デザイン未経験の社会人が海外美術大学に合格するまで
ロンドン芸術大学(英語: University of the Arts London 通称:UAL)に合格した道のりに関する記録を紹介します。
私はデザイン未経験・社会人・留学経験なし・自費留学という立場で受験に挑みました。受験時デザイン留学に関する情報は少なく、情報収集する際とても苦労しました。
一通り準備を終えた今、海外の美大受験は情報収集と戦略を練ることが1番大事だと感じています。
ここでは、今後留学を考えている方に参考になれるような情報を共有していければと思います。
ロンドン芸術大学とは
まず私が今秋から通う予定のロンドン芸術大学に関して。
ロンドン芸術大学(英語: University of the Arts London 通称:UAL)は大規模な芸術学校となり数々の有名アーティストやデザイナーを輩出している学校です。
画像元:https://www.arts.ac.uk/our-brand/ual-brand-guidelines/our-logo
アーツなど芸術分野を中心とした、英国国立の6 カレッジからなる大学(連合体)。大学・大学院には、英国に限らず世界100カ国以上の国々から24,000名に上る学生が在籍しており、ヨーロッパ最大規模の芸術系大学・大学院(連合体)のひとつである。卒業生からは、ロンドン芸術大学名誉教授でもあるジミー・チュー、ジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー、ジェームズ・ダイソン、テレンス・コンラン、ジャーヴィス・コッカーら、著名アーティストやデザイナー、クリエイターを多く輩出している。(Wikipedia引用)
私はそのうちの一つのカレッジ、Chelsea College of ArtsのGraduate Diploma Graphic Designからオファーをいただきました。
※Graduate Diplomaとは
Master準備コースのようなものです。学校によってはPremasterコースと呼ばれるもので、1年のコース修了後、コース生はほとんどMaster(修士課程)に進学します。
私のバックグラウンド
多くの海外大学の選考基準では専攻に関連する経験や実力が考慮されます。
私の経歴は、以下のように大学や社内ではクリエイティブに近い分野に所属はしていましたが、実際に自分自身が制作を行うといった実技経験は全くありませんでした。
・会社員として6年ほど働く。直近はエンタメ系の業界に従事
・私立文系卒業(クリエイティブをビジネス視点から学ぶような学部)
・絵の経験は中学・高校に受けた美術の授業のみ
・大学の時にイラレで簡単なロゴやポスターを作成した経験あり
・ポートフォリオに載せられる作品は一切なし(2020年2月から美術予備校で制作開始)
・日本生まれ日本育ち。長期留学未経験。
デザイン留学で修士を目指すに至った経緯
バックグラウンドで前述したように近い分野にいたこともあるかつ、特にプライベートではファッションやライフスタイルに関わるものがとても好きで、それらと強く親和性を持っているグラフィックデザイン、特に製品やサービスのブランディングなどに強い興味を持つようになりました。
また、手を動かすような制作をしたいという思いがあり、特にグラフィックデザイン、ブランディングといった分野でキャリアチェンジをしていきたい。といった思いもあり、デザイン留学を考えるようになりました。
選択肢として以下が挙げられました。
・イギリス・アメリカでデザインの学士(BA)を取得
→当初レベル的には大学入り直しが一番いいのではないかと思っていました。基礎的から学べるし、就労ビザも卒業後2年でます。ですが学士取得までイギリスだと3年、アメリカだと4年かかります。
今からこの年数通うのは時間的にも資金的にも厳しいと感じました。
・アメリカの準学士(AAS)を取得
→1年半?ほどで卒業できます。また募集条件の要求があまり高くありませんでした。卒業後に1年のoptビザが出ますが、1年という期間が私の中ではネックでした。
・イギリスの修士号(MA)を取得
→1年で修士号を取得でき、postgraduate visaという就労ビザが2年発行されます。ただ私はデザインに関連する学士を持ってなかったので難しいように思えました。
当初はイギリスの修士取得を希望していましたが、半分諦めていました。
ですが、学校リサーチしていくうちに、イギリスには、PremasterコースやGraduate Diplomaコースというものがあり、Masterレベルまでいかない生徒の能力を1年で発展させるコースがあることを知りました。
また、関連のないバックグラウンドでも「そのコースが条件として出している人物」であれば、オファーを貰えるとのことでした。
以下の画像は私が進学する予定のコースのRequirementになります。
条件の中で以下記載されています。
”Alternative qualifications and experience will also be taken into consideration”
この一文で私でも応募できるのではないかと気づきました。ただ、この文言だけでは不安だったので、大学担当者とのポートフォリオレビューの際に「グラフィックデザインの学士を持っていないが大丈夫か」という念押しで確認も行いました。
また、仕事では一時期クリエイティブ系の進行管理を行なっており、イラストやバナーデザイン、Webデザインの発注を行なった経験があるので、”Related academic or work experience”として押し出せそうではないかと考え、アプライを決めました。
なので、ある程度条件にマッチした部分を見つけて大学側が納得できるようなスキルや志望動機を持っていれば、オファーをもらえる可能性はあるかと思います。
準備するもの
必要なものは各他大学のコースのRequirementで確認ができます。
各学校で多少要求内容は違いますが、基本要求されるのは以下になります。
・Personal Statement
・ポートフォリオ
・大学卒業証明書
・大学成績証明書
・CV(職務経歴あれば)
・推薦状(学校によって必要な数が変わります)
スケジュール
準備に関してのスケジュールは結構ゆるっとしたものでした。昨年の2月から準備を始め今年の5月に受験を終わらせました。
私はフルタイムの会社員でしたが、2020年3月からコロナの影響でフルリモートになったおかげで、時間を捻出し準備することができました。もし通勤しながら受験をしていたかと思うとゾッとします……。
ざっくりとしたスケジュールの図と具体的な流れを以下記載します。
ちなみに私は第一志望はUALでしたが、併願校として他3校を受験し、全ての学校からオファーをいただけました。
・2020年2月
リサーチと美術学校に週2で通い始めました。正直この頃は制作が合うかどうかわからなかったので、とりあえず始めてみよう。といった様子見期間でした。基礎的な制作を夏頃まで行っていました。
・2020年8月
制作物が10点程揃う。改めてデザイン留学を行いたいと強く思うようになり本格的に受験考えるようになりました。
志望校を絞り、Personal Statementと推薦状の依頼を始めました。
・2020年9月
書類のやりとりが面倒だと感じ、留学エージェントに登録。
ポートフォリオ作りを始める。作品数が足りないと感じ、追加で2作品制作を開始。
・2020年10月
併願志望している大学2校のポートフォリオレビューを予約。
制作途中の作品もありましたが、2校ともその場で条件付のオファーをもらいました。
・2020年11月
IELTSスコア以外の全ての書類が揃う。
併願志望している1校出願。速攻オファーもらう。
・2021年1月
UAL出願
・2021年2月
UALにポートフォリオ提出
・2021年5月
UAL面接→その場でオファーをもらう。
英語対策に関してですが、
私は、3年前に1度6.0を取得している経験があり、1回取れたならなんとかなるだろう。とゆるく9月から勉強していました。結局ギリギリになって今年の5月に受験しスコア取得しました。
(参考にしない方がいいし、真似しない方がいいです。)
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