見出し画像

【歴史雑記】さようなら、東豊書店

 歴史雑記017
(本記事は月額500円の定期購読マガジンに含まれています)

 多くの方々が既に知る通り、代々木会館で簡木桂さんが半世紀にわたって営まれた中文書の輸入書店・東豊書店が閉店された。
 入居していた代々木会館は現在解体工事が進んでおり、映画『天気の子』の聖地巡礼のために訪れる人々に見守られながら、日一日とその旧貌を喪いつつある。

 東豊書店がどのような書店であったか、そしていかにして「客」に親しまれたかということは、古勝隆一さんがまもなく配信となる中国史史料研究会の会報第二号で書いていらっしゃるので、そのあたりにご興味の向きは会報をお読みいただくのがよいかと思う。
 そもそも、僕は関東に移って10年と少しに過ぎず、自身の研究とも長く離れていた。故に、東豊書店に行くのは年に一度か二度ほど、それも仕事で代々木に立ち寄った際にコソコソと数冊の本を買っていく程度であったから、簡さんに顔も覚えられていない、一見のような細い客であった。

ここから先は

984字

¥ 100

サポートは僕の生存のために使わせていただきます。借金の返済とか……。