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パン屋の おはなし あのね”ここは、山の奥深く・・・


ここは、山の奥ふかくにある誰も知らない古い池です。
えっ?  そう  誰も知らないんですよ。
誰もです。えっ?どこかって?山の奥ふかくです。  そうなんです。
それがお話の世界のお約束です。・・・・・・・・だまってお読みなさい。


その池に住む主(ヌシ)は、今夜1000年の歳月を経て龍となって天に昇ることになっているのです。   そう、  月明かりがその池を照らす頃・・・・・
池の主が池の水たちに向かって言いました。

「長い間この池を守ってくれてありがとう。 今夜わたしは龍となり天に仕えることになった。わたしが天に昇った後は、みんな好きなとこへ流れていきなさい。」
 

水たちは主へのお祝いを叫んだり、新しい旅の準備をしたりと、大騒ぎです。
ほら、風もないのに水面が波を立てています。
そうそう、この池の水たちはいろんな経験のもちぬしなんです。
関が原の合戦のときに降った雨粒もいれば、『雨に唄えば』の映画に出演したと自慢するものもいます。  極めつけは、あのイナバノシロウサギがオオクニヌシノミコトに体を洗ってもらった池に3ヶ月くらいいたことのある水でしょう・・・・・・ 
「では   さらばじゃ!」
目もくらむばかりに輝いたかと思うと水面が渦を巻き中から、青龍が天に向かって一直線に昇っていきました。

皆は別れを惜しみつつ、その姿を見送っています。中には、きっと分かれがたかったのでしょう、一緒についていってしまうものまでいます。
主を見送った水たちは新しい安住の地を求めて流れ始めました。水はほんらい内気なので、低いほうへ目立たぬほうへ流れていこうとするのです。

あっ  ちょっと  ちょっと  ありゃああああ・・・・
そんなにあわてることないのに・・・皆一度に流れ出しちゃいましたよ。ワイワイ ガヤガヤ もう大変な騒ぎです。
枯れ葉や土をまきこんじゃって・・・大きな岩をお土産にしようとしてるグループまでいます。
水たちの流れはいつの間にか濁流となってしまいました。
「・・・こまったなああ」
「水は大切だけど・・・・」
「もう10日も続いてるもんなああ」
森の精霊達が集まって、遠巻きに濁流を見つめています.
「よし! 長老に相談しよう」
「そうだ  そうしよう」
精霊たちは森の長老を訪ねることにしました。
「それは・・・こまったのおお・・・   わしがやつに話してみよう。」

なんと、森の長老と青龍となった池の主とは幼稚園の頃からの竹馬の友だったのです。
・・・・まあ まあ  お  は  な  し   の世界ですから・・・気にしない 気にしない・・・
「おお~い」
「やああ! 元気だったかい?  ハハハ すっかり老けたじゃないか」
「お前さん 今 天界で仕えてるんだってな  相変わらず元気そうでなによりじゃて」
「まあね ところでどうしたの? こんなところまでわざわざ」
「実はのお・・・」
森の長老は、かくかくしかじか森の様子を話しました。
「そうか!それは悪いことしちゃったね。水たちにはボクからよおく言っておくよ。ごめんね」
青龍は頭をカキカキ言いました。
・・・誰です? 龍の手が頭までとどくのっかって想像してる人。人間素直が一番!ひろい気持ちで読みましょう・・・・・ネ
その夜、青龍は天の許しをもらい、古巣の池へ戻り水たちに話をしました。

残っていた水たちは一度土の中に染込んで毎日少しずつ湧き出しては流れ、湧き出しては流れすることにしました。
やがて流れは透きとおり、けずられたところは淵となって魚達がすむようになりました。木々も茂り小鳥達も集まり、ゆったりとした川の流れが森を育てていきました。
精霊たちも楽しげにその様子をながめています。
よかった  よかった

ところでどこの川?・・・・・まだ言いますか?困った人ですねええ。

しかたがない教えちゃいましょう。内緒ですよ。
この川は、あなたの心に流れている想いの川なんです。おどろいた?
この想いの川、あんまりチョロチョロだとにらまれたり、寂しい気持ちにさせたりしますが、流れすぎると、これまたこまっちゃうんですよ。充分に気をつけて流してくださいネ。
えっ?  まあそうですねええ 経験もなしには書けませんよ・・・  誰を想ったかって?
おおきなお世話・・・今横でお茶をズズーッて飲んでる人ですよ!。可愛いんですよお。    あ~ぁ咳き込んでお茶ふきだしちゃった・・・  ? それでも可愛いかって?           おおきな お せ わ !              じゃあ また・・・・・・・・ 

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