あかほりさとる先生の脚本。ナデシコが各ライターの個性の発揮という特徴の最たる回。
完全にポリリン節でいい意味で別アニメでした(笑)
本筋に関わらないぶっ飛んだ思考のゲストキャラ。声が水谷優子さんって完全にポリケロですね。
最後にユリカ、メグミ、リョーコがマズイご飯を持って迫ってくるっていうのもお約束で。
とはいえゲキガンガーとの照らし合わせも入れ込みナデシコならではの展開に。

第11話 気がつけば『お約束』?

川崎ヒロユキ先生の脚本。前回とは対照的にロボットアニメのミッションあるあるな話。
エヴァで言うなら対ラミエル戦。
この話は使いやすいからかスパロボでもよく使われていた気がします。
長距離砲と戦車に限りあるエネルギーでいかに立ち向かっていくかとうのをリアルかつアニメチックに描いていました。

第12話 あの『忘れえぬ日々』

首藤剛志先生の脚本。ホシノルリサーガ3部作の2話目。
この話は名実ともにルリが主役回。
地球連合軍を敵と認識してしまうナデシコのコンピュータ「オモイカネ」に連合軍が新たなデータをバックアップしようとする。
それが嫌なルリがアキトに頼みコンピュータ内で連合軍を騙しつつオモイカネを成長させる話。

それまで一歩引いたナレーションポジションだったルリが初めて感情を露わにする。
とはいえ1話から比べると毎話毎に少しずつナデシコクルーに毒されているように見えたのでそれがここに結実した感じか。
それまでの航海でアキトだけは信頼できると観察していたのもルリ=オモイカネ=アキトのイノセントな部分に共感を受けたからかな。

「テンカワさん、優しいですね。」
「テンカワさんじゃないとダメなんです!」
「ありがとう」

ルリ×アキトの絡みに多くのファンがルリに転んだある意味ナデシコの節目の回w
特に「ありがとう」の笑顔は強烈です。

とはいえこの回の主題はルリとオモイカネの心の繋がり。
コンピュータなオモイカネもナデシコと共に成長していく。


第13話 『真実』は一つじゃない

會川昇先生脚本。ナデシコTVシリーズの折り返し地点。
ナデシコをお払い箱になったアキトが自身に隠された?能力の一端を知る事になり、自分にできる事を自覚し一歩進む回。

1クール中で描かれたアキトとメグミの関係もある意味ここで決着。(まだもう少しあるけど)
アキトはメグミという1人の女性よりナデシコという帰るべき場所とその象徴であるユリカを選んだ。
ここで揺れるほどメグミへの想いが大きくなかったというのもあるかもしれない。

木連の新たな機動兵器の形とコクピットの中に様々な想像を膨らませつつ2クール目へ続いたがその真実は予想の斜め上でしたねw


今回は1クール目まで自分なりの感想、解説をさせていただきました。
次の記事では2クール目の記事を書かせていただこうと思います。
何十回と見てますがそれでも楽しいナデシコをみんなで見よう!

春風亭吉好



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