中国史時代区分論争についてのメモ
歴史雑記146
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はじめに
X(慣れない)で山田邦明先生が、日本と比較するなかで「宋・元・明・清」を「中世」と述べておられた。
山田先生には山田先生の見解があろうかと思うが、中国史をほんのちょびっとだけ学んだ、そして今でもちょこっとだけ齧っている人間として、いささかの補足をしておきたいと思う次第である。
現在のところ、日本においては中国史の時代区分としては、古代が後漢まで、魏晋から五代が中世、宋〜清が近世、辛亥革命以降が近代というのが穏当なところであろう。
さて、そもそも時代区分というのは後代的なものであり、さらに言えば西洋的、そして唯物史観的なものである。
よって、以下に述べることは西洋近代史学やマルクス主義史学の影響を受けて展開されたことを諒解されたい。
湖南説と唐宋変革
さて、最初に「宋以降は近世なんじゃないか」と言い始めたのは、内藤湖南である。
学統的には「先生」と言わねばならないのかもしれないが、誰も言っていないので以下みな呼び捨てである。
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