見出し画像

02.神話の力 / ジョーゼフ・キャンベル著_210201

神話についてずっと興味を持ってきたけれど、これまで何を読んでもいつもピンとこなかった。なぜピンとこなかったのか?本書を読むとその理由がよくわかる。おそらく神話とは、理解するのではなく感じるものではないだろうか。本書の中に記されているように、それはきわめて「詩」に近いものではないだろうか。だから頭で理解しようとしても、どうしても曖昧さが居残ってしまう。たとえば、密教なども机上で理解しようとしても本質を捉えられないところがあるけれど、神話もそれと同じで、想像を巡らせて直感的に受け止める精神のしなやかさが必要なのかもしれない。
ただ、科学的エビデンスを正誤の判断基準としてきた私たちは、そうした機微を感受するのが実に苦手。しかしそれをふまえて本書を読むと、これほど人類の根源的な問いと楽しげに向き合った作品も他にない気がしてくる。「神話学の巨匠の遺作となった驚異と感動の名著」。裏表紙に記されたその言葉に偽りはなさそうだ。

この記事が参加している募集

#読書感想文

190,092件

#習慣にしていること

130,911件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?